全国有数の群集墳を堪能!大阪府河南町「近つ飛鳥風土記の丘」

全国有数の群集墳を堪能!大阪府河南町「近つ飛鳥風土記の丘」

更新日:2025/05/02 17:57

乾口 達司のプロフィール写真 乾口 達司 著述業/日本近代文学会・昭和文学会・日本文学協会会員
かつて「近つ飛鳥(ちかつあすか)」と呼ばれた大阪府東南部地域は、古代史の宝庫として知られています。事実、その周辺には大阪府三大群集墳の一つである「一須賀古墳群」が広がっており、多くの人が当地に暮らしていたことがうかがえます。現在、その付近一帯は史跡公園として整備されており、古墳の魅力を探るのに格好のスポットとなっています。今回は一須賀古墳群を擁する「大阪府立近つ飛鳥風土記の丘」をご紹介しましょう。

一須賀古墳群のエリアに広がる散策路

一須賀古墳群のエリアに広がる散策路

写真:乾口 達司

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「大阪府立近つ飛鳥風土記の丘(おおさかふりつちかつあすかふどきのおか)」は、大阪府南河内郡河南町にある史跡公園。大阪府を代表する「一須賀古墳群(いちすかこふんぐん)」の保存を住宅開発から守るという目的のもとに設置・整備されました。その広さは29ヘクタール。園内には散策路が設けられており、傾斜の強い箇所には、ご覧のような階段も設けられています。

一須賀古墳群のエリアに広がる散策路

写真:乾口 達司

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近つ飛鳥風土記の丘ならではの特色としては、国の史跡となっている「一須賀古墳群(いちすかこふんぐん)」が園内に広がっていることが挙げられます。

一須賀古墳群は、6世紀前半から7世紀中頃にかけて築かれた群集墳。「高安古墳群」「平尾山古墳群」とともに、大阪府の三大群集墳とも呼ばれています。したがって、古墳の総数も262基と多く、その大半が直径十数メートル程度の円墳から成り立っています。

実際に散策路を歩くと、いたるところで開口する円丘状の古墳を見ることができますが、写真のように、露出する石室の上を散策路が通されている箇所もあり、群集墳を間近に見ることができる点に大阪府立近つ飛鳥風土記の丘の最大の魅力があります。

一須賀古墳群のエリアに広がる散策路

写真:乾口 達司

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散策路は縦横にのびており、各所にご覧のような道標も立てられています。

道標に記された「J支群」や「D支群」の表記、いったい何だと思いますか?「支群」とは、古墳群を構成している小単位の集団のこと。一須賀古墳群には23の支群があり、それがアルファベットで示されているのです。

一須賀古墳群最大の規模を持つD-4号墳

一須賀古墳群最大の規模を持つD-4号墳

写真:乾口 達司

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一須賀古墳群をめぐる際、ぜひ訪れたいのが、こちらの「D-4号墳」。直径25メートル、高さ2.3メートルの円墳で、一須賀古墳群のなかでは最大級の規模を誇ります。石室は開口しているので、石室内に立ち入ることも可能。ぜひ、石室内に足を踏み入れ、その黄泉の世界をご堪能ください。

一須賀古墳群最大の規模を持つD-4号墳

写真:乾口 達司

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石室の内部はご覧のとおり。巨石が積みあげられています。

発掘調査の結果、内部には石棺・木棺を合わせて4基の棺が確認されました。金銅製飾金具やかんざしなど、大陸から伝わったと考えられる副葬品が多数出土していることから、埋葬されていた人物は大陸からの渡来人の一族であることと考えられます。

一須賀古墳群最大の規模を持つD-4号墳

写真:乾口 達司

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こちらは「B-16号墳」。直径15メートル、高さ3メートルほどの円墳で、その背後には「B-15号墳」も顔をのぞかせています。「B-15号墳」のさらに背後には「B-14号墳」などが連なるように築かれており、群集墳ならではの様子を見て取ることができます。

復元された石棺が安置される「B-9号墳」や寛弘寺古墳群の横穴式石室

復元された石棺が安置される「B-9号墳」や寛弘寺古墳群の横穴式石室

写真:乾口 達司

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写真は「B-9号墳」。円墳が大半を占める一須賀古墳群にあっては珍しく方墳です。石室内には組合式の家形式石棺が復元されていますが、復元されたものであるとはいえ、石棺が安置されているのは珍しいので、築造当時、石室にどのような形で石棺が安置されていたかを知るのに参考になることでしょう。

復元された石棺が安置される「B-9号墳」や寛弘寺古墳群の横穴式石室

写真:乾口 達司

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近つ飛鳥風土記の丘の園内に点在するのは、一須賀古墳群だけではありません。実は当地から3キロメートルほど離れたところに広がっていた寛弘寺古墳群から移築された「寛弘寺45号墳」なども保存されています。

「寛弘寺45号墳」の石室の全長は9.7メートル。7世紀前半の築造と推定され、この時期では国内でも最大級の規模を誇ります。

河内地域を見渡せる展望台と「近つ飛鳥博物館」

河内地域を見渡せる展望台と「近つ飛鳥博物館」

写真:乾口 達司

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園内には展望台も設置されており、眼下に広がる「近つ飛鳥」およびその周辺地域の様子を見渡すことができます。お天気がよければ、遠く大阪湾や六甲山まで見渡せるので、近つ飛鳥風土記の丘を散策する際は、お天気のよい日を選びましょう。

河内地域を見渡せる展望台と「近つ飛鳥博物館」

写真:乾口 達司

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隣接する「大阪府立近つ飛鳥博物館」には、発掘調査によって判明した一須賀古墳群の実態を学ぶこともできます。出土物も複数展示されているため、近つ飛鳥風土記の丘をめぐる前に訪れ、あらかじめ一須賀古墳群のことを学んでから園内をめぐるのも一計でしょう。

史跡公園として保存・整備された、近つ飛鳥風土記の丘の魅力がおわかりいただけたでしょうか。もちろん、四季折々の樹木もたくさん生い茂っているので、お弁当片手にのんびり過ごすのも一計でしょう。当地で古代史の世界にどっぷりひたってください。

近つ飛鳥風土記の丘の基本情報

住所:大阪府南河内郡河南町大字東山299
アクセス:近鉄長野線「喜志」駅より路線バス阪南線「近つ飛鳥博物館前」バス停よりすぐ

2025年5月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2024/07/07 訪問

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