上海の昨日と今日を味わおう!中国と西洋の文化融合「石庫門(シークーメン)」

上海の昨日と今日を味わおう!中国と西洋の文化融合「石庫門(シークーメン)」

更新日:2018/06/20 17:58

中国で最も古い歴史を持つ商業港の一つ上海。
開港後、西洋人が続々に訪れ、南京条約によって租界地(外国人居留地)が作られました。
中でも外灘エリアの旧イギリス租界と新天地エリアの旧フランス租界は、観光スポットとして人気ですが、租界地を楽しむ術は重厚な洋風建築だけではありません!

さて今回は、租界地特有の中国人住居『石庫門(シークーメン)』へ皆さんをご案内します。

そもそも石庫門って何?

そもそも石庫門って何?
地図を見る

もともと租界に住んでいたのは外国人や華僑でしたが、戦乱を避けて多くの中国富豪層も租界移り住みました。その後、その周囲に仕事を求めて工員や農民が定住しはじめたため、富豪層が不動産ビジネスとして荒れ地に長屋方式の住居を建設しました。
これが上海の代表的な民家『石庫門(シークーメン)』です。

連なる居住地の合間には多くの小路があり、その小路の入り口にはいずれも大きな石の門が設置されているのが特徴です。かつてはそこに黒漆の扉がついており、路地自体が生活の場でした。名前の由来については諸説ありますが、厚みのある石門に囲まれた様子はまるで倉庫のよう、というところから来ている説が一般的。

租界にマッチさせたアーチ構造の西洋建築造形を採用し、一方で木造・瓦ぶき屋根の中国伝統の建築様式を色濃く残しています。内装は中国人の生活習慣に合った作りで、かつ、当時の住宅不足事情を解消させるため高収容性を重視したアパートメントなんです。

この独特な下町路地風景を上海では『弄堂(ロンタン)』と呼び、北京の『胡同(フートン)』と対をなしています。

お家の中を見てみよう〜

お家の中を見てみよう〜
地図を見る

石庫門建築を商業地として再開発した『新天地(シンティエンディー)』。
そこにある『石库门屋里厢博物馆』では住居の中を見学することができます(有料)。

江南地方の伝統的な中央から左右対称に配置したスタイルを継承しつつ、イギリスのアパートメント構造をした作りです。元来一つの石庫門住宅は一家族用でしたが、その後、さまざまな家主による賃貸を経て、人口が増え続けるに伴い3〜7世帯が共同で住む形式になりました。

新天地を観光地として訪れる方は多いのですが、あまり目立たないから(?)か博物館を訪れる人は少ない様子。でもここでは当初の大家族用住居の原型と、その生活風景が見て取れるので、とてもオススメです♪

復興公園周辺を散策して今も現役の石庫門住宅を発見しよう☆

復興公園周辺を散策して今も現役の石庫門住宅を発見しよう☆
地図を見る

残念なことにこの石庫門、近年では都市開発のあおりを受けて姿を消しつつあります。

石庫門住宅、実はキッチン・トイレは共同で、ガスやお風呂といった衛生設備がないのです。
便利な生活を求めて人々は新しいアパートメントに移り住んでしまいました。それでもまだ幾つかの石庫門住宅がこの界隈には残っており、人々が生活を営んでいて「〜里」「〜坊」「〜公寓」の名で呼ばれています。

アーチ型の石門、れんがの壁、瓦屋根が石庫門の基本的な特徴ですが、よく見ると色々な様式があり、建てられた時代の違いがうかがえます。一軒家の大きな洋館のようなスタイルや、比較的現代のマンションに近い直線の多いスタイルなど様々。しかし、いずれも中は木造で小さな小部屋に分れています。そのひとつひとつに一家族が住んでいて、ゴチャっとした生活味を醸し出しています。

洋風建築に中国人の生活感、何とも言えないこのミスマッチング感がたまりません!
博物館だけでなく、リアルな石庫門もぜひ楽しんで!

門上部の美しいレリーフを見逃さないで!

門上部の美しいレリーフを見逃さないで!

提供元:Nicholas Brown

https://www.flickr.com/photos/normal_nick/

旧租界地をよーく見て歩けば、彫刻が施された重厚な初期の花崗岩石庫門をまだまだ発見することができます。

ギリシャの古代神話をモチーフにしたデザインや中国の青銅器によく見られる紋様、ローマ建築のアーチ構造の柱からは、古き良き時代が感じられます。
そしてそこから細く長く伸びる路地へ一歩足を踏み入れると、そこには人間臭いOLD上海が!

けして綺麗な状態のものばかりではありませんが、かつての街の繁栄と、そして消えゆく街並みの哀愁を体験できるはず♪ 歴史に思いをはせながら、ぜひ変わりゆく上海の昨日と今日を味わって下さい。

ディープで薄暗い細い路地が多いので、日の明るい内に散策しましょう〜!

この他に

もとある石庫門の家や未開発の路地を取り壊すことなく、住宅だった場所に自然発生的に画家やお店が集まり、そのままショッピングエリアとなった『田子坊(ティエンズーファン)』もオススメです。良い形で伝統が受け継がれており、違った石庫門再利用スタイルを感じることができます。

また、上海には日本租界もあったんです! 虹口区の魯迅公園エリアがソレです。元々はイギリスとアメリカの共同租界だったのであまり日本らしさはありませんが、そう実は、租界地文化は日本にもゆかり深いものなんですよ☆

近代史を少しかじって訪れると、租界地のミックスカルチャーをより深く楽しめます♪
ぜひショッピングだけでなく、独特のエキゾチックな雰囲気と歴史を味わって下さいね〜!

この記事の関連MEMO

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/04/25 訪問

- PR -

条件を指定して検索

- PR -

この記事に関するお問い合わせ

- 広告 -