絵巻が描かれた巨大な大提灯。400年以上の歴史を誇り、愛知県の有形民族資料文化財にも指定されている「三河一色大提灯祭り」は、ある言い伝えが残されています。
永禄年間(1558〜69年)に分社されたといわれる三河一色諏訪神社ですが、造営当時は夏から秋にかけて恐ろしい魔物が現れ、田畑や人畜に被害を与えていたのだそう。そこで、人々が”かがり火”を焚いて祈願すると、魔物は消え失せたというお話です。そのとき焚いたかがり火が、三河一色大提灯祭りの始まりといわれています。
その後、かがり火を焚くよりも提灯に献灯した方が良いとされ、今のようなスタイルに徐々に変化していったのです。
江戸時代中期に入ると提灯も大きくなり、上部には屋根のような覆いがつけられました。
しかし、提灯が大きくなるにつれて、重量や風圧に耐えられる柱が必要とされ、現在のような姿に変化。
今では、小さな物でも全長約6メートル×直径約3.6メートル、大きくなると約10メートル×5.6メートルにも及び、中には人がすっぽり入り込めるほどのサイズになっています。また、提灯に灯されるろうそくも圧巻!そっと中を覗いてみると、驚くほど巨大なろうそくの姿が伺えます。その長さは最大1メートルを越し、重さはなんと93kgにもなるのだそう。持ち上げるだけでも、何人もの人手が要りそうです。
日中にはこれらを組み立て、大提灯を掲げる作業を行い、その後6人の巫女が神楽を奉納。午後7時になるとようやく火入れが始まり、境内に人が集まり始めます。ほぼ全ての提灯に火入れが終わる午後8時頃には祭りも最高潮を迎え、幻想的な風景を一目見ようと多くの方で賑わいます。
三河一色大提灯祭りの醍醐味は、ただ巨大な提灯を見るだけではありません。6組のチームが持ち寄る提灯には、それぞれ絵巻が描かれており、物語の世界へ入り込むことができます。
最もわかりやすいモチーフは、「天岩戸」。これは、太陽神である天照大神(あまてらすおおみかみ)」が、弟・須佐之男命(すさのおのみこと)の横暴に腹を立て、天岩戸(あまのいわと)に籠ったという逸話です。その際、世界が真っ暗になったといわれており、それに困り果てた神々の様子も描写されています。
その他にも、「八咫烏(やたがらす)」や「邪馬台詩図」など、見るだけで面白い題材が取り入れられていますので、それぞれの物語を読み解きながら見て回るのも良いでしょう。
夏というと、花火や海など賑やかなイメージがありますが、豊かな歴史や文化を感じられる三河一色大提灯祭りもお勧めなスポットのひとつ。心静かに過ごしたい夏のひとときに、ぜひ足を運んでみてください。
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