“天草ぐるっと周遊バス”で熊本天草の﨑津教会と大江教会を巡る

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更新日：2015/06/10 12:04

天草は隠れキリシタンで有名な土地。「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」が世界遺産の候補である暫定リストに掲載されましたが、ここ熊本の天草の二つの教会「﨑津天主堂」と「大江天主堂」も追加される可能性が出てきました。今回はこの二つに加え、天草のキリスト教の歴史が学べる、お手軽なバスツアーをご紹介します。車がなくても効率的に周ることができ、ガイドも同行しますので是非参加してみてください。

天草コレジヨ館

写真：東郷カオル

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“天草ぐるっと周遊バス”は車がなくても１０００円で天草の観光ができる便利な周遊バス。ガイドさんも同乗してくれますし、訪問する施設でも施設の方が案内してくれるので、至れり尽くせりです。バスの発着も本渡港、本渡バスセンター、ホテルアレグリアガーデンズ天草と、観光客にとっては便利な場所が設定されていますのでとても利用しやすいサービス。
“天草ぐるっと周遊バス”にはＡコースからＣコースまであり、料金は一律ですがそれぞれ周遊内容や開催曜日が違いますので詳しくは下記ＭＥＭＯ欄で最新情報をご確認ください。

今回は「天草の世界文化遺産候補とキリシタン物語コース（Ｂコース）」の内容をご紹介します。Ｂコースで一番最初に訪れるのが「天草コレジヨ館」。コレジヨというのは宣教師の養成を目的に作られた学校のこと。ここでは南蛮文化の資料が多数展示されています。４００年以上も前に命がけで海を渡った４人の少年使節がヨーロッパから持ち帰ったグーテンベルク印刷機の複製や、竹製のパイプオルガン、南蛮船の模型など珍しいものが展示されています。

“天草崩れ”の舞台・﨑津集落と﨑津教会

写真：東郷カオル

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﨑津集落は禁教時代に集落の７０％が隠れキリシタンと発覚したいわゆる“天草崩れ”の舞台です。﨑津の集落を歩いていると、季節はずれな時期にもかかわらず玄関に注連縄（しめなわ）が飾られている家が何軒もあります。これは禁教時代に「うちはキリシタンではありません」というカムフラージュに行われていたものが風習として現代に残ったものだと考えられています。﨑津の信者は表向きは仏教徒や神社氏子のふりをしながら、明治時代になって禁教が解かれるまでの長いあいだ信仰を守り続けていました。

写真は﨑津集落の中にある﨑津教会。ゴシック様式ですが、中は畳敷きになっています。この教会が建っているのは禁教時代に踏絵が行われた場所で、祭壇がある場所はちょうど踏絵が行われていた﨑津村庄屋宅跡の玄関にあたります。悲しい歴史を忘れないようにあえてこの場所に教会を建てたとも思われますが、信仰の復活をあらわすシンボルという前向きな思いとも考えられます。

﨑津教会は日本教会建築の父といわれる鉄川与助の設計。教会のこちら側およそ三分の一ほどは鉄筋コンクリート製ですが、そこから奥は木造です。これは予算の関係上。建物の中に入ると上手くカムフラージュされていますが、建物の外に出て横から建物を眺めてみてください。明らかに入口側と奥側の外壁の色が異なっています。

今ある﨑津教会は３代目のもの。地図記号の史跡マークで“﨑津天主堂”と印されているものは先代のものです。また、近くには漁師たちが海から拝んだ“海上マリア像”がありますので、こちらも必見です。

大江教会（大江天主堂）

写真：東郷カオル

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写真は﨑津教会からほど近い場所にある大江教会。﨑津教会と同じく鉄川与助の設計で、フランス人宣教師ガルニエ神父が私財を投じ、地元の信者と協力して建てたロマネスク様式の教会です。
天草には“五足の靴”という名の宿泊施設やお店がいくつかありますが、“五足の靴”というのは若い５人の文学作家の紀行文のこと。彼らの旅の目的は大江のガルニエ神父を訪ねることでした。天草での暮らしが長かったガルニエ神父は流暢な天草弁で彼らを迎えました。ガルニエ神父との交流は、若い作家たちの後の作品に大きな影響を与えたといわれています。

大江教会は小高い丘の上に建ち、集落を見守っているようにも見えます。大きなバスは丘の上の教会まで行けませんが、“天草ぐるっと周遊バス”なら教会の前で降ろしてくれますので年配の方にも便利です。

※五足の靴：与謝野寛、太田正雄、北原白秋、平野万里、吉井勇ら５人の紀行文

天草ロザリオ館

提供元：くまもと写真館

http://kumaphoto.jp/地図を見る

天草ロザリオ館があるのは大江教会のすぐ下。ここでは隠れキリシタンの貴重な資料を見学することができます。
隠れキリシタンがひそかにオラショ（お祈り）を唱えていた隠し部屋を再現した展示がありますので必見です。ロザリオ館の方の説明によると、実際このような部屋が残っているお宅が集落のなかにまだ存在するらしいです。なんだか神秘的ですね。
信者が亡くなった時に唱えられる仏教のお経を封じ込めるために、隣の部屋で“経消しの壺”を手に、隠れ言葉を唱え、信者を“極楽浄土”ではなく“天国”へ送っていた様子も知ることができ、隠れキリシタンの苦難と信仰を学べる興味深い展示内容となっています。