明知鉄道はJR中央線の恵那駅と明智駅を結ぶ、全長約25kmのローカル線です。昼間は1両のワンマンカーがゆっくりと走っています。今回は恵那駅から乗車し、まずは飯羽間駅を目指します。明知鉄道は恵那駅を出発すると、中央線と離れて大きく右にカーブをしていきます。一度中津川市内に入り、再び恵那市内へ。のんびりゆられること25分ほどで、最初の目的地飯羽間駅に到着です。
質素な作りの待合室がホーム上にぽつんとあるだけの駅ですが、これがまたなんとも味がある駅ではありませんか!列車を降りてからも、列車が見えなくなるまで見送りたくなるような風景です。
さてそんな飯羽間駅から最初に目指すのは、築120年の茅葺屋根の大きな古民家。のんびりとした農村風景を眺めながらゆっくりとお散歩すること20分。遠くからでもその建物の大きさが分かります。
こちらの茅葺の古民家は、恵那市岩村町富田地区というところに建っています。この富田地区は、古い日本の農村景観を見事に残している、として日本一の農村景観と名付けられた地区なのです。
こちらの古民家は「茅の宿とみだ」として、宿泊はもちろん、さまざまな農村体験をできる場として営業しています。田植えや稲刈り、山菜取り、また、自分たちで作った郷土料理の五平餅を、囲炉裏で焼きながら食べたりすることもできます。宿泊は4名以上から受け付けており、一棟まるまる貸切で利用できます。古民家であるにもかかわらず、近代的なオール電化のキッチンや、追い炊き機能の付いた最新式の浴槽などがあり、快適に宿泊することができます。
春から秋にかけては土曜、日曜を中心に、和風喫茶・お食事処としても営業していますので、宿泊されない方でも、古民家体験ができますよ。焼き立ての五平餅とお茶でいっぷくしてみてはいかがでしょう。
○茅の宿 とみだ
岐阜県恵那市岩村町富田2024
0573-43-4021
大人1泊2食付 8500円
古民家からさらに10分ほど歩き、農村景観日本一の風景が一望できる展望台に上ってみました。一見すると田舎によくある風景ですが、この風景がどうして農村景観日本一なのでしょうか?
今からさかのぼること約25年前の平成元年に、環境問題を研究している京都教育大学の教授を中心とした国土問題研究会が、この恵那市岩村町富田地区を訪れ、近代的な建物がほとんどなく、山、川、など景観を形成する要素と、針葉樹、広葉樹などの森、瓦と白壁でできた農家、さらにため池と田の配合などが、昔ながらの農村風景を、完全に残している状態であるとし、この地を「日本一の農村景観」であるとマスコミなどに発表したことがそもそもの始まりです。
残念ながら私が訪れた日は、あいにくの曇天でしたが、しばらくこの景色を眺めているだけで、ゆったりとした気持ちになれました。晴れた日には遠くの山々も見え、日本一の農村景観と言われるにふさわしい風景が広がります。
さて日本一の農村風景を十分ご覧になったら、また飯羽間駅まで戻りましょう。飯羽間駅から下り列車にのって二駅目、岩村駅に到着です。この岩村駅で降りると、重要伝統的建造物群保存地区に指定されている古い街並みがご覧になれます。
その街並みの中にひときわ目を引く「カステーラ」の看板。岩村町の老舗「松浦軒本舗」です。その昔、長崎に留学していた岩村藩の医師が、当時のカステーラの直伝の製法をこの岩村に持ち帰り、そのまま伝わったのがこの「松浦軒本舗」のカステーラなのです。当時は「加寿天以羅」と書かれていたようですよ。
しっとりとした食感の「カステーラ」に、香り豊かなブランデーが入り大人びた味わいの「ブランデーカステーラ」、選りすぐった高級抹茶を絶妙に配合した「抹茶カステーラ」の3種類があり、どれも喜ばれるお土産となります。お取り寄せもできますので、ご自宅に帰ってから注文することもできます。
○松浦軒本舗(火曜定休)
岩村町809-6
0573-43-2329
「松浦軒本舗」以外にも、この歴史ある古い町並みには見どころがたくさんあります。江戸時代後期に台頭した商家「勝川家」は、内部を無料で公開しています。茶室や土蔵などから当時の様子が垣間見れます。また、恵那市の文化財に指定されている問屋「木村邸」も内部を公開しています。
お酒が好きな方は「岩村醸造」をのぞいてみませんか。全国新酒鑑評会で2009年と2010年の2年連続で金賞を受賞した、200年以上の歴史のある造り酒屋です。店の軒先に大きな杉玉が掲げられ、建物の一部は築300年以上だということです。酒蔵の見学も無料ででき、試飲のコーナーもあります。「女城主」というお酒が主力商品ですが、ほかにも「ゑなのほまれ」「幻の城」といったお酒もあります。
この古い町並みには、岐阜信用金庫や岩村郵便局などの金融機関も、格子戸で囲まれた外観にするなど、町並みに溶け込むような工夫がされています。
明知鉄道を使った恵那市岩村町の旅。ローカル鉄道ののどかさと、日本一の農村景観、そして銘菓に地酒と、目も舌も満足するゆったりとした旅になることまちがいなしです。
○勝川家(火曜休館)
見学無料
○木村邸宅(月曜休館)
見学料金 大人200円
○岩村醸造(定休日なし)
見学無料
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