バラと宿根草の“混植”が描く花景観・平塚「花菜ガーデン」

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バラと宿根草の“混植”が描く花景観・平塚「花菜ガーデン」

バラと宿根草の“混植”が描く花景観・平塚「花菜ガーデン」

更新日:2015/05/17 19:13

鷹野 圭のプロフィール写真 鷹野 圭 首都圏自然ライター

初夏のバラは一際華やかで、園芸ファンのみならず老若男女あらゆる人々を惹きつけます。近年は首都圏でも、王道の英国式庭園さながらの花景観を楽しめるようになりました。

ここ「花菜(かな)ガーデン」もバラの名所の一つです。平塚市の郊外、農耕地の一角にバラ園を軸としたガーデンが広がり、門をくぐれば別世界のよう……。特に、バラと様々な宿根草が共に植えられた“混植”が見所! 花の饗宴を存分にお楽しみください。

王道のバラ園は「花のプール」のよう。5〜6月が見頃です

王道のバラ園は「花のプール」のよう。5〜6月が見頃です

写真:鷹野 圭

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花菜ガーデンの敷地は約9.2ヘクタール。横浜スタジアムの3倍以上におよび、神奈川県内のガーデンとしては屈指のスケールを誇ります。植栽される花の種類も多岐にわたりますが、やはりまず押さえておきたいのはバラ園ですね。

写真の場所は「薔薇の轍(わだち)」といい、その名の通りバラを中心とした絶景スポット。5月末から6月にかけてが一番の見頃で、ご覧の通り多彩なバラが一面に咲き誇ります。まさにバラという感じの大輪咲きイングリッシュローズはもちろん、可愛らしい小輪咲きや、アーチの骨格が見えなくなるほどにたっぷりと咲いたつるバラなど、まさしくバラの王国。一瞬日本にいることを忘れてしまいそうです。さらに、この薔薇の轍はバラの歴史を辿るガーデンとされており、どのような品種改良を重ねて今のバラが生まれたのか?原種はどんなものだったのか?など、バラに見とれるだけでなく「学ぶ」こともできる場となっています。

歴史といえば、ここの開園を記念して作出されたバラも必見。「花菜ローズ」と名付けられたアプリコット系オレンジのこのバラは、有名なロザリアン(バラの育種家)である河合伸志さんが作出したもの。園内の一角で記念碑を囲うように植栽されており、暖色系の花弁が暖かな初夏の気候によくマッチしています。

〜混植1〜 ネットに絡むクレマチスは、バラとの相性抜群!

〜混植1〜 ネットに絡むクレマチスは、バラとの相性抜群!

写真:鷹野 圭

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いくつもの花弁が重なったような咲き方をすることが多いバラと違い、クレマチスは風車のような形で全く異なる花。ちょうどバラと同じく晩秋から初夏にかけて見頃を迎えます。花はシンプルな形ですが、多くの場合はバラよりも大きく、色も多彩なので結構目立ちます。花菜ガーデンでは、写真の「風ぐるま迷図」というゾーンがクレマチスに特化したエリアになっており、数十種の系統ごとに分けて植えられています。

単体でも美しく園芸ファンからの人気が高いクレマチスですが、他の花とコラボレーションさせることでさらに魅力が引き立ちます。「風ぐるま迷図」ではバラをはじめ、ツバキ、クリスマスローズ、サルビアなど様々な植物と隣り合わせで植栽されています。クレマチスはつる性のものが多く、ネットに絡ませて植込みに設置すると、他の植物を邪魔することなく景観に彩りを添えます。混植に使われるのはバラはもちろんのこと、一般的にフラワーショップなどで取り扱われている植物ばかり。もしお庭や花壇をお持ちの方は、ここでの組み合わせ方を参考に、ご自宅で試してみるといいでしょう。

〜混植2〜 バラと宿根草が描く、英国風メドウガーデンの美しさ

〜混植2〜 バラと宿根草が描く、英国風メドウガーデンの美しさ

写真:鷹野 圭

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花期を終えると枯れてしまい、シーズンを迎えると再び芽を出して成長していく宿根草。そのライフサイクルが季節の変化をはっきりと教えてくれる植物たちで、ナチュラルなガーデン風景を作りたい時には欠かせません。最近では日本でも自然志向が高まってきているためか、バラやチューリップなど「だけ」でなく、土と共に生きる宿根草を取り入れたガーデンが主流になりつつあるようです。

花菜ガーデンでも宿根草の種類は豊富。特に、写真のようにバラと混植されているシーンをよく見かけます。このコンビネーションは色合いのバリエーションを豊かにすることはもちろん、バラ単体では決して生み出せない自然な雰囲気を演出し、華やかさとナチュラル感が共存した花景観を生み出すことができます。

宿根草は花の色や形、大きさはもちろん、葉や茎の形状なども千差万別。それだけにバラとの組み合わせ方についても、方法は無限といっていいでしょう。暖色系同士で組み合わせて南国のような雰囲気にするもよし。逆に寒色系同士で涼しげかつ大人な雰囲気を狙うもよし。「これ」といった正解はありません。花菜ガーデンでは豊富な植栽空間を活かし、色々な組み合わせが試みられています。ぜひここで、お気に入りの混植スタイルを探してみてください。

ちなみにここでは、キク科の植物との混植が多いようです。上記の通りバラの花は花弁の重なり合う独特な形状なので、シンプルな形の花とのコンビネーションがよく合うのかもしれませんね。

チェコの作家の邸宅を再現した「バラのある家」

チェコの作家の邸宅を再現した「バラのある家」

写真:鷹野 圭

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20世紀前半を代表するチェコの作家 カレル・チャペック(1890〜1938)は園芸愛好家としても知られ、自宅の庭でガーデニングを楽しみ、著作『園芸家12ヵ月』は日本の園芸ファンからも高い人気を得ています。ここ花菜ガーデンでは、チャペック氏が生前に暮らし、今もなおチェコに残されている自宅とお庭を、園のシンボルとしてインストールしています。これは世界でも初めてのこと。一流の文化人が暮らし、そして生涯をかけて愛した庭は、整備されつくした定型式のガーデンとは違う「情緒」を漂わせ、いかにも「植えた」という人工的な印象がなく、自然と居心地の良さを覚えます。

フェンスを彩るつるバラがとりわけ目立ちますが、その他にもカンパニュラやドイツスズランなどの宿根草、あるいは一年草なども含めて多様な植物を植栽。四季それぞれに見頃を迎える花があり、いつ訪れても何かしらの楽しみがあるお庭となっています。家屋を囲むように効果的に配置された草花は、そのままあなたのご自宅でのガーデニングにも活かせるかもしれません。

欧州の野の花畑を再現! 自然観満載の空間ここにあり

欧州の野の花畑を再現! 自然観満載の空間ここにあり

写真:鷹野 圭

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人によるかもしれませんが、ここ花菜ガーデンでとりわけ目に留まりやすい印象的なスポットがここ。弓なりに細長く伸びた丘陵に、リナリア、ポピー、ネモフィラなどの数十種の草花がランダムに混植されています。『三日月山』と名付けられたこの花園は「メドウガーデン」と呼ばれ、近年のナチュラル志向の高まりにより日本でも徐々に増えつつあります。実際花菜ガーデンにおいても、1、2を争うほど人気な写真撮影のスポット。見られる花は年によってランダムに変化しますが、これもまた自然な植栽を心掛けているからこそ。

写真右上に見える展望台から見下ろすと、まるで色とりどりの絨毯が広がっているかのよう。地表が見えなくなるほどこんもりと茂った草花は、ヨーロッパの原風景を髣髴とさせます。これほど広くて植物種が多く、尚且つ見通しの利く花園は、首都圏の公園・庭園ではなかなか目にする機会がないことでしょう。

開園わずか5年ながら、首都圏最高ランクの総合植物公園!

草花が根付き、満開期のバラは日本有数の美しさ。完成されたガーデンという印象の強い花菜ガーデンですが、開園されたのは2010年3月と結構最近のことだったりします。にも拘らず、花の種類・数ともに大変充実。何より花景観のバリエーションが一番の魅力で、バラ園『薔薇の轍』を軸に、メドウガーデンあり、スイレンの咲く水景あり、そして田畑が広がる『アグリゾーン』もありと、植物の様々な姿を楽しめます。アグリゾーンは素朴で華やかさこそあまりないものの、かつての農村風景をよく再現しています。初夏にはナスなどが花を咲かせ、これもまたなかなか可愛らしいです。

毎年6月中旬までローズフェスティバルを開催しており、バラをはじめ花苗の販売なども大々的に実施されます。園内の植栽スタイルを参考に、ご自宅のお庭づくりのために苗を購入するもよし。単純に散策や写真撮影を楽しむもよし。花好きの方なら1日たっぷりと楽しめる、関東屈指の花の名スポットです。


【アクセス】
JR平塚駅北口より、神奈川中央交通バスで約20分(「平塚養護学校前」下車)

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掲載内容は執筆時点のものです。 2014/05/25 訪問

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