天草にキリスト教が伝来したのは1556年の江戸時代。キリスト教弾圧に対抗した“天草・島原の乱”の後、再びキリスト教が解禁された明治40年の夏、北原白秋をはじめとする5人の若き詩人たちが天草を旅し「五足の靴」という紀行文を新聞に発表、数奇の運命の中ひっそりと守り受け継がれてきた天草の南蛮文化が注目を集めます。彼らが想いを馳せながら歩き、文章に残した旅の道がここ「五足のくつ」の敷地内の庭に、今は遊歩道として残っています。
沈丁花の花の香り、妖艶な彩の紫陽花、真紅の椿と、どの季節にも遊歩道の横には花々が咲き乱れ、生命を生む小川がせせらぎ、どこまで続いているのだろうと思うほどの樹木が、入口の門から海へと続き、敷地内とは思えないその壮大な自然に、畏敬の念を払わずにはいられないほど神秘的。その聖なる空気ただよう森の中に、完全に独立した離れ形式の客室15棟はひっそりと点在しています。
眺望と異なるコンセプトごとに、贅沢な空間と全てに天然温泉かけ流しの露天温泉風呂がついている客室棟は、南蛮文化ただよう古民家風平屋から、天蓋付きのベッドがある2階建てのもの、山の上に建ち海まで望む建築など、全て異なる趣きがありどこに泊まるか悩むほど。
宿泊予約時に滞在棟を選べるA・B・C3タイプの魅力的なヴィラ。20泊も連泊して、棟を変えて楽しみながら滞在した方もいらっしゃるそうですよ。
注連縄(しめなわ)を飾る天草の風習が玄関に残る「五足のくつ」ヴィラA。隠れキリシタンの歴史を持つ天草では一年中、注連縄を飾ることでキリシタンではないと証明していたそうです。そんな“OLD天草”をテーマに、敷地内の五足の靴・文学遊歩道沿いに間取りが異なる6棟の素朴なヴィラが点在しています。
引き戸の玄関にはステンドガラスが埋め込まれ、どの棟もソファーのあるリビングを中心に、ベッドルームや廊下で繋がれた寝室にもなる和室がある落ち着いた雰囲気。
写真の部屋はヴィラA-5の和室で、茶室の丸窓のような障子窓からは、新緑や紅葉が絵画のように楽しめます。ぬれ縁のある庭先では小鳥や蝶が戯れ、耳をすませば森の中からウグイスや虫の声が聞こえてきて、思わず外出したくなくなるほど。とても居心地がいい贅沢な時間がながれているのです。
客室ごとに付くかけ流し・天然温泉露天風呂ですが、先ほどご紹介したヴィラA-5の露天風呂(写真の露天風呂)は、東シナ海を望む庭先に大人2〜3人が同時に入れるほどの圧倒的な大きさ!
周りには樹木や野の花が生い茂り、マイナスイオンを浴びながら好きな時間に好きなだけ、自分だけの露天風呂で至福の時間を過ごせます。露天風呂の手前には広い洗い場とヒバの木で出来た内風呂もあり、ガラス張りの浴室にはキラキラと輝く木漏れ日が差し込んで開放的。
この露天では、晴れた日には東シナ海が見え、雨の日には樹木が屋根替わりとなり、自然の匂いや音、景色に包まれてゆるりと寛げます。夜には満天の星空を見ながら湯船に浸かることもできますよ。
写真とは異なりますが、別のヴィラA-6では露天風呂やリビングから1日中海を眺めていられるような間取りになっています。東シナ海を望むように建つヴィラの露天からは、太陽が沈みかけた夕暮れ時の海、月明かりが浮かぶ夜の海、うっすらと青い朝の海と、湯船に浸かりながら刻々と変化をする天草の海の景色が楽しめます!
ヴィラAとヴィラBがある敷地より、さらに登って行った山の中腹にあるのが、5棟の離れと専用レストランなどから成り立つヴィラCです。
ここは「五足のくつ」開業当初にはなかった新たに開発された独立ヴィラで、“キリスト教が伝来した中世の天草”をコンセプトに、このヴィラでの宿泊ゲストしか入れないプライベートな空間が広がっています。ヴィラC離れの客室は、すべてワンルームタイプの海に面した洋室で、寝室にはキングサイズのベッドがツインで用意され、各部屋にかけ流し・天然温泉露天風呂と内湯、ガーデン・シャワーブースがついています。
ヴィラCにしかない施設が、写真の海を望むカフェテラス!専用エントランスから続く教会のような廊下を抜けると、海を渡る風と鳥たちのさえずりに包まれたテラス席が現れます。
まるで湖のように静かな東シナ海を目の前に、爽やかな朝や黄昏れ時、いつでも好きな時間に利用できます。天草の海と自然豊かな森に囲まれて、心穏やかな時を過ごせるスポットです。
最後にご紹介するヴィラBは、全て2階建てのメゾネットタイプの建築で、まるでヨーロッパの海岸を思わせるような小路に、4棟のかけ流し・天然温泉露天風呂が庭に付いた、離れが点在しています。
ヴィラBは海が見えるお食事処“五足のくつ・邪宗門”から一番近いエリアで、全ての棟の1階には、ゆったりとしたリビングが用意されています。部屋から出たくない方にもってこいの間取りで、夕食を一品ずつ運んでもらい、リビングでいただくことも可能です。
海と空が接する場所を眺められるようにと建てられた2階からは、“邪宗門”の天草独特でカラフルな本瓦屋根越しに、コントラストが美しい青い海を眺めることができます。そして夕陽の時間には、ぜひ外に出てみてください。日本の夕陽百選に選ばれた鬼海ヶ浦(きかいがうら)の上にある遊歩道から、太陽が海に沈みゆく、空も海も茜色に染まる瞬間に立ち会えます。
どのヴィラに滞在するかはあなた次第。それぞれの個性豊かなヴィラでは、息を呑むような光景が待っていますよ!
個性豊かな客室を紹介いたしましたが、「五足のくつ」には、グレゴリオ聖歌が流れ、聖母子像が優しく見守る食事処の“邪宗門”や、ライブラリー、バーなど、天草の魅力がつまった施設がたくさんあります。
また、天草下島の中であれば、どこにでも無料送迎してくれるサービスや、源泉かけ流しの露天温泉風呂を、循環させすに好みの温度に調整してくれる湯守りサービス、客室の充実したアメニティーなど、素晴らしいおもてなしがいっぱいです!
日本の夕陽百選に選ばれた“鬼海ヶ浦展望所”のすぐ上に広がる、海に浮かぶ森のような「五足のくつ」は、何度でも訪れたくなる、旅行家のオーナーが作った天草らしい温泉宿です。
この記事の関連MEMO
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
熊本県へ行く旅行プラン
条件を指定して検索