ご紹介する丹那断層公園は、箱根の南側に位置する函南町の、牛乳の生産が盛んな丹那盆地にあります。県道11号線、通称「熱函道路」を熱海市から来ると、道路上に案内看板があるので迷わずに行くことができます。
公園に着くと、本来公園にあるはずの滑り台などの遊具は一切無く、一面原っぱのような広場。一見すると、どこにでもありそうな光景ですが、公園内を断層が通っています。
「断層」と聞いてピン!と閃く方は少ないかもしれませんが、こちらの写真は、公園内にある大地がずれ動いた跡。言わば、断層が動いた証拠の場所です。左側に見える「くの字」の様な形と、右手に見える「逆くの字」。地面に埋められた二つの岩は、もともとは円形でしたが、ご覧の通り変形しています。
これは、ちょうど真ん中を通るように断層がはしり、ずれ動いたためこのような形になっています。断層とは、地殻変動によって岩盤の割れ目に沿って起きる地層の食い違いのことで、自然の力が加わると動くそうです。
ここは見かけ上、左側の地盤が手前にずれているため「左横ずれ断層」と呼ぶそうで、大地を動かす自然のエネルギーに驚かされてしまうような光景です。
「こんなに動いていたら、地中はどうなっているの?」と気になる所ですが、地面の下にあることなので、なかなか見ることはできませんが、大丈夫!
こちらの公園内には、地下観察室があって地中内部を見ることができます。
お次は、地中に隠れている貴重な断層をご覧に入れましょう!!
ご覧になっただけで、きっとお解り頂けることでしょう。
真ん中の線を境に、食い違う2つの層。これが断層で、北伊豆地震の時に実際に活動した主断層です。断層の東側が北へ、西側が南へ動いたため、約2.6mのずれが生じ、横ずれした断層を見学できる世界的にも珍しい場所です。
地下観察室は、地面をそのまま掘っただけのダイナミックな造り。
そのため、ありのままの地中内部が見られ、複雑に入り組んだ断層線や、地中なのに何故かある不思議な巨石など、普段絶対に見られない様子が見られます。
見ている限り、断層は微動だにしないので、二度と動くことはないだろなんて思われがちですが、実はこの断層は生きているんです。これからも活動が予想される活断層で、約700年から千年の周期で活動を繰り返しているそうです。
ただ眠っているだけで、いつ眠りから覚めてもおかしくはなく、そんな珍しいものが見られるなんて驚きですよね!
北伊豆地震の発生時に動いた断層は、伊豆市修善寺から、お隣の神奈川県の芦ノ湖まで及んだそうで、その距離は約30km。
地震の痕跡を間近に感じられる場所は「丹那断層公園」だけではありません。
こちらは、丹那断層公園から北に約3.5kmの場所にある「火雷(からい)神社」です。
ここは、不運にもちょうど断層の真上にある神社。そのため、北伊豆地震が起きた際、鳥居と石段の間に1.4mのずれが生じました。
トの字に見えるものは、かつての鳥居の一部で、その周囲に散乱しているのは壊れた鳥居の石です。人間の力では、とても動かすことができない程のガッチリとした鳥居。
そんな鳥居をいとも簡単に壊してしまうなんて、自然の力ってホントに凄いですよね。
ここでは、後世に地震の記憶を伝えるため、このような鳥居や石段など、地震発生当時のままの姿が残されていて、自然の驚異を感じることができます。
因みに北伊豆地震は、1930年11月26日に発生したマグニチュード7.3の大地震。1995年の阪神淡路大震災と同じ直下型の地震だったようで、甚大な被害をもたらしました。ちょうど、伊豆長岡温泉に滞在していた文豪の武者小路実篤も、この地震を体験し、体験談を雑誌などに記載したそうです。
如何でしたか?
きっと、人間の想像を遥かに超える自然のエネルギーを感じてもらえたことでしょう。
ご紹介した丹那断層公園と火雷神社は、伊豆半島ジオパークの見所にもなっています。
「ジオ」とは、ギリシャ語で「大地」と言う意味。大地を見学するにはもってこいの場所で、いずれも見学は無料です。
防災意識が高まっている中、ここを訪れて防災について改めて考えてみませんか?
大地からのメッセージを、きっと感じ取ることができるでしょう。
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(2024/10/15更新)
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