1979年、故・益富寿之助博士が「日本地学研究会館」として設立したのが始まりです。もともとは漢方薬局を経営し薬剤師だった博士。その傍ら、アマチュア鉱物研究家として研究に没頭。「地学研究を志すすべての人のためになるように」と、この会館を設立し、1991年には財団法人となりました。
博士は、正倉院の石薬(正倉院に収められている様々な漢方薬、植物、鉱物)の調査、石製宝物の調査研究に従事、これにより博士号を授与されます。それだけでなく、紫綬褒章や京都府文化特別功労賞、 勲四等旭日小綬章など数多く受賞。地学普及のために全力を尽くした薬学博士であり鉱物学者なのです。小さい頃から石に興味を持ち、「その面白さを知ってもらいたい!」という気持ち。この「石ふしぎ博物館=益富地学会館」にはそんな博士の想いが、そこら中に溢れています。
ちなみに滋賀県で発見された「益富雲母」は、益富博士の業績を称えて命名されたものです。
鉄骨三階建てとなっているこのビルは、一階に、室内講習会などに使われる多目的ホール。そして地学研究用品や発掘道具など、ちょっとしたグッズが置いてあるショップ。ここには標本書籍、ミニ化石、鉱物なども売っています。最初に入るより、ひと通り博物館を楽しんでから、最後にこのショップへ来るのがおススメ。説明を聞くのと聞かないのでは、商品がまるで違って見えてきます!つい欲しくなるアイテムばかり。
二階は地学関連の論文や図書が数千冊置いてあり、会員になると閲覧可能です。X線粉末回析装置や薄型研磨機など、アマチュア研究者のための機器が揃っているのも研究者にとっては助かりますね。
三階がメインフロア!世界中の鉱物、岩石、化石、地質標本約20000点が展示。このほとんどが益富博士が収集したものだというから驚きです。さらにこの博物館の収集活動や全国からの寄贈によって、どんどん増えているのだとか。展示解説員さんが細かく解説してくれたり、聞けばなんでも答えてくれるので、わからないことがあればお気軽にお尋ねください。
入ってとにかく圧巻なのはその数の膨大さと、どの展示物にもひとつひとつ説明書きが、(しかもほぼ手書き!)付けられていること。石の名前や採石地、化学組成や石の年代などが事細かに記入され、見どころや特徴がわかりやすくなっています。そして当然ながら、私たちがこれまで見たことのないような石がたくさん!
溶岩が冷えて固まった、その隆々とした溶岩の動き。大きなアンモナイトの化石を見れば、「こんな生物がもしそこにいたら…」と想像をめぐらせてはわくわくします。
日本産の鉱物標本は特に充実していて、今は手に入らないものも並んでいるのだとか。
京都の化石コーナーもみどころで、昔はどの辺りが海に沈んでいたのか、化石から知ることもできて驚きますよ。
ここ「石ふしぎ博物館」は一般公開が毎週土日祝日だけ。(団体様事前予約があれば平日も観覧可能)開館中は、展示解説員のかたがいて、丁寧に説明してくれます。「わからないことがあれば何でも聞いてください」「写真はご自由にどうぞ。うちは珍しく、写真撮影自由な博物館なんです」と、にっこり微笑んでくれます。
そしていろいろ眺めていると、「触ってみよう」「どれが本物の水晶かわかるかな?」とところどころ、実際に見て触れて学ぶことを教えてくれるのが楽しい。本物の水晶の見分け方を教えてもらい、「これでガラス玉を水晶だと偽って売りつける詐欺に引っ掛からずに済みますよ」とひとこと。なるほど、それもそうだ!と笑いながら、またひとつ勉強になります。
光る石、文字が浮き上がって見える石。何千年、何万年もかかって出来上がった鉱物たちの歴史を見ていると、壮大なロマンを感じます。知れば知るほど奥が深く、また疑問や質問もどんどん浮かんでくることでしょう。好奇心をますます掻き立ててくれます。
他にもコンニャクのように曲がる「コンニャク石」や豚肉のような「豚肉石」、磁石の元となる鉱物など、身近に感じられる石があったり、恐竜の卵やピカイアの化石など太古の息吹を感じさせるものもたくさん。これらも教科書や図鑑では見たことがあっても、実際に見るとまた伝わってくるものが違うはずです。
「石ふしぎ博物館」は子どもたちの自由研究のテーマとしてもいいですし、「石になんて興味がない」と思っている人も、想像以上に楽しめます。館内はそんなに広くありませんが、ギッシリと益富博士の愛とロマンが詰まった場所。身近にある石も実は何万年もの歴史を経てきたのだと思うと、感慨深いはず。単なる石ころとは思えなくなってきますよ。ぜひ、日常をワクワクさせてくれる、「石ふしぎ博物館」へお越しください。
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(2024/4/19更新)
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