一見ローマ遺跡やラピュタの世界にも見えるここは「北沢地区施設群」と言います。ローマ遺跡などに見えたのは巨大な人工物群であり、あまりにも巨大な廃墟であるという所にあるでしょう。
新潟県佐渡島には日本の世界遺産暫定リストにも登録されている「金を中心とする佐渡鉱山の遺産群」があります。是非世界遺産に登録されて欲しいと思いますが、この「北沢地区施設群」は、その遺産を構成している「構成資産」の1つです。
鉱山で採掘された金や銀の生産ラインの最終工程を受け持つ工場がこの廃墟の正体。この巨大な遺跡を一目みたら誰もが「凄い!」と思うはずなのですが、殆どアピールされていないのが現状です。是非、その目で見て欲しいと思います。とんでもなく凄い迫力ですから!
さて、この景色はどこから撮影したか?と言いますと、佐渡奉行所の駐車場から。佐渡金銀山は江戸幕府の直轄管理だったので奉行所が置かれていたのです。佐渡奉行所の駐車場は高台にあるので日本海を眺めるのもベストですし、ここから見る「北沢地区施設群」の迫力も相当なものです!
ここからの撮影は難易度はとても低い事。円形の異質な建物も正面から撮影できる事。そして有名な「史跡・佐渡金山」はここから約2キロと、とても近い場所にあるので合わせて楽しめるのでオススメです!
「史跡・佐渡金山」を語るときにその地区の名前が使われる事が多くあります。今回の「北沢地区施設群」の「北沢」もそうですね。地区名を山から海に向かって書くと「大立→高任→間ノ山→北沢→大間」となります。いわゆる「史跡・佐渡金山」として観光地になっている場所は「大立〜間ノ山」になります。
「大立〜間ノ山」という場所が鉱山と、そこでとった鉱石を粉砕したりする場所。そして「北沢」が鉱石の中から金や銀を取り出し濃度を高める最終工程。「大間」が出荷する港という関係になります。
このコロッセオのような異彩を放つ建物は50mシックナーといいます。直径が50mもある巨大な泥鉱濃縮装置で、間ノ山搗鉱場から排出された金銀を含んだ泥状の鉱石はここで水分を取り除いて、より金銀の濃度が高い状態の塊にします。それを対岸にある選鉱所に送り、さらに仕分けて出荷という流れになります。
この50mシックナーは「北沢地区施設群」の中でも変わった形をしているのでとても目立ちます。そばに立つとその大きさのインパクトは凄いものがあります。
南側斜面に残る巨大な施設群はその殆どが「選鉱所」と呼ばれている施設群です。写真は「浮遊選鉱所」と呼ばれる施設の跡と、明治時代のレンガ造りの「火力発電所発電機室棟」です。「選鉱所」というのは読んで字の如く必要な鉱物と、不要な鉱物を選り分ける場所という事になります。
金属は水と混ざりにくい性質があります。一方の岩石、表面は水を通しやすい性質があります。これらを利用して、鉱山で掘ってきた岩の中から金や銀だけを取り出す方法として水や薬品を利用して分離していくという方法が取られました。月間7万トンもの鉱石を処理していて、その規模は東洋一だった場所です。
50mシックナー側から浮遊選鉱所を見れるスポットもあります。これは総源寺というお寺さんの前にある道から眺めることになります。
車でも細い道ですし、徒歩でもかなりの急坂と距離なので難易度は高めです。
しかしここから見る「北沢地区施設群」はまた格別のものがあります。遠くには日本海も見えるという所もポイントです!美しい日本海と巨大な廃墟のコラボレーションの景色を是非!
世界遺産暫定リストに登録されている「金を中心とする佐渡鉱山の遺産群」ですが、その全てを把握するのは難しいものがあります。それは佐渡島の広い範囲に渡って点在しているからです。
しかしこの「北沢地区施設群」のあるエリアはここを中心にして半径2キロの中に鉱山から港までがあります。金や銀を含む石を掘って、加工して、出荷までの一連の作業が行われていた場所(遺跡)を1日で見れるのはここだけです。頭の中で整理しながら辿ることで記憶にも残りやすく、濃い旅になることでしょう!
「史跡・佐渡金山」から海に向かう方向で順番に辿ってみることをオススメします!
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(2023/12/8更新)
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