写真:乾口 達司
地図を見る岡山県久米郡美咲町の山間に位置する亀甲駅(かめのこうえき)は岡山駅と津山駅とを結ぶJR津山線の駅。相対式のホーム2面をそなえた地上駅で、ホームとホームのあいだは跨線橋で連絡されています。その駅の構造は地方の路線でしばしば見られるごく一般的なものですが、亀甲駅がほかの駅と異なるのは、ご覧のような珍しい形の駅舎を持っていること!まさしく岡山を代表する珍スポットであるといえるでしょう。
屋根から突き出した亀の首がどれほど大きいか、横に停車している車の大きさからうかがえますよね。よく観察すると、亀の両目には時計がはめ込まれており、それが亀の表情をユーモラスなものにしています。しかし、亀をかたどったのは何も首の部分だけではありません。画面ではわかりにくいかと思いますが、胴体部分に当たる駅舎本体も六角形の亀甲をかたどっており、屋根には甲羅までしつらえられているのです。ここまで念入りに亀の形を再現しようとした熱意には脱帽ですね。
写真:乾口 達司
地図を見るこちらは正面から撮影した駅舎。1枚目の写真に写る亀の表情がユーモラスだったのに比べて、こちらはきりっとした凛々しさが際立っています。いろいろな角度からその表情を眺めましょう。
写真:乾口 達司
地図を見るその強烈なインパクトに目を奪われてしまいがちですが、訪問時には駅舎の内部もじっくり観察してください。甲羅に当たる天井部分を内部から見上げると、どのように木材が組み合わされているかがわかりますが、天井だけでなく足許にも注目。プラスチックケースには何と本物の亀も飼育されているではありませんか。ほかにも、亀をかたどった銅像や小物、玩具類が多数展示されており、まさしく亀尽くし!亀好きの方にはたまらない空間です。
写真:乾口 達司
地図を見る駅舎には亀甲駅特製の記念スタンプもそなえつけられています。もちろん、その図柄にも亀が描かれています。旅の思い出にスタンプを押してみてはいかがでしょうか。
写真:乾口 達司
地図を見るしかし、ここまで亀尽くしだといったい亀甲駅の名前にはどういった由来があるのか、とても知りたくなりますよね。実は駅から歩いて数分、美咲町第二分庁舎の横には、その名前の由来となった岩が存在しているのです。写真がその亀甲岩です。
亀甲岩には2つの伝説が残されています。その一つは、昔、日本全国をめぐり歩いていた六部(巡礼者)が当地で行き倒れた話にもとづきます。六部の死を哀れに思った里人が遺体を埋葬すると、蒼い月の出ていたある夜、巨大な岩が弘法大師の尊像を乗せて地上にせり上がりました。その岩の形が亀の甲羅に似ていたことから岩は亀甲岩と呼ばれ、当地の名の由来になったとのこと。
もう一つは、稲荷山城主であった原田三河守が他家に嫁いだ愛娘のために立派な別荘を建てたというエピソードにちなみます。別荘の建造後、その敷地に亀の形をした大きな岩が出現。それが現在の亀甲岩であるとのこと。
2つの伝説を比べるとその由来はまったく異なりますが、少なくとも亀甲駅が写真の亀甲岩に由来していることは間違いありませんね。
亀甲駅の亀型駅舎がどのようなものか、おわかりいただけたでしょうか。上にも紹介したように、岡山駅と津山駅とのあいだに位置しているため、鉄道でのアクセスは快適。岡山―津山間を旅する際、亀甲駅に降り立ち、そのユーモアに富んだ駅舎の魅力をぜひご堪能ください。
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この記事を書いたナビゲーター
乾口 達司
これまでは日本文学や歴史学の世界で培った見識にもとづいて数多くの評論や書評を執筆してまいりました。奈良生まれ、奈良育ちの生粋の奈良っ子。奈良といえば日本を代表する観光地の一つですが、地元民の立場からい…
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