古都・奈良の玄関、東向商店街で“おもてなしの心”を感じませんか?

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古都・奈良の玄関、東向商店街で“おもてなしの心”を感じませんか?

古都・奈良の玄関、東向商店街で“おもてなしの心”を感じませんか?

更新日:2013/06/21 18:07

沢木 慎太郎のプロフィール写真 沢木 慎太郎 放送局ディレクター、紀行小説家

奈良での待ち合わせ場所で知られる近鉄電車・奈良駅前の行基(ぎょうき)広場。ここを抜けると奈良市の旧市街を代表するアーケードの商店街「東向商店街 (ひがしむきしょうてんがい)」があります。五重塔で知られる世界遺産の興福寺や奈良公園にも近く、おいしい焼きそばや和菓子、昔ながらの技法にこだわった手ぬぐいなど老舗店が並ぶ商店街は奈良の“おもてなしの心”が感じられる場所。寺院めぐり合間に訪ねてみてはいかが?

旧市街の面影を残す古い商店街

旧市街の面影を残す古い商店街

写真:沢木 慎太郎

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地下にある近鉄奈良駅から、階段を登って地上に上がると、写真のような広場に出ます。円すい形の噴水の上に建っている像は、8世紀の奈良時代に実在したお坊さんの行基。民衆が仏教の教えを請うことを禁じていた時代に、禁を破って身分などを問わずに広く仏法を説き、民衆から圧倒的な支持を得ていたことから“行基菩薩(ぎょうきぼさつ)”と呼ばれて崇拝されていました。

行基菩薩は全国各地に多くの道場や寺を建てましたが、生活に困った人たちの保護施設をはじめ、ため池や橋などを造り、土木事業にも尽力。こうした行ないが聖武天皇から高く評価され、東大寺を建設するにあたっての実質な責任者に任命されました。

写真のように行基菩薩像や修行僧の向こうに見えるのが東向商店街 。近鉄奈良駅前の登大路から三条通りまでを南北に結ぶ商店街で、地方都市にある大衆的な雰囲気がたまらなく魅力的です。

東向商店街の東側は興福寺の境内となっており、通りの西側だけに店舗が建てられ、すべての店が東を向いていたために“東向き”と呼ばれるようになったとか。何十年と変わらない風景は、観光都市・奈良の顔となっています。

素朴な店構えのお好み焼き屋さん「おかる」

素朴な店構えのお好み焼き屋さん「おかる」

写真:沢木 慎太郎

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行基広場から東向き商店街に入り、商店街の中ほどにあるお店がお好み焼屋さんの「おかる」。仕事などで奈良に行く時は、いつもお昼ご飯でお世話になっています。

写真のように木の温もりを感じさせる素朴な店構え。「おかる」と書かれた文字がなんとも可愛いです。

お昼時に「お好み焼き 明石焼き」と白文字でプリントされたのれんをくぐると、店内はお客さんでいっぱい。

店内の壁にはなぜか魚拓がたくさん掛っています。これはお店のご主人が釣好きで、趣味の魚拓を飾っているとか。

壁に張り出されたメニューを見ると、お好み焼きや海鮮の鉄板焼き、明石焼きなど豊富な品ぞろえ。

そんな中で、えっと驚くのが「特製おかる焼き」という看板メニュー。価格は4300円。イカ、エビ、タコ、貝柱、山菜、牡蠣、豚ロースといったお馴染みの具材に加えて、さらに牛テキや有頭海老2尾のほか、なんと卵を5個も使います。

以前に彼女とふたりで注文したことがありますが、2人でも食べきれませんでした。テーブルの鉄板がすべてお好み焼きで埋め尽くされてしまい、たっぷり4人分はありそうです。

鮮やかな手さばきで調理

鮮やかな手さばきで調理

写真:沢木 慎太郎

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お好み焼きや明石焼きも捨てがたいのですが、いつもと違ったメニューをと思い、焼きそば定食を注文しました。

昼間からビールを飲んでいると、アルバイトの女の子がテーブルにまでやってきて、写真のように鮮やかな手さばきで焼きそばを焼いてくれます。

あまりに器用な手つきなので、「家でも焼いているのですか?」と尋ねると、「家ではしません」と女の子はニッコリ微笑みます。

焼きそばを蒸すために蓋をかぶせ、女の子はさっと別のテーブルへ。目の前にかぶされた蓋を見ながらどうしたらいいのだろうと思っていると、再び同じ女の子が戻って来て、蓋を開け、焼き加減を見てくれます。

テーブルに戻って来るタイミングがなんとも絶妙。たった一人だけで何人もの料理を切り盛りしていて、私は感心して、ただビールを飲むばかり。

ちょっと酔った私は「今度、一緒にお好み焼きを食べませんか?」とお誘いしましたが、女の子はやっぱりニッコリ。いい笑顔を残して、テーブルから去ってゆきます。

おかる特製のソースでいただく焼きそばは格別。ゆっくり味わっていると、柔らかい麺に焦げ目がつき、カリカリ感もたまらなくおいしいです。

「ごちそうさま」と言って席を立ちあがると、「ありがとうございました! またぜひ!」と女の子がお好み焼きをひっくり返しながら爽やかな笑顔。もしここがタイだったら、私はテーブルにチップを置いていることでしょう。

■おかる(お好み焼き、たこ焼き、焼きそば)
■住所:奈良県奈良市東向南町13
■電話:0742-24-3686
■営業時間:11:00〜21:00
■定休日:不定休

“高速餅つき”で知られる和菓子屋「中谷堂」

“高速餅つき”で知られる和菓子屋「中谷堂」

写真:沢木 慎太郎

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続いてのお店は、“高速餅つき”で知られる中谷堂。東向商店街を抜け、三条通りに面した場所にあります。

テレビ東京系列で、その道の達人たちが真剣勝負を繰り広げてチャンピオンを決定するバラエティ番組「TVチャンピオン」にも出場し、全国餅つき王選手権で見事に優勝。たくさんのメディアにも取り上げられているので、ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんね。

では、さっそく、その素晴らしい餅つきを見てみましょう。

「エイ!」「ヤー!」「エイ!」「ヤー!」「とうっっっ――」

写真のように職人さんが顔を真っ赤にしながら、気合の入った声で餅をついていきます。迫力が伝わってきませんか?

驚くのは、そのスピード。目にも止まらぬ速さです。つき手と、返し手のコンビネーションの良さにただ圧倒されるばかり。職人さんの息がピッタリと合っていて、まわりは大勢の見物人が取り囲んでいます。

あまり聞きなれない“高速餅つき”ですが、パフォーマンスとしてではなく、昔から受け継がれてきた伝統技術で、これにはちゃんとした理由が。

餅をつくのは、寒さの厳しい季節。湯気を上げるほどの熱い瞬間を逃さず、一気につきあげることで、やわらかく粘りがあり、コシのあるお持ちに仕上がるのだそうです。

中谷屋の名物は、よもぎ餅。高速餅つきで十分に楽しませていただいた後は、このつきたてのお餅をいただくことができます。

赤ちゃんのほっぺよりも柔らかい餅。ほどよい粘りとコシ。そして、口の中に広がるよもぎの風味。あまりにもおいしくて、思わず頬がゆるんでしまいます。

■中谷堂(和菓子)
■住所:奈良県奈良市橋本町29
■電話:0742-23-0414
■営業時間:10:00〜19:00
■定休日:不定休

奈良のお土産におススメ、手ぬぐい屋「朱鳥」

奈良のお土産におススメ、手ぬぐい屋「朱鳥」

写真:沢木 慎太郎

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最後に、ご紹介したいのが「朱鳥(あけみとり)」。手ぬぐい屋さんです。高速餅つきの中屋堂を過ぎ、「もちいどのセンター街」と呼ばれる商店街の中ほどにあります。

写真のように店先に色鮮やかな布が並べられてあるので、着物でも売っているのかなと思っていると、なんと手ぬぐい。工芸品のように繊細で美しいデザインに驚かされました。

奈良のお祭りや興福寺五重塔、仁王像、奈良町、二月堂のお松明、鹿などをデザインした手ぬぐいを販売しています。デザインの下書きは、パソコンではなく、手書きで行っており、手作りの味にこだわっているとか。

朱鳥の手ぬぐいは、昔ながらの和晒(綿布)に、“注染(ちゅうせん)”と呼ばれる技術を使って、色鮮やかに染めていきます。

この伝統技法について社長さんからお話しをうかがったことがあるのですが、染色の過程で使われる型紙は、「伊勢型紙(いせかたがみ)」というもので、数枚の和紙を張り合わせた「柿渋紙(かきしぶし)」に彫刻刀で掘り進めていくんだそうです。

さらに、彫りあがった柄を固定するために、「紗」と呼ばれる絹糸を手張りし、最後に漆を塗って仕上げます。

型彫りや紗張りについては全国でも数少なくなった職人による手仕事。長年の技術と経験が必要とされるみたいです。

この伝統技法の“注染”ですが、その源流は飛鳥・奈良時代にまでさかのぼるとうのだからビックリ! なんと中国から伝わってきた技法とされているのです。

東大寺の宝物庫で有名な正倉院にも、この注染の技法を使った染物を見ることができるのですが、そんな1300年以上も昔の伝統を今に引き継いでいるお店があるのですね。

ちなみに、手ぬぐい発祥の地は奈良ということです。あまりにも美しく、艶やかなデザインなので、「外国人のお客さんが絵はがき代わりに買って行かれます」と社長さん。手ぬぐいだと荷物がかさばらないし、デザインが美しく、実用的でもあるので、奈良のお土産にいいなと思いました。

以上、いかがでしたでしょうか?
古都・奈良らしい風情のある商店街で見つけた老舗店の数々。これ以外にもたくさんの良いお店が軒を連ねています。

お寺めぐりの合間に食事をしたり、奈良らしいお土産を買い求めたりするのにおススメ。奈良の人々の人情にふれることができる商店街に足を運んでみませんか?

■朱鳥(あけみとり/手ぬぐい)本店
■住所:奈良県奈良市橋本町1
■電話:0742-23-0414
■営業時間:10:00〜21:00(冬期20:00)
■定休日:なし

掲載内容は執筆時点のものです。 2013/04/02 訪問

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