写真:Hiroko Oji
地図を見る南西フランスのカオール(Cahors)とフィジャック(Figeac)の町を結ぶように流れるロット川(Le Lot)。川沿いを往復する路線バスに乗り、その二つの町の間に位置するトゥール・ド・フォール(Tour-de-Faure)の村で下車し、川に架かる緑の鉄橋を渡って歩くこと約30分。やがて、切り立った断崖の上に佇む「フランスで最も美しい村」の一つ、サン・シル・ラポピー(Saint-Cirq-Lapopie)が見えてきます。
一番高いところに見えるのが、サン・シル教会。その足元に石造りの家々が見守られるように建っています。冬の早朝は、低く垂れこめた雲の上に、教会がポッカリ浮かんだような幻想的な眺めにお目にかかれることもあります。
写真:Hiroko Oji
地図を見るロット川を渡って緩やかな坂道を登っていき、村の入り口の石門をくぐると、どこをとっても絵になる美しい家並みが続きます。細い路地沿いには15〜16世紀から建ち続ける石造りの家々、時折、剥がれかけた石壁、朽ち果てた木枠もそのままなのが、妙にしっくりしている風景です。
さらに教会前まで急な坂道をのぼり、展望台に来るとなんともまぁ素晴らしい見晴らし!朝餉の支度でしょうか、統一された屋根の煙突から立ち上る煙が生活感を伝え、ほのぼのとした気持ちにさせてくれます。可愛らしい窓辺のカーテンやお飾りに古びた看板がぶら下がり、まるでおとぎ話の中にいるかのような錯覚に陥ります。村は背後の山裾に広がるので午前中は山の陰になり、物静かな落ち着いた雰囲気に包まれています。
写真:Hiroko Oji
地図を見るロット川から見ると、断崖のてっぺんに見えるサン・シル教会。教会の庭から見下ろす渓谷の風景はいつまでも眺めていたくなる!緑豊かな田園風景と、蛇行するロット川の流れが見渡せます。
中はシンプルな主祭壇とステンドグラス、塔はどこから見てもひときわ目立つロマネスク様式。人口わずか200人ほどの小さな村でも、教会は立派な建物です。この教会のすぐ下にも、立派な邸宅が建っていて門扉から中を覗いてみると素敵な手入れされた庭も見えます。
写真:Hiroko Oji
地図を見る古代ガリア・ローマの時代に村の歴史をさかのぼるサン・シル・ラポピー。中世の頃には鷲の巣村の形になり、村全体が一つの要塞として機能したとのこと。英仏百年戦争の時代には、周囲を見渡すのにうってつけの村で、要塞として大きな価値をもっていました。今はてっぺんに廃墟となった城の壁が残るのみで、ベンチが置かれた展望台からは周辺の眺めを楽しめるように説明版も設置されています。
背後の山の上には小さく十字架が仰ぎ見られ、その近くに教会らしき建物がちょこんと見えています。足元に見下ろす鄙びた村の佇まいがとても長閑で、心癒されるひとときを過ごせます。
写真:Hiroko Oji
地図を見るサン・シル・ラポピーの村に一番近いバス停がトゥール・ド・フォールです。このバス停周辺にあるのは、トゥール・ド・フォール村の役場の建物と、昔の鉄道駅舎くらい。
現在はカオールとフィジャックをバスが繋いでいるのですが、1883年からは鉄道が走っていた時代もあったとのこと。コストが高くかかり20年近く前に廃止されてしまったのが残念なところです。その鉄道駅舎や草ぼうぼうの線路がまだそのままの状態で、ロット河畔の田園地帯の中に残されているのも、郷愁を覚える一場面です。
サン・シル・ラポピーへ行くには、国鉄バスでカオールからは40分、フィジャックからなら1時間でトゥール・ド・フォールに到着します。運転手さんは皆さん親切な方が多く、バス停からの行き方や展望台のことなど丁寧に教えてくれることが多いですので、ぜひ、行きたいところをアピールしておくといいと思います。また、ドイツ国鉄の時刻検索でも、バスのスケジュールが確かめられますので、試してみてください。
バス停周辺にはほとんどレストランなどありません。サン・シル・ラポピーの村で利用なさっておいてくださいね。
では、「フランスで最も美しい村」、たっぷり楽しんできてください。
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(2025/1/18更新)
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