牟岐港から連絡船・大生丸に乗ること約15分。牟岐港から約3.7kmの沖合にある出羽島。短い船旅を満喫してたどり着くのは、桟橋近くに郵便局や神社が集まる小さな港です。
港を取り囲むように商店や簡易郵便局があり、島の主要な共用機能が集まっています。
もちろん島への交通手段はこの連絡船のみ、ということもあり、当然島内には車が1台もありません。(し尿汲み取り車1台を除く)
そのため、道はとても狭く、大人3人が横に広がれば一杯になるくらい。車の音がないせいか、静かでゆったりとした時間が流れています。
集落へ足を踏み入れると、漁村ならではの小さな家が建ち並び、道も本当に狭いもの。家の造りは上部のウワミセと下方のシタミセからなるミセ造りと呼ばれる造りで、2枚の板戸が雨が降ったときには雨戸の役割を果たしてくれる構造となっています。
徳島南部から高知県の東洋町辺りまでの漁村で見られたと言われるこのミセ造り。シタミセを下ろすとちょうど魚や網を乗せることができるようになっていて、かつては軒先のシタミセを下ろして作業台や腰掛けるベンチのように使い、島民同士がおしゃべりをする、コミュニケーションの場所となっていたのだそうです。
今では、島全体が高齢化。小学校も閉校となり住む人の姿もまばらです。
しかしながら、このミセ造りが狭い道沿いに並ぶ景色、なかなか他ではもう見ることが難しいかもしれません。
先ほどご紹介した通り、島ではガソリンで走る車は全く見られません。
けれど、車がない代わりに、この島には「くるま」と呼ばれるものがあるんです。
それが、写真の奥に移っている小さな手押し車。ネコ車とも呼ばれるこの手押し車が荷物を運ぶ役割を果たしています。
島の人は「くるま」と呼んでいるそうですが、確かに自動車がないから、話をしていて誤解を生む心配もありませんよね。
軒下にはこの「くるま」が置いてある家もまだまだ沢山ありました。
島の集落は小一時間も歩けば全て回れるくらいの小さなもの。でも、ゆっくりと足を進めると、どこか懐かしい気持ちにさせられます。
漁村ならではの小さな家は、ひとつひとつの表情が少しずつ違っていて、いくら眺めていても飽きることがありません。この島での生活に思いを馳せながら、お気に入りの家を探すのも出羽島散歩の楽しみ方のひとつです。
出羽島北部は小さな山となっており、東回りでも西回りでも、ぐるっと島を一周できるハイキングコースができています。
途中には灯台や小さな畑、今では廃校となってしまった小学校があるほか、国指定天然記念物の生きた化石と呼ばれる1億4千万年前に繁殖した植物・シラタマモが自生する大池もあります。4月から3ケ月あまりが見頃で、日本でシラタマモが見られるのはこの場所だけ。世界でも4地域にしか分布していない貴重な植物です。
いかがでしたか?出羽島は決して大きなリゾートホテルがあるわけでもなし、人気の温泉があるわけでもありません。しかしながら、旅の醍醐味のひとつはその土地の歴史やその土地に暮らす人たちの息づかいを感じることでもありますよね。
派手なアミューズメントや世界遺産に目を奪われる旅もいいですが、ときにはそんな喧噪から離れ、のんびりと足を運んだ土地の持つ小さな良さを見つけることも、感性を磨くためには大切な時間ではないでしょうか。
2013年からは、牟岐・出羽島アート展も毎年開催されるようになり、大きくはないけれど小さなアートの芽も芽生えはじめています。
自然に恵まれ、これまでの古き良き日本の暮らしと歴史を見直すことのできる出羽島へのアクセスは、牟岐港から出羽島連絡船「大生丸」で片道約15分(大人440円/小人220円、往復)。
徳島に行く際は、是非時間があったら足を運んでみてはいかがでしょうか。
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(2024/11/2更新)
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