東京から飛行機で長崎、長崎からクルマで佐世保、佐世保から高速フェリーで約40分。長崎は五島列島の小値賀島は東京を遠く離れた別天地。この島にあるのが、古民家をリノベーションした、なにもないこの島には似つかわしくないほどにおしゃれなレストラン「藤松」。
地元の食材をふんだんに使いながら、かなり上質な和食が楽しめる、小値賀島唯一のレストランです。ミシュランの三ツ星の定義は「旅行してでも行くべきレストラン」ですが、ここ「藤松」は、まさにこの定義にぴったりのレストランです。
古民家再生で全国の地方を活気付かせているアレックス・カー氏によるプロデュース。古き良き日本の建築と、西洋風の内装をミックスした独自の世界観で、「藤松」もプロデュースを手掛けています。
もともとの古民家自体も、安普請で作られたただ古いだけの古民家ではなく、小値賀島でも漁でかなりの財を築いた人のお家だったそうで、ものすごい豪華な造りです。
お庭からそのまま漁に出る船着き場までいけるような大邸宅。この大邸宅がリノベーションで西洋人から見た神秘の東洋、といった世界観で蘇った、といったところです。
車道から脇道に入っていき、暖色系の薄暗いライトが照らすスロープを通り、鬱蒼とした木々に囲まれたところに「藤松」はあります。東京で言ったら隠れ家一軒家レストラン、といった趣です。
小値賀島の宿に宿泊している旅行者であれば、クルマで送迎があるので、心置きなく飲めます。敷地内は中庭も広々。きれいにリノベーションしつつも、昔の人が使っていた生活器具なんかがアートのように置いてあります。
中に入ると、土間があり、その奥には宴会向きの大広間。そこにはアフリカの木を一枚板でテーブルにしているなど、いきなり独自の世界観で驚かされます。
屋内の構成は、土間をリノベーションしたバーや、純和風の個室、和風の内装ながらテーブル席の離れ、といった構成です。また、二階には、広いスペースにゆったり椅子が配置されたロビーがあり、お酒を飲みながら更けゆく夜を過ごすのもよし、昼間に来たら、カフェとしてもゆっくり過ごせそうです。
五島列島のグルメ、と言われてもいまいちピンとこないですよね。まず有名なのはカツオ。五島列島のカツオ、といえば東京のお寿司屋さんなんかでは、ちょっとしたブランドです。が、旅行に来たら地魚を食べなければ意味がないでしょう。
つまり、その地方でしか獲れない魚や、足が速くてとても東京まで運べない、ここでしか食べられない魚。これを食べずして、旅行と言えるでしょうか。小値賀島でぜひ食べていただきたいのがアカカマス。
やはり足が早いため、刺身で食べられるのは釣れたその日だけ。ちなみに「藤松」で出される魚はすべて小値賀島港で水揚げされた天然物です。やや赤みがかった脂の乗った身が美味しいです。塩焼きも言わずもがな、噛むと脂がいい感じにジュっと広がります。
次に、小値賀島の人たちに最も愛されている魚、値賀咲(イサキ)。島に一軒しかないスーパーの鮮魚売り場ではイサキだけ次の入荷の予定時間が記されているほど。「夜ダキ」という手釣りの方法で獲られたイサキはブランド魚です。
そして、ハカ、と呼ばれるハガツオ。カツオに似ていますがスズキ目サバ科の魚。血抜きの仕方で味が変わる調理が難しい魚だそうです。カツオの野性味がありながら繊細な味わいが出色です。さらに、アカジョ。高級魚のアカハタの仲間。「藤松」では野菜と一緒に酒蒸しで提供。ヘルシーにいただけます。
さて、素材のよさは当然ながら、「藤松」は小値賀島の素材を、抜群のセンスで料理として昇華していきます。サザエはエスカルゴ風にニンニクとオリーブオイルでオーブンで焼き、新鮮なケンサキイカは細くそうめんにして、これまた新鮮な小値賀鶏の生卵に絡めるなど、自由闊達な料理が並びます。
また、小値賀島の料理は海の幸だけにあらず。赤土の風土を生かして育ったじゃがいもはグラタンに、名産のオクラはとろろと和えてズルルッと飲んでしまいます。和に洋に縦横無尽に料理のセンスが迸ります。
その土地に行かないと食べられない食材を、さまざまな料理法で食べられる。「藤松」は旅の醍醐味を都会的なセンスで味わえる小値賀島唯一のレストランです。小値賀島に行くのであれば、ぜひ訪ねてほしい一軒です。
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(2023/12/5更新)
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