本尊の関節が鎖によって結ばれ、動かせることから「鎖大師」の名で親しまれています。
お寺にはこんな逸話が残されています。ある日弘法大師が修行を行っていると天女が現れ、仏舎利を託されました。翌朝大師が起きてみると青いハスの花が一面に咲いていたというのです。この寺の名前もこの伝承に由来しており、手入れが行き届いた境内の庭園は、四季折々の木々が花を咲かせています。
参拝の際には時間に余裕をもって行動されるとよいでしょう。交通の便があまり良くないので、乗り過ごしてしまうと暇を持て余してしまいます。目の前に江ノ電バスの停留所はありますが、「定刻通り」とは言い切れず、最寄の湘南モノレール「湘南深沢駅」からも徒歩で10分以上はかかってしまいます。
青蓮寺の末寺。境内にある「地蔵堂」の石地蔵は「いぼとり地蔵」として人々から信仰され、「いぼが取れる」、「子供が元気に育つ」といわれています。また、薬師堂の薬師如来は「町屋薬師」とも呼ばれ、病気を治してくれる仏様としても有名です。
関東大震災によって本堂・山門・薬師堂は大被害を受けました。寺院の関係者は復興に尽力しましたが、不況や戦争によって再建が思うようにはいかなかったようです。戦後、本堂の再建 、その約25年後には薬師堂の再建、平成の時代になり客殿の建立・境内整備事業が行われ、現在に至っています。
再建から日が浅いこともあり、敷かれた石畳は石灰色で、植えられている木々も南国を想わせるなど、鎌倉主流の禅寺と比較すると鮮やかな境内です。また、周囲は住宅街であるため、とても静寂した時間が流れています。網代笠をかぶった弘法大師のお姿が修行の厳しさを物語っているようです。
寺院の正式名称は聖天山歓喜院玉泉寺。江戸時代初期、後北条氏の家臣であった小林若狭が建立したと伝えられる寺院です。
寺院の裏のやぐらには、小林若狭の父とその家臣一族数十名が葬られているそうです。本尊の不動明王像は、胎内に小さなお不動さまを抱えていることから、「胎内不動」と呼ばれています。この小さな不動尊は鎌倉時代に願行上人が作ったとされるもので、正月の三が日のみ開帳されています。
周辺は民家でとても閑静な場所にあり、平日などは人通りも少なくゆっくりと観てまわることができます。最寄の大船駅から徒歩で行く途中、寺院へと続くトンネルがあります。そこを抜けると幹線道路の音も一切聞こえなくなり、新緑の匂いに溢れています。玉縄地区といえば真っ先に「大船観音」の名が挙がりますが、少し足を伸ばすと隠れた名跡に辿り着きます。
弘法大師が巡礼中、この地で護摩行・虚空蔵求聞持法等を修めたと伝えられています。
その後1219年に北条泰時が高僧を招き、本尊に不動明王をまつり、建立しました。1333年に新田義貞が鎌倉に攻め入った際に御堂は焼失しましたが、江戸時代になって祐尊という僧侶が復興に尽力し現在に至っています。また、本尊は「縁結び」の不動明王として人々に信仰されています。
江ノ電の極楽寺駅から海に向かって歩いていくと寺院の看板が目に飛び込んできます。「西結界」と書かれた門をくぐり、境内までの階段を登り終えると眼下には湘南海岸を一望できる絶景を拝むことができます。ベンチでもあればよいのですが、境内も含め休憩ができる場所がないので、長居をするには少々つらいものがあります。6月上旬からはアジサイの咲く時季となり、明月院、長谷寺と並ぶ名所として多くの参拝客で賑わいます。
平安時代、全国を旅することはまさに「修行」そのものでした。現在も全国数多に弘法大師ゆかりの地が残っていることには驚かされます。(写真は「青蓮寺」に立つ弘法大師像)
西国を中心に巡礼を行っていた大師ですが、「全国」となると、その定義は曖昧であり、関東あたりまでとする説や東北まで足を伸ばしたという説もあります。しかし、これらの伝説や伝承は実際に大師が各地に足跡を残したかどうかというよりも、当時の庶民にとって大師の教えが身近な心のよりどころになっていたのか、という点が重要なのです。つまり、足跡の有無によって、価値が低くなるというようなことはないのです。
その信仰の表れとして、関東でも都内をはじめ、栃木、群馬、埼玉など数多くの霊場が存在し、現在も多くの巡礼者が訪れています。
鎌倉市内にある弘法大師ゆかりの寺院は交通機関なしでは1日でまわることはできません。ちなみに徒歩で次の寺院へ向かう場合、最低でも30分以上を要します。当然、平安時代はすべて徒歩ですから、鎌倉、神奈川県内、関東地方と範囲を広げていった場合、移動がどれだけ大変だったのかは想像するに難くありません。
寺院には必ず弘法大師像が立っています。網代笠をかぶり、右手には金剛杖、左手には数珠や拓鉢を持っています。都とは違い、「荒くれ者の坂東」と呼ばれるほど当時、関東は田舎でした。像から推察する限り、そうした場所へ赴くことが「修行」であり、悟りの境地へ達するのだという強い信念が伝わってきます。
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