写真:万葉 りえ
地図を見る東福寺の創建は、鎌倉時代と古く、時の関白・藤原九条道家が九条家の菩提寺として19年もの年月をかけて建てさせたといいます。時代が古いだけでなく、奈良を代表する東大寺と興福寺から「東」と「福」をとって名付けられただけあって、京都最大の伽藍でもあるのです。
東福寺駅までは、JRだと京都駅からわずか2分、京阪電車でも三条駅からたったの6分ほどという近さです。
駅を出てほどなく北門と仁王門の近くへ到達するのですが、テレビなどでよく出てくる橋はもう少し先になります。
早くあの景色を見たいのではないかと思いますが、東福寺には塔頭が25もあるので、まずは塔頭の様子を楽しみながら南へ向かっていきましょう。
写真:万葉 りえ
地図を見る塔頭を過ぎると境内を流れる渓谷にかけられた橋の一つ目、臥雲橋へ至ります。古い木造のこの橋から緑の向こうに通天橋を望むと、東福寺へ来たという実感がわいてくるのではないかと思います。
国宝になっている三門や重文になっている多くの建物を見てからでもかまいませんが、いよいよ本堂のそばにある通天橋の拝観受付へ進みましょう。
受付を過ぎると、緑の中に木造の長い回廊がまっすぐにのびています。渓谷に近づくと地面が急に深く落ち込むので、透過光にゆらめくもみじを見上げていた景色が、だんだんと新緑のまぶしい輝きを見下ろすように変化してきます。
この視線の移動といい、渓谷の真上に作られた眺望のための張り出しといい、この景色のためだけに作られた大工事を思うと、ここで立ち止まって緑の谷を眺めないわけにはいきません。
紅葉の季節は多くの人で混み合うのでゆっくりと観賞するのも難しいのですが、緑の季節は思う存分景色の中に浸ることができます。
写真:万葉 りえ
地図を見る通天橋では谷へと降りていく歩道も整備されています。もみじの下で花をつけている植物もあり、せせらぎのきらめきや、水の音など、橋の上から見ていたものとは違う景色が待っています。この辺りは「洗玉澗」と名付けられているんですよ。いにしえよりここを守り愛した人々と同じように、「緑に包まれる」という感覚をぜひ味わってくださいね。
通天橋から回廊でつながった奥には開山堂があり、ここの庭園も登ってきた人々をほっとさせてくれることでしょう。ここに祀られている聖一国師は日本で初めて国師と称された禅僧で、他の寺の再建などにも尽力した人物です。
写真:万葉 りえ
地図を見る臥雲橋、通天橋、そして国宝の三門だけでなくいくつもの重文の建物があって、観光としては「お腹いっぱい」の心境になっているかもしれませんが、庫裡の奥にも橋があるのですよ。
庫裡の建物を過ぎて、クリーム色の塀に沿って奥まで進むと、道は左に折れるようになっています。その先を少し下ったところに小さな橋が見えてきます。
ここが三つめの橋。桃山時代に作られており、この橋も重文になっています。ここまで足をのばす観光客はとても少なく、もしかしたらこの風景を一人占めできるかもしれません。木立の中の小さな橋の上にいると、初夏の風が渓谷を伝いながら頬に涼風を届けてくれることでしょう。この山ふところにいる人以外の生き物についても思いをよせたくなる、そんな静けさが待っています。
東福寺の三ツ葉楓は、開山した聖一国師(円爾弁円1202〜1280)が、宋から伝えたといわれています。苔の上に落ちていたら、手に取って葉の形もご覧になってください。
「東福寺三名橋」と渓谷の眺めだけでなく、たくさんの貴重な建物が残る広いお寺なので、ゆっくりと回ってくださいね。
7月頃は蓮の花もきれいです。
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この記事を書いたナビゲーター
万葉 りえ
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