400年の歴史を誇る京の台所、錦市場には「打田漬物」「桝悟」「錦 高倉屋」「もり」など有名な漬物店が7店舗もひしめきあい、まさにつけもの天国。京都の街角で漬物屋を探すのはそんなに難しいことではありません。
そんな漬物激戦区の京都を訪れたなら、ぜひ老舗の漬物屋さんにも立ち寄ってみてはいかがでしょうか。錦市場から程遠くない場所にも、老舗の漬物店が何軒かあり、いずれも名店揃い。
今回ご紹介するのは、京都なのに奈良漬を専門に売っている「田中長奈良漬店」。創業は、フランス革命の年と同じ1789年!225年以上の歴史を誇る老舗です。
もともと奈良漬の誕生自体たいへん古く、西暦700年ごろと言われています。その名のとおり奈良で生まれた奈良漬は、「かす漬け」と呼ばれ上流階級の人たちの食するものだったそうです。
江戸時代には、幕府への献上品として重宝され、その後は奈良を訪れた旅人によって広く庶民へと伝播されていきました。
さて、この辛口の奈良漬をなんとか京都人に愛される一品にしたいと考えたのが、みりん製造業社を創業した初代和泉屋長兵衛さん。
研究の末、野菜をつける酒粕に自社製の味淋を加え、舌の肥えた京都人の味覚にあった漬物に仕上げました。以降、都錦味淋漬と名づけられ、ロングランのヒット商品となったわけです。これぞまさに奈良漬の味淋革命といえるでしょう。
老舗といえども、移り変わる時代の要求に応えて様々な挑戦も。弘法さんに市の立つ毎月21日以降には、エリンギの奈良漬も店頭に並べられます。味淋漬の素材は、ほかにもスイカや生姜、加茂なすも。京野菜もあれば、洋野菜もありバラエティーに富んでいます。
ところが、漬け込む手法はといえば、ほとんど昔のまま変わっていません。かたくなに昔の製法を守り続けているといってもいいでしょう。今でも職人さんの手で丁寧に時間をかけてつくられています。種類によっては、なんと2年の歳月をかけて気長に漬け込んでいるものもあります。この大量生産の時代にあって、気の遠くなるような作業です。
店舗には、昭和40年頃に撮った番頭さんが瓜に囲まれて樽に漬け込みをしている写真が飾られています。こうした職人さんたちが味の伝統を受け継いでいるのも、京都ならではですね。
「田中長奈良漬店」の味淋漬は、味にうるさい京都の有名料亭で出されているお弁当にも使われているくらい高級なお漬物です。ハレの日の香の物なので、舌の肥えた方へのちょっとしたお土産には最適といえます。
賞味期間2か月と、常温でも保存のきく味淋漬ですが、買ってきたらすぐ封を開けて一刻も早く食べることをおすすめします。口の中で浸み込んだ味淋と酒粕のまろやかな甘味が奏でるハーモニーを絶妙なタイミングでいただける至福の瞬間。
そして、のこった粕は迷わずさわらなどの切り身魚に塗って再利用しましょう。味淋のまろやかな味を2度楽しめますよ。これは女将さんに教えてくれた食べ方。まさに関西風の“始末”の文化です。
全国にファンのいる田中長奈良漬店の味淋漬は、日本の伝統商品。ぜひ京都に足を運んで、手にとってご覧になってみてはいかがでしょう。店主から京都ならではのお話も聞けますよ。
田中長奈良漬店は、2013年の暮れから改修工事のため、室町通りの仮店舗にて営業中。アクセスは、地下鉄四条駅の6番出口から下り、仏光寺通りを西に入り、室町通りとのちょうど角。駅からたった3分の便利なところにあります。
気になる本店の改修工事ですが、改修後は店舗兼宿泊施設に変身。目下のところ専門家の人たちが調査をしていて、文化財級のものが発見される可能性もあるかもしれないとのこと。その際はお披露目をしないといけないのだとか。老舗ならではの悩みですね。
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