写真:フルリーナ YOC
地図を見る<ゆば>は古来中国より、禅僧によって京都に伝えられ、精進料理の材料として用いられてきました。また更に<ゆば>は、日光開山の折り、修験者によって日光に伝えられました。日光は、男体山を信仰対象とする山岳信仰の場であり、修験道の霊場でもあります。日光山で厳しい修行を行う修験者にとって、栄養豊かで消化吸収の良い<ゆば>は、欠かせない食べ物となっていったのです。
この京都に中国から伝わった<ゆば>、そして京都から伝えられた日光の<ゆば>。その違いをご存知でしょうか。実は京都の<ゆば>は「湯葉」、日光の<ゆば>は「湯波」と書きます。京都の湯葉は一重で引き上げるので薄くて繊細です。一方、日光の湯波は二重にして引き上げるので、一枚一枚にボリュームと柔らかさがあります。
調理法の違いとしては、京都の「湯葉」は、京料理の中で主に名脇役として使われることが多く、日光の「湯波」は湯波そのものが主役となる料理が多いです。
写真:フルリーナ YOC
地図を見る日光には数軒の湯波を製造している店がありますが、その中でも「海老屋」と「ふじや」は明治初期からの歴史を誇り、日光の社寺の精進料理やお祭りなどの折に使われてきました。また、ホテルや高級湯波料理店でもこの二店の湯波が多く用いられています。
「海老屋」は創業明治5年。海老屋長造が輪王寺の湯波の製法と、「元根御湯波所(元祖日光湯波)」の看板を譲り受け「海老屋」を開業しました。日光の社寺はもちろん、田母沢御用邸でも使われていた、歴史と伝統の味を受け継ぐ老舗です。特に“さしみ湯波”の美味しさは絶品で、早々に売り切れてしまうことも多い人気商品です。
「ふじや」もまた、1868年(明治元年)創業の歴史を誇ります。「ふじや」の湯波はバラエティー豊かな品数が揃っています。特に、一番始めにできる湯波を豆乳に浸した生湯波の刺身「ゆばトロ」は多くのファンを集めています。また、ぜんまい湯波、串湯波などもとても美味しい逸品です。
今回ご紹介する「油源」「さんフィールド」「寿司秀」も、もちろん日光湯波の老舗「海老屋」と「ふじや」双方の湯波をメニューの中に使っています!
写真:フルリーナ YOC
地図を見るまずご紹介したいのが、日光のシンボル・神橋のそばにある「日光うまいもの・油源」。「油源」は、江戸安政六年創業の老舗で、日光の特産品・駅弁・惣菜などの販売をしています。また近年、お店の中で美味しいランチも楽しめるようになりました。
こちらの大女将は料理上手で評判の方。また、若女将も日本ベジタブル&フルーツマイスター協会のシニアマイスターを取得した料理のプロフェッショナル。その料理上手の両女将を中心として作られる油源の料理は、どのメニューもまさに絶品のお味。中でも<湯波づくし和膳 1450円>は、日光湯波を満喫できる人気メニューとして評判です。
メニューの内容は、(1)揚巻ゆばの煮付け(2)生湯波の刺身(3)栃木牛時雨煮 (4)ゆば卯の花 (5)寄せ湯波の山椒味噌添え (6)ゆばと野菜のふんわり豆腐餡かけ (7)味噌汁/ごはん
油原の料理は奇をてらったものではないのに、決して他では味わうことができない美味しさがあります。それは、日光湯波と良質の野菜や肉を、手間ひまかけて料理しているからこそ生まれる味。味付けは懐かしい“おふくろの味”を感じさせると同時に、“料亭の味”を思わす上品さを兼ね備えています。どの料理も感動の味で、このお値段では申し訳ない!と思ってしまうほど。
ただし座席数が14席と少ないので、予約を入れることをおすすめします。予約は前日の16時までとなっています。
写真:フルリーナ YOC
地図を見る日光の喫茶店「さんフィールド」は、美味しい湯波料理を格安で食べられるお店として、日本全国の湯波好きから絶大なる支持を集めてきました。ところが2011年春に乗用車が店に飛び込み、お店は全焼してしまいました。火事を知ったお店のファンからは、お店の再建を望む励ましの声が多数寄せられ、2012年夏、待望の新装開店!お店の再開を待ちわびたファンはもちろん、新しいお客さんの間でも大人気の<ゆばの御膳 1800円>をご紹介。
メニューの中身は(1)煮物…福ゆば・高野豆腐・ぜんまいゆば (2)しの巻きゆばのあんかけ(3)ゆばのつくだ煮 (4)串ゆば (5)ゆばおからの酢物 (6)胡麻豆腐とゆば (7)山菜の煮物 (8)ゆばのお吸い物/ごはん…日光しそ巻唐辛子添え (9)ゆばコーヒーゼリー
さんフィールドでは、珍しい福ゆばが味わえます。福ゆばとは、輪王寺のお祭り「強飯式」で使われる大きな湯波。3〜4時間もかけて煮る柔らかでボリュームたっぷりの美味しい湯波です。福ゆば・ぜんまいゆば・しの巻ゆばなど多種類の湯波を堪能できるのも魅力!味もとても美味しいものばかりです。
写真:フルリーナ YOC
地図を見る日光の老舗湯波店のひとつ<ふじや>の隣に、インパクトのある看板を掲げた「寿司秀」があります。寿司秀は店を構えて約50年。30年ほど前から湯波料理も作るようになりました。寿司を食べに来たお客さんが「湯波はないの?」と聞かれたことが湯波料理を出すきっかけになったと言います。寿司秀は、湯波のついたセットメニューがいろいろありますが、その中で最も湯波料理を堪能できる<ゆばづくし和膳 1650円>をご紹介します。
そのメニューの中身は、(1)生ゆばのおさしみ(2)ゆばのつくだ煮 (3)ゆばの胡麻だれ和え (4)串ゆば(5)ゆば田楽 (6)舞茸の天ぷらとゆばの天ぷら (7)舞茸とゆばのお吸物/ごはん (8)日光名産志そまき唐がらし・お新香
寿司秀の生ゆばのおさしみは、そうめんの上に乗ってる独自のスタイル。また、ゆばの天ぷら・舞茸の天ぷらや、柚味噌の香り高い湯波の田楽を味わえるのも魅力!寿司秀の湯波料理はボリュームたっぷり。そのお味は、繊細な美味しさと共に豪快な美味しさをも感じさせてくれます。
いかがでしたか。日光に来たらぜひ味わってもらいたい湯波料理。修験道僧たちが京都から持ち込み、この日光で愛され発展し、独自のスタイルとなった日光湯波。日光でしか食べられない日光が誇る味です!
この三店以外にも、「あさやレストハウス」「みるきーはうす」「丁田屋」「近藤」などでも、格安で美味しい湯波の料理を食べられます。また、湯波丼や湯波そば、さらには湯波バーガーや湯波ラーメン、湯波を使ったパスタなど、日光には注目の湯波グルメもたくさんあります。もちろん贅沢に絶品湯波料理を堪能する、「高井家」「与夛呂」「ますだや」「恵比寿屋」「尭心亭」など、日光が誇る名店も魅力です!日光に来たら、ご予算に合わせて、日光が誇る湯波料理を堪能してみてくださいね。
最後に、ご紹介した3店で使われている湯波について追記をしておきます。
<海老屋製の湯波>・・・・「寿司秀」刺身ゆば、「さんフィールド」しの巻ゆば、「油源」揚げ巻ゆば、など。
<ふじや製の湯波>・・・「油源」刺身湯波、「さんフィールド」「寿司秀」串湯波、「さんフィールド」福ゆば・ぜんまいゆば、など。
それではみなさん、すてきな旅を!
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(2024/9/16更新)
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