神々が宿るゴミ処理工場!大阪市環境局・舞洲工場はフンデルトヴァッサーの傑作

神々が宿るゴミ処理工場!大阪市環境局・舞洲工場はフンデルトヴァッサーの傑作

更新日:2015/05/10 17:19

山崎 ナオのプロフィール写真 山崎 ナオ ノスタグラフ代表、エディトリアルデザイナー、近代建築写真家、昭和レトロ街散策人
大阪ベイエリアといえば海遊館やユニバーサル・スタジオ・ジャパンが大人気の観光スポットですが、今回ご紹介するのはアートや建築好きの方には必見!建物自体が作品であり、思想であると言っても過言ではない、フンデルトヴァッサーが設計したゴミ処理工場です。この場所に訪れ、実際に観て肌で感じることで、彼の説いた「自然と共に生きる」ということが理解できるかもしれません!?

ここは「おもちゃの町」? はたまた「おとぎの国」か?

ここは「おもちゃの町」? はたまた「おとぎの国」か?

写真:山崎 ナオ

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舞洲(まいしま)は大阪・此花区の端にある人工島(埋め立て地)です。ユニバーサル・スタジオ・ジャパンからほど近いこの場所には、一度見たら忘れられない建築があります。

カラフルでリズミカル! 「おもちゃの町」「おとぎの国」と形容されてもおかしくないくらい。観ているだけで楽しくなるこの施設はフンデルトヴァッサーが設計した大阪市環境局 舞洲工場、つまりゴミ処理工場なのです。

フンデルトヴァッサーって誰だろう?

フンデルトヴァッサーって誰だろう?

写真:山崎 ナオ

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オーストリアの画家、建築家であり思想家のフリーデンスライヒ・フンデルトヴァッサー(Friedensreich=Hundertwasser 1928-2000)。彼は高層ビルや工業施設などの直線的なデザインを攻撃的であると考え、建築の合理主義を否定してきました。森に住み、公衆の面前で裸になったり、独自の思想を持ち建築にも自然への回帰を唱え、 曲線を多用した様式を提唱しました。

ゴミ処理場をミュージアムに改築した「クンストハウス・ウイーン」や、ウイーン郊外にある「シュピッテラウ焼却場」など、彼は自分の思想を具現化した設計や改装を手がけてきました。その一つが、この大阪市環境局 舞洲工場なのです。

外観もすごいが設備もすごい!

外観もすごいが設備もすごい!

写真:山崎 ナオ

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白と黄色のストライプの壁、赤とチェッカー柄のビル、水色の煙突とその突端にある黄金のミラーボール、木々が生い茂る敷地内。そして500を超える窓のうち8割が装飾だというこだわりのデザイン。総工費609億万円と別途デザイン費に6千万円かかっているこの施設は舞洲のシンボルといえます。

外観のすごさはお解りいただけた事だと思いますが、設備にもフンデルトヴァッサーの思想が深く根付いています。普通のごみ処理施設の機能はもちろんですが、さらに廃棄物を焼却した時に得られるエネルギーでタービンを回し発電して、工場内で使用される電力をまかない、さらには売却して年間数億円の収益を得ています。

ちなみに、大阪府が受け入れた東日本大震災による瓦礫は、こちらの施設で焼却されました。

神々が宿るゴミ処理工場。

神々が宿るゴミ処理工場。

写真:山崎 ナオ

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生前のフンデルトヴァッサーは言いました…
「直線とは建築家が発明したもの、自然界に直線は存在しない、直線に神は宿らない。創造する者のみが生きている、創造しないことは死ぬことだ」

彼の思想を忠実に具現化した外観と設備。都市が、人間が出した排泄物を大気と大地に還すための機能を有した巨大工場… もう、これは彼の理想そのものだと言えます。このゴミ処理工場にも、きっと神々が宿っているのではないでしょうか。

あとがき。入館して見学しよう!

大阪市環境局 舞洲工場は入館して見学することもできますので、みなさんも実際にこの場所へ訪れて、フンデルトヴァッサーの思想を具現化したごみ処理工場を肌で感じ、都市と自然環境の調和、エコロジー技術の融和を考えてみてはいかがでしょうか?

※入館見学は10日前の予約が必要です。時間・休館日など、お問い合わせの上ご予約くださいませ。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2013/05/04 訪問

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