宮城県南三陸町の南端、海岸沿いに神割崎はあります。三陸といえば、リアス式海岸を思い浮かべる方も多いでしょう。そしてこの神割崎もそんな海水の浸食によるもの…と考えがちですが、ここには不思議な伝承がありました。
その伝承を簡単にご紹介しますと…。
時は宝暦年間(1751年〜1763年)、巨大なクジラがこの地に漂着しました。土地の人は喜びクジラを分けようとしましたが、この場所はちょうど2つの村、十三浜村小瀧と戸倉村寺浜の境界。どちらの村も「この場所は自分たちの村で、クジラも自分たちのものだ」と譲らずに争い始めました。そして3日目の晩、雷鳴・地響きが起こりここにあった巨岩が真っ二つに…。あまりにもまっすぐに割けていたことから「これは神様の仕業であろう」と、その後はこの地を境界として争うこともなくなりました。
伝承に真実味を感じてしまうのは、はっきりとした年代(それも江戸時代)があるからでしょうか。
神割崎は現在も石巻市と南三陸町の境界となっています。
※上の写真の説明板には、伝承のあらましが書かれています。
駐車場からすぐのところから、神割崎を見下ろすことができます。確かに真っ二つに割れた、と思われるようにまっすぐな壁の大岩が2つ。そしてここの見どころはこの岩だけではありません。この岩の先は太平洋。そこから流れ込んでくる波がとてつもない勢いで迫ってくるのです。
この位置からでもその迫力は十分。しかしここから遊歩道があるので、下まで降りることもできます。波の迫力を間近で体感したい方にはお勧め。
遊歩道は濡れて滑りやすくなっていることもあるので、足元には気を付けてください。
先ほどの場所からほんの2〜3分。遊歩道の階段を下りると、神割崎の岩の裂け目を真正面に見ることができます。
正面と右側から押し寄せる波の動きは複雑。波の荒さも高さも水量も、刻々と変わっていきます。心洗う荒々しい波音。岩の間から押し寄せる波の様子は、まさに自然が生み出した奇跡と言っても過言ではありません。
ちなみに2月中旬と10月下旬には、岩の間を昇る太陽と荒波の絶景を見ることができます。
階段下で見ていると、岩の間を太平洋から押し寄せる波が盛り上がって通ってくる様子がよくわかります。高さがあればあるほど、迫力も増大。その光景には思わず息をのんでしまいます。押し寄せる波は、自然のエネルギー。あまり知られてはいませんが、神割崎はパワースポットだと感じられるのではないでしょうか。
ただこの波が迫って来る様子が、思わず「津波」を連想してしまうことも。津波を不快に感じる方には、この場所はお勧めできません。
神割崎の波の動きは、見ていて飽きることがありません。
寄せたり引いたりするダイナミックな波の動きは、ついいつまでも見てしまいます。
しかし階段下で見ていると正面から怒涛の勢いで押し寄せる波が、そこまで来てしまう可能性も否定できません。特に岩の間を高く盛り上がって来る波は要注意!身の危険を感じたら、すぐに階段を上って避難しましょう。
神割崎は言ってしまえば「ただ岩の間を波が通って押し寄せてくる」ただそれだけの場所。
しかし「ただそれだけ」なのに、その迫力に息をのみ、感動を覚え、心が洗われます。帰る時には心がすっきりとしている…まさにパワースポット。
神様と自然が作り出した奇跡の賜物。
この感動を味わいに、ぜひ神割崎を訪れてください。
アクセス
電車:JR気仙沼線柳津駅〜BRTバス「陸前戸倉駅」〜町営バス(戸倉線)バス停「神割崎入口」下車
車:三陸自動車道 河北IC〜R45号〜県道197号〜R398号経由、約30.5km
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(2024/9/9更新)
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