大阪ミナミ・法善寺横丁の不動明王さまのもふもふがスゴイ

大阪ミナミ・法善寺横丁の不動明王さまのもふもふがスゴイ

更新日:2018/01/22 18:54

東郷 カオルのプロフィール写真 東郷 カオル 癒されたい系女子旅ライター、ラグジュアリーホテルライター
大阪ミナミには「お不動様」と慕われている不動明王像があります。本来不動明王は憤怒の表情で、ちょっとコワモテ。ところがミナミの法善寺のお不動様は、もっふもふの癒し系。かろうじてその形を留めるだけに苔で覆われています。お不動様がいる法善寺までの通りは「法善寺横丁」と呼ばれ、小さな飲食店がひしめき合い、観光客や地元の人で人気のエリア。ミナミの観光を楽しんだ後は、もふもふのお不動様に癒されましょう。

「わたし、脱いだらスゴイんです」

「わたし、脱いだらスゴイんです」

写真:東郷 カオル

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不動明王といえば憤怒の形相で、右手に剣、左手に羂索(けんじゃく)を持って、ちょっと悪いことをすると懲らしめられそうなイメージ。ところがこちら、大阪ミナミの法善寺の不動明王様は一味違います。まるで愛・地球博のモリゾーのようにもっふもふで癒し系なのです。
すでに元の形はわからないくらい体のラインが隠れていて、「こう見えても、私、脱いだらスゴイんです」とでも言いそうな風体。きっと苔を脱いだら、泣く子も黙る不動明王像らしいスゴイ形相なのでしょうね。この不動明王様は水掛不動さんで、参詣者が熱心にお水を掛けるものですから、このように苔でびっしりと覆われてしまい、その体からはマイナスイオンさえ感じるほどの癒し系不動明王像となったのです。

不動明王様はミナミの繁華街に

不動明王様はミナミの繁華街に

写真:東郷 カオル

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法善寺は織田作之助の小説「夫婦善哉」で有名な法善寺横丁の奥にあるお寺。古き良き時代のなにわ情緒が感じられる貴重な場所です。法善寺横丁は東西に伸びる細い路地。多くの人が利用する東の入口の看板をくぐり細い石畳を進んでいくと、左右には小さな飲食店がびっしりと軒を連ねています。この横丁は美味しいお店が多く、イタリアンやフレンチのお店もあり観光客でもハズレなく“なにわ”の雰囲気とグルメを楽しむことのできるエリア。

しばらく進むと急にお線香の香りが濃くなり、突然視界が開け法善寺が現れます。この何とも言えない不思議な雰囲気が旅行者、特に海外からの観光客に人気なのでしょうか。いつ訪れても人が絶えない、大阪ミナミの繁華街にあるお寺です。

大阪らしい交流も

大阪らしい交流も

写真:東郷 カオル

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大阪人はみんな親切。遠巻きに見ている外国人観光客がいると、身振り手振りでお作法を教えはじめます。おっちゃん・おばちゃん、性別に関係なく、だいたいの大阪人は困った人を見て見ぬふりができないので、教えだすのです。あまりにもずっと語っている男性がいたので、お寺の方かと思いきや、お参りにきた近所のおっちゃんだったりすることも。
そのガイド内容は、水のかけ方から歴史や火災のことまで、多岐にわたります。

「謝意」の看板

「謝意」の看板

写真:東郷 カオル

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法善寺横丁の看板の裏には「謝意」と書かれた看板があります。実は法善寺横丁は平成14年(2002年)に火災に見舞われています。これは隣接する旧「中座」の解体工事現場から出火したもので、法善寺横丁にも延焼。そしてその翌年も横丁の飲食店から出火するという、短期間で2度の火災に遭遇しているのです。この出来事は、一度でもこの横丁の飲み屋で楽しい一時を過ごした記憶のある大阪人の心に、深く刻み込まれています。2014年に十三(じゅうそう)の“しょんべん横丁”の火災で、法善寺横丁のことを思い出された方も多いことでしょう。昔ながらの味のある横丁は木造建築で燃えやすい上、道幅も狭く消火活動が難航するのは共通していますね。
法善寺横丁の復興に際し、現行の建築基準法では路地の幅を広げなければいけないという規制にかかりましたが、市民や文人・芸人らの署名活動などの成果もあり、特例ということで以前のままの姿を留めることができています。この「謝意」の看板は、復興支援の感謝を表すものなのです。

古き良き“なにわ”めぐり

大阪は都会ではありますが、今なおこのような昔ながらの横丁が残っているエリアもあります。お店も昔ながらの飲み屋に加え、オシャレなイタリアンやフレンチも増え、幅広い世代から親しまれています。このような横丁はひとたび火災に見舞われると再建が困難です。大阪を旅行中に横丁を見つけたら、立ち寄ってみてください。昔ながらのなにわ情緒を楽しめることでしょう。

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