陸の孤島・吉備の中山〜鬼気迫るパワー全開の旅

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陸の孤島・吉備の中山〜鬼気迫るパワー全開の旅

陸の孤島・吉備の中山〜鬼気迫るパワー全開の旅

更新日:2015/05/08 14:07

ナツキのプロフィール写真 ナツキ きのこの文化研究家、博物学者

桃太郎伝説で有名な吉備の国。とりわけ吉備の中山は古代には海に面した甘南備山で磐座の宝庫です。
山口神社に当たる備前・吉備津彦神社から備中・吉備津神社を結び山中を巡る旅は、いたるところに隆起する磐座と森林のパワーをほしいままにできます。
ワンデイ・トリップとしては最高クラスの中山詣で・・・いざ、参りましょう。

吉備津彦神社の杜の守り神・UFOめくきのこがスタート。

吉備津彦神社の杜の守り神・UFOめくきのこがスタート。

写真:ナツキ

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吉備の中山は東西約2km、南北約2.5kmの小山ですが、東麓の備前一之宮駅の目の前にある吉備津彦神社からその奥の最高峰の龍王山(170m)へと登り、方々の磐座と古墳群を巡り西麓の吉備津神社へと下るコースがおすすめです。

夏至の日には正面参道の前の山から昇る太陽の光が祭文殿の神鏡に差し入ることから「朝日の宮」とも呼ばれている吉備津彦神社。その拝殿南の奥にある稲荷神社、温羅神社へと回ると龍王山へと続く山道が伸びています。

そのとっつきの大樹にあるのが妖怪キャラを満載したコフキサルノコシカケ(写真)です。
ここからはじまる最高峰への道は、こじんまりした山容ですが、山あり谷ありでとても変化に富み疲れを感じさせません。

中山最高峰・龍王山(179m)を巡る磐座と八大龍王

中山最高峰・龍王山(179m)を巡る磐座と八大龍王

写真:ナツキ

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この中山は、古代には南の麓まで「吉備の穴海」と呼ばれた海が広がり、大陸にもつながる海運の要所だったと伝えられています。
龍王山山頂には元宮磐座・経塚・八大龍王が祀られここから200mほど西へ下ったところには中山通幽(麓の福田海開祖)が「天柱」と刻んだことから天柱岩(別名権現岩)と呼ばれる巨石がそびえています。

この龍王山の頂上からは岡山平野が一望でき、児島湾から小豆島までが望めます。
ここから先、西麓の吉備津神社までの山中には夥しい磐座と古墳群がひしめいています。

写真は龍王山頂から眺める児島湾。

ダイボーの足跡を巡る磐座群

ダイボーの足跡を巡る磐座群

写真:ナツキ

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かって人工のため池であったといわれるダイボウの足跡周辺は比較的ゆるやかなコースが続き、この山中でもっとも清々しい空気に満ちたところ。
お休み岩に始まり、環状石籬(かんじょうせきり)、八畳岩古墳と大小100を超える巨石からなる八畳岩、鏡岩、石舟古墳群、夫婦岩が次々と現れるさまは圧巻です。

ずらりとこうした巨石群を列記すると吉備の中山は全山岩山のような印象を与えますが、砂岩と泥岩質が熱変成してホルンフェルス化したものがベースで、花崗岩緑岩、石英閃緑岩、安山岩がところどころ露出しているだけのようです。

しかし、この随所に顔をのぞかせている磐座に共通するのは、千鳥の足跡のような細かい亀裂がみられ、石英の筋が縦横に走っていて何かのメッセージのように見えることです。
この岩の表情が、他所の磐座にはみられない独自の印象をもたらしています。

吉備の中山でもっとも妖気漂う穴観音

吉備の中山でもっとも妖気漂う穴観音

写真:ナツキ

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吉備津彦の墓と伝えられる全長120mの前方後円墳の中山茶臼山古墳へと至る道の途中には数個の自然石が並び、その中のひとつに石仏が刻まれ側面には約20cmの穴がうがたれた磐座と出会います。これが穴観音でこの穴に耳を当てると、いにしえの記憶である「潮騒が聞こえる」と言われています。

この穴観音の辺りは、ダイボウの足跡のあたりのあっけらかんとした空間とは打ってかわって、この中山でもっとも陰湿な雰囲気の漂うところとなっています。
この穴観音を含む磐座は、前方の茶臼山古墳頂部を遥拝する位置にあることから埋葬者を拝むためのものと言われています。

写真の右から2つ目の岩に石仏が彫られ、穴がうがたれています。

吉備の中山のもうひとつの磁場を形成する南山麓の庚申堂

吉備の中山のもうひとつの磁場を形成する南山麓の庚申堂

写真:ナツキ

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茶臼山古墳から西山麓へ下るとまもなく吉備津神社に至りますが、時間がゆるせば、ぜひ中山の南麓にある庚申堂をのぞくことをおすすめします。
茶臼山古墳正面歩道の中ほどには備前備中の境界を示す国境石があり、そこから黒住教本部前を通り、駐車場脇から南へと下って行くと矢藤治山古墳跡があります。

この全長35.5mの前方後円墳の造立は、出土品から推定するとわが国最古の古墳とされる大和の箸墓よりも古く、被葬者は全国規模の首長クラスの墓といわれ、吉備物部(きびもののべ)説の根拠のひとつとなっています。

そこから更に南へ下り麓のカルガモの棲む溜め池の奥にあるのが庚申堂です。
近くの正法寺の管理下にある庚申堂は、210段の急な石段の上にあり、その中間点にある山門には10mにも及ぶ藁の双龍がこの門に巻き付くように架けられています。

今では朽ち落ちそうな巨大な龍は、大戦で供出した寺の鐘が昭和30年の庚申大祭に合わせて新調されたときに六反の藁とシュロを用いて西花尻の人たちが2ケ月かけて製作したものだそうです。
多少修理の手は加えられているとは言え60年間よくぞ持ちこたえているものです。

この山門をくぐり更に105段の石段を登りつめたところには帝釈天立像と美作に法華宗を広めた大覚大僧正の塔があります。

この庚申堂は、山中の磐座に負けず劣らずのオーラを放っており、吉備の中山のもうひとつの磁場を形成しています。

まとめとして

歴史ある甘南備山をめぐる旅では、神社と神宮寺は往時の権力者の征服支配のシンボルにしかすぎません。
吉備の中山はそんな思いがひとしおの磐座信仰の山。起点と終点の吉備津彦神社、吉備津神社はどんなに国宝級の建物が見事であっても、山中の磐座のパワーには及びません。
今回はそんな見事な中山の磐座(夥しい磐座に共通する表情のみ掲載)巡りの面白さをお伝えします。

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/04/05 訪問

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