イラン・築200年の歴史的ホテル「MEHR」シルクロードの隊商宿の雰囲気に浸ろう!

イラン・築200年の歴史的ホテル「MEHR」シルクロードの隊商宿の雰囲気に浸ろう!

更新日:2018/10/26 11:54

菊池 模糊のプロフィール写真 菊池 模糊 旅ライター、旅ブロガー、写真家
イラン中央部のヤズドには、キャラバンサライ(隊商宿)の伝統を引き継いだ古いホテルが多くあります。
中でも「MEHR Traditional Hotel(メフル又はメーア)」は、ユネスコから表彰されたヤズドを代表するホテルです。
この築200年という伝統的ホテルに宿泊し、シルクロードの古い歴史に思いを馳せてください。
現代的ホテルでは味わえないカルチャーショックは、貴重な体験となることでしょう。

MEHRは、日干し煉瓦のベージュ色の門構えのホテルだった!

MEHRは、日干し煉瓦のベージュ色の門構えのホテルだった!

写真:菊池 模糊

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ヤズドという町は、土漠地帯の真ん中にあるため、古来どこの地からも攻略するのが難しいことから、地域住民の避難地となってきました。そのためゾロアスター教関連施設など、貴重な歴史的遺産もここで生き残ったのです。
シルクロードを行く隊商たちも、土漠の中にある数少ないオアシスであるヤズドに宿泊して休息し英気を養ったのでしょう。
高速道路網が発達した現在のイランでも、長時間、不毛の土漠地帯をバスなどで走ってくると、ヤズドの水と緑にほっと癒されます。

ヤズドの旧市街は、日干し煉瓦のベージュ色の家々が立ち並び、古代ペルシアにタイムスリップしたような感覚にとらわれます。
「MEHR Traditional Hotel」は、そんなアッシュカラーの古い町並みの中にあります。
写真を御覧ください。これが、MEHR の入口で、日干し煉瓦のベージュ色の門構えが印象的です。上部にはバードギール(風採り塔)があり、いかにもヤズドらしい建物です。

MEHRの中庭は、キャラバンサライの雰囲気に満ち溢れていた!

MEHRの中庭は、キャラバンサライの雰囲気に満ち溢れていた!

写真:菊池 模糊

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キャラバンサライ(隊商宿)という言葉はペルシア語から来ており、シルクロードを旅する隊商たちの宿泊と交易の施設でした。一般的には、四角い中庭を取り囲んだ二階建ての建築物です。
MEHRは、そうしたキャラバンサライの伝統を引き継ぐ古いホテルで、築200年を誇ります。

写真を御覧ください。現在は、中庭に天幕が掛けられ、ペルシア絨毯の敷かれた高床式のチャイハネ(喫茶)があり、その周りは椅子式のレストラン席になっています。
レストランは基本的にバイキング方式で、お好みのペルシア料理が楽しめます。レンズマメや小麦の煮込みスープ、ラム肉のケバブ、季節の野菜や果物が美味しいです。
イランならではのノンアルコールビールも飲んでみましょう。

観光に疲れたら、この中庭のチャイハネに座り込んで、砂糖を齧りながらチャイ(紅茶)を飲んで休憩してください。その昔、ラクダに乗った隊商たちが交易で旅していた時代にいるような気がしてきます。

MEHRの宿泊室は、クラシックな部屋だった!

MEHRの宿泊室は、クラシックな部屋だった!

写真:菊池 模糊

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天幕の張られた中庭の周囲の二階建ての建物は、ホテルの宿泊室です。
部屋数がさほど多くないので、各種ある部屋から自分の希望する部屋に宿泊できない場合もありますが、ひとつひとつの部屋の違いが伝統的ホテルの個性ですので、あえてそれを楽しんでみましょう。

写真は標準的な部屋ですが、シングルベッドが3台並べられ、ペルシア織物のベッドカバーが掛けられ、床にはペルシア絨毯が敷かれています。
真ん中のベッドの上の壁には、ペルシアのお姫様の絵が直接描かれています。

風呂の湯の出は悪くないのですが、バスタブには栓が無く、湯船につかることは出来ません。
またトイレは椅子式ですが、トイレットペーパーは流さないように注意しましょう。やはりイランの公共トイレ同様、手動で水の出る洗浄ホースがあります。

ホテルの部屋の鍵などに驚く!

ホテルの部屋の鍵などに驚く!

写真:菊池 模糊

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築200年だけあって、部屋の壁や柱などに古さを感じさせる部分もありますが、そうした古い構造を生かしながらも、改装はされており、ペルシア式に慣れさえすれば快適に滞在できます。
現代的ホテルでは味わえないアナログ的良さというのもあるのです。

例えば部屋の鍵ですが、写真でお分かりのように、南京錠です。
部屋のドアの外側上部にチェーンがつけられており、それをドアの上の輪と南京錠で結びつける方式なのです!
これにはいささか驚きますが、カード式のように自動ロックで締め出される心配はなく、原始的であるゆえの安心感があります。
中からの鍵も、チェーンを釘に引っ掛けるものです。
こうしたやり方は、200年前からほとんど変わっていないそうです。さすがトラディショナルなホテルですね。

また当然エレベーターはありませんが、小高い中庭を取り囲む宿泊室は、二階建てといっても中二階と半地下の構造です。また各部屋には、中庭から直接専用の階段で行く形になり廊下はありません。
したがって、どの部屋にも半分の高低差で行けるので、意外に楽で簡単です。

このような、ちょっとした不便さや古さを面白い体験機会と考えて、余裕を持って楽しむことが、伝統的ホテル利用のコツです。

ホテル周辺の旧市街のベージュ色の町並みを散策する!

ホテル周辺の旧市街のベージュ色の町並みを散策する!

写真:菊池 模糊

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MEHRは旧市街の中にあるため、ベージュ色の町並みに囲まれています。
このホテルに滞在し、周辺を散策するのも趣があります。
特におすすめは気温が低く爽やかな早朝散歩です。まだ日差しが柔らかく、ひっそりとしたなかに小鳥だけがさえずり、アッシュカラーの壁が迷路のように入り組み、いろいろなバードギールが立ち並んでいます。

ヤズドの旧市街は、世界有数の日干し煉瓦で構築された都市です。
写真を御覧ください。これは町並みの中にそびえる珍しい円形のバードギールです。
この建築学的にも貴重な町並みを徒歩で散策すれば、古代ペルシアの町にタイムスリップした気持ちになります。
ぜひ、ペルシアの悠久の歴史に思いを馳せながら、ヤズドの町を楽しんでください。

最後に

土漠の中にある数少ないオアシス都市ヤズドは、普通の旅では得がたい体験ができる興味深い場所です。
ここでは、ぜひ古い伝統的ホテルに宿泊して、ペルシアの歴史を実感しましょう。
中でもユネスコに表彰された「MEHR Traditional Hotel」は、一番のおすすめです。
ここに滞在し、日干し煉瓦の町並みを散策し、ヤズドの歴史的遺産も見学してください。忘れられない思い出作りができます。

なお、ヤズドのゾロアスター教関連施設については、下記、MEMO欄『イランのヤズドでゾロアスター教の聖火と鳥葬の地「沈黙の塔」を見よう!』をご参照ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/05/09 訪問

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