街に息づく近代建築が大阪探訪の魅力!〜大阪市・キタ〜

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街に息づく近代建築が大阪探訪の魅力!〜大阪市・キタ〜

街に息づく近代建築が大阪探訪の魅力!〜大阪市・キタ〜

更新日:2015/06/15 12:36

小谷 結城のプロフィール写真 小谷 結城 国内旅行業務取扱管理者、京都検定2級、温泉ソムリエ、日本城郭検定2級、国内旅行地理検定2級

よく「食い倒れの街」と形容される大阪ではありますが、大阪の街を楽しみつくすなら、ぜひ、もう一つの見方を持つことをおすすめします。それが近代建築です。

明治末期から昭和初期にかけて、大阪には東京を凌駕するほどの繁栄を見た大大阪時代がありました。今も残る近代建築は、当時の名残です。しかし、それは今もしっかりと街に息づいており、歩くほどにかつての繁栄と今の街の息づかいを聞かせてくれます。

キタのランドマークといえばこれ!「大阪市中央公会堂」

キタのランドマークといえばこれ!「大阪市中央公会堂」

写真:小谷 結城

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近代建築めぐりの起点は中之島、かの有名な大阪市中央公会堂です。築大正7(1918)年、鉄骨レンガ造りのネオ・ルネサンス様式です。基本設計は岡田信一郎、実施設計は辰野金吾とその教え子・片岡安です。

ローマで考案された主要なオーダー(柱の様式)の中で最も豪華なコンポジット式の柱にペディメント(破風)が支えられていたり、柱の上に重厚なエンタブレチュア(水平構造)が貫いていたり、窓がシンプルな長方形だったりする点はルネサンス様式そのものと言えるでしょう。

しかし、ペディメント自体が半円アーチで、柱を伴ってジャイアントオーダー(2階以上の巨大アーチ)となっている点は、バロック様式をよく表現しており、この点が「ネオ」・ルネサンス様式のゆえんでしょうか。

もう少し引いてその姿を見てみると、左右対称、赤レンガと花崗岩の帯石が紅白のストライプ状に配され、重厚感の中にも軽やかさを感じます。これこそが辰野金吾流の建築様式・辰野式です。同じく中之島にある日銀大阪支店も金吾の設計なのですが、スタイルを確立した前と後との外観の差に驚きます。

夜間のライトアップされた姿もおすすめです。

銀行建築の美しさと安心感「新井ビル」

銀行建築の美しさと安心感「新井ビル」

写真:小谷 結城

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中央公会堂から中之島をもう少し東に歩くと難波橋です。阿吽の口をしたライオン像が圧巻な、大正4(1915)年建設の名橋になります。難波橋から南へ下りましょう。エントランスに力強さを感じる大阪証券取引所を左に見ながら、堺筋を進めば次の目的地の新井ビルに至ります。

新井ビルは、大正11(1922)年に報徳銀行大阪支店として誕生しました。設計は辰野金吾の3年後輩にあたる河合浩蔵です。神戸を拠点に活動した関西建築界の重鎮です。

銀行建築は、ここに貯蔵されていることに安心感を得られるようなデザインが求められます。これに則り、左右対称、素材感を出したルスティカ仕上げの石張り1階部分は、装飾の少ないシンプルな柱が4本がっしりと支えており、窓にも立派な要石(窓の上縁にはまる3つの石のこと)が付けられています。

2階より上はタイル貼り。重厚感ある1階に対して、タイル部分はほどほどな装飾が安定感を感じさせます。建築様式は当時流行のセセッション様式(古典様式を基礎としながらも新しいデザインを追求したもの)でユニークな装飾も見られますが、充分に銀行らしい近代建築と言えるでしょう。

現在は新井家がビルを買い取り新井証券を営業しています。1・2階部分には洋菓子店「五感」が入居しており、名建築の中でスイーツを楽しめるのもこのビルの魅力です。

ビジネス街の中にも辰野式「オペラ・ドメーヌ高麗橋」

ビジネス街の中にも辰野式「オペラ・ドメーヌ高麗橋」

写真:小谷 結城

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新井ビルからさらに南へ、黄土色のモダンなビルまで進みます。昭和モダニズム建築を代表する安井武雄によって昭和2(1927)年に建設された高麗橋野村ビルディングです。モダンでアールデコ調ではありますが型にとらわれておらず、安井は「自由様式」と自称しました。

これを右に折れます。しばらくすると赤レンガの建物が左側に見えてきます。オペラ・ドメーヌ高麗橋です。花崗岩の帯石も付いており、誰かのデザインを連想させます。そうです、こちらも辰野金吾の設計です。

主だった装飾はドア周りやペディメントに留められ、同じ辰野式でも中央公会堂よりこちらのほうがずっしりとした重みを感じます。現在はウェディングの運営を行う会社が使用していますが、もともと保険会社の社屋として建てられたため、華やかさよりも安定感を感じさせるような装いに仕上げたのかもしれません。

様式にとらわれないヴォーリズ建築「浪花教会」

様式にとらわれないヴォーリズ建築「浪花教会」

写真:小谷 結城

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次に取り上げたい建築は、すぐ隣に並ぶ浪花教会です。

浪花教会は昭和52(1977)年、戦前に教会や学校を数多く設計したことで知られるヴォーリズの設計指導で竹中工務店により建てられました。これまでの建物と決定的に異なるのは窓です。尖頭アーチにステンドグラスの組み合わせはややルネサンス様式の前に流行したゴシック様式を連想させます。

内部はモダンかつシンプルです。天井も教会らしくアーチを描いています。天井の補強は梁を1本通しただけで、リブ(アーチ状の帯)などは見られません。隠れた部分で充分な補強がされていて、これ以上の補強は不必要と見たのでしょうか。

現在も教会として健在で、礼拝があり、時にはパイプオルガンによるコンサートが催されます。館内も気軽に見学してみると良いでしょう。

雑居ビル群に佇むスパニッシュ「芝川ビル」

雑居ビル群に佇むスパニッシュ「芝川ビル」

写真:小谷 結城

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さて、浪花教会を見終えたら南の交差点を右、御堂筋方面へ向かいましょう。すると、現れる異彩を放つ建築。こちらが当記事では最後の紹介スポットになります。芝川ビルです。

芝川ビルは築昭和2(1927)年、意匠設計は大正期から昭和初期にかけて主に大阪で活躍した本間乙彦です。1920年にアメリカ西海岸で流行したスパニッシュ・コロニアル様式を色濃く取り入れています。

素焼きの温かさがあるスペイン瓦や、半円アーチ、イスラムの影響を受けたスペイン様式に、マヤ・アステカ文明の幾何学的な装飾を取り入れており、デザインが面白いです。ビルには飲食店や、雑貨屋などが入居しています。ショッピングを楽しむのも芝川ビルの醍醐味の一つです。

大阪・キタを楽しむなら、近代建築です

ここまで大阪市中央公会堂、新井ビル、高麗橋野村ビルディング、オペラ・ドメーヌ高麗橋、浪花教会、芝川ビルを紹介してきました。しかし、周辺にはまだまだ近代建築がたくさんあります。

近代建築は何らかの建築様式を模していることが多いです。まず、これを理解することで建物の見方が大きく変化します。それに加えて、設計した人物も知ると良いでしょう。他の建築物との意外な結びつきを発見することができます。この2つでぐっと近代建築が身近に感じられるはずです。

ここ、大阪市のキタで近代建築めぐりを楽しみましょう。

掲載内容は執筆時点のものです。

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