星が生み出す地上の絶景。熊本県宇土市の「有明海の遠浅」

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星が生み出す地上の絶景。熊本県宇土市の「有明海の遠浅」

星が生み出す地上の絶景。熊本県宇土市の「有明海の遠浅」

更新日:2015/06/30 17:36

タケモト スグルのプロフィール写真 タケモト スグル 美術館バカ、感動写真家

日食、月食、流星群。昨今、壮大な天体ショーが話題です。かつては愛好家のものであった天文現象が、世間の話題へとなってきました。
空を眺めて楽しむイメージのこれら天文現象ですが、実は日夜、地上でも繰り広げられていることをご存知でしょうか。ここでは、星の力が生み出す絶景「有明海の遠浅」を、熊本県宇土市(うとし)の御輿来海岸(おこしきかいがん)よりご紹介すると共に、撮影方法についても触れたいと思います。

天文現象「潮の満ち引き」

天文現象「潮の満ち引き」

写真:タケモト スグル

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天文現象といえば? おそらくは、皆既日食、金環食、彗星、流星群、皆既月食、等などが思い浮かぶと思います。印象的な現象にカメラを向けた方も多いのではないでしょうか。

それら稀で不定期な印象のある天文現象ですが、実は月の満ち欠け、星の日周運動などと日夜繰り広げられています。天気なども広義には天文現象と言えるかもしれません。

「潮の満ち引き(海面潮汐(かいめんちょうせき))」もそれら日夜の現象の1つです。違うのはそれが地上だということ。景色に変化をもたらします。

今回ご紹介する熊本県宇土市(うとし)の御輿来海岸(おこしきかいがん)は、海面潮汐による景色の変化が特に激しい有明海に面する観光スポットです。遠浅(とおあさ)で海の底が広く露出するのはもちろん、とにかく神々しく美しい。特筆すべき景勝地です。

潮の満ち引きの仕組み

潮の満ち引きの仕組み

写真:タケモト スグル

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海面潮汐の要因は主に月、そして太陽です。月と太陽の引力が地球の海水を引き寄せると共に、遠心力も発生して、満ち引きを起こします。

月と地球と観測者が直線上にあれば「満潮」
その並びに太陽が付き合う時期が「大潮(干潮満潮の潮位差の大きい時期)」
月が地平線方面にあれば「干潮」
太陽の付き合いの悪い時期が「小潮(潮位差の小さい時期)」
およそそんな仕組みです。
※図解・詳細は文末のリンク「潮汐の仕組み(気象庁)」を参照

思えば、私たちの知能や心は宇宙規模ながら、物理的な存在は小さいものです。いわば地球は大宇宙に浮かぶ小舟であり、日々大海原の波にさらされています。地上から見れば小さい月と太陽ですが、海の大きさと海面潮汐とを考えれば圧倒的な力があることが分かります。身近な景色に星の力を感じる事も楽しいものです。

遠浅の名所「熊本県宇土市(うとし)」

遠浅の名所「熊本県宇土市(うとし)」

写真:タケモト スグル

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宇宙規模の力を意識して地上を眺めると、そこには海があります。広い、しかし広いだけ。地球の大きさを感じるに留まります。ならばと潮の満ち引きを眺めるにも、1日仕事で増減を確認するに留まります。どうにもこうにも「星の力に感動する」レベルには達しません。

そこで挙げる手段が旅の景色です。眺めたいのは「遠浅」。沖まで浅い場所のことであり、引き潮で海床が広く露出します。

その遠浅で有名な場所が有明海です。水深が浅く、接する4県(福岡・熊本・佐賀・長崎)の広範囲に浅瀬の露出が起こります。九州最大の湾であり、日本最大の干潟です。

観光・撮影スポットは各地に点在しており、目的に応じて選ぶことができます。ムツゴロウなどの干潟の生物を見るのであれば有明海北部の福岡や佐賀(海遊ふれあいパーク 佐賀県ムツゴロウ王国芦刈)、日の出の景色を撮影するならば西側の長崎、日没と遠浅を撮影するならば東側の熊本、等などです。

熊本県宇土市はその代表的な場所で、多くの写真愛好家が訪れます。特に「御輿来海岸(おこしきかいがん)」と「長部田海床路(ながべたかいしょうろ)」は有名です。

そのうち、「御輿来海岸(おこしきかいがん)は、「夕日と遠浅が神秘的!!」な場所です。古くは神話の時代より伝わる景勝地で、現在も「日本の渚百選」や「日本の夕陽百選」に選ばれています。

その景色はまるで絵画です。
夕陽が染める赤い空、鎮座する雲仙普賢岳のシルエット、黄金色に輝く有明海、そして足元に広がる曲線美の砂紋(砂干潟)。どこをどう見ても絵になります。神秘を感じるに十分なものです。

なお、遠浅には見頃があります。
【見頃(遠浅のみ)】
・干潮の前後1〜2時間
【見頃(遠浅+夕陽)】
・干潮の前後1〜2時間
・日没と干潮が近い日
・日中の干潮時の潮位が低い頃(2月〜8月頃)
・晴天

この通り、遠浅のみの場合には条件は少ない(月明かり等で眺めることも含む)のですが、遠浅と夕陽を同時に眺める為にはいくつかの条件が揃う必要があります。

干潮と日没の時間と具体的なオススメ日については、文末のリンク「おこしき海岸の干潮と日の入り(宇土市観光物産協会)」をご覧下さい。

写真的な深みが増す「曇天」

写真的な深みが増す「曇天」

写真:タケモト スグル

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もし御輿来海岸(おこしきかいがん)を検索したならば、多くの写真が現れると思います。その“成功”写真の多くは晴天時のもので、光や色に彩られた姿にきっと多くの方が心を打たれることでしょう。

その分、曇天時に現地へ着いた場合は最悪です。夕日なく暗転する景色に、心も沈むかもしれません。

ですが、心を落ち着かせて曇天の景色を眺めてみて下さい。光や色の演出が少ない分、砂紋の深みが増しています。撮ってみると、レトロなカメラで撮影したかのような深い景色が映し出されるはずです。

没個性になりがちな“キレイ”な写真に対し、深い写真には噛むほど味が出る感覚を得ることがあります。カメラを持つならば、曇天はむしろ喜びとしていいのかもしれません。

有明海の遠浅の撮影方法

有明海の遠浅の撮影方法

写真:タケモト スグル

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まず、基本項目の設定について触れます。

【参考値】
撮影モード:A(絞り優先モード)
絞り:f8〜f11
感度(日没前):ISO400〜800
感度(日没後):ISO1600〜3200
感度(曇天時):ISO1600〜3200

遠浅の主役は砂紋なので、沖にまで続く文様の全てに神経を通わせたいところです。その為、絞り値は高めに設定します。
それに伴い、レンズを通る光が減り、シャッター速度が遅くなるので、手ブレが起こりやすい状態になります。その為、感度は高めです。

また、日没前の光は強烈ながら、日没後は急に弱まるという特徴もあります。シャッター速度の低下を感じた際には感度をさらに高くして下さい。

絵作りについては、感動をそのままに各種設定を試して頂ければいいのですが、参考までにこんな設定もいいかと思います

【参考値(絵作り)】
ピクチャーコントロール:風景(かつ、コントラストを最低値まで下げる)
ホワイトバランス:晴天日陰 もしくは 曇天
露出補正:暗いと写ったら思いきってプラス補正

この設定により、夕日の赤みが強調された写真となります。ただし、あまり鮮やかにし過ぎると安っぽい写真になってしまうので、程々よりも少し強いという程度にとどめて下さい。

この設定において最重要は「コントラスト」と「露出補正」です。いわゆる「逆光」を最大の状態にして撮影するということなので、普通に撮ると、画面全体は暗く、光のない場所は黒つぶれしてしまいます。シルエットを強調して影絵のような写真を撮る場合を除き、「コントラストを最低値に設定」「暗かったらプラス補正」の2点を試して下さい。

なお、「逆光」という言葉を「撮影を諦める」と同義語にしている方が時々いらっしゃいます。ですが、今はその場で写真を確認できる時代ですので、「逆光」に対して”失敗”を容認しないで下さい。

”逆光が撮影に適さない” なんてフィルム時代の話しです。今は結果がすぐ分かるデジタルカメラの時代なので、暗ければ明るくして再度撮る、光のイタズラが過ぎれば若干ずらして再度撮る、それで より表情豊かな写真が手に入ります。積極的に逆光を利用するほどの気持ちで取り組んで下さい。

おしまいに

今回は、潮の満ち引きへの俯瞰した視点をお届けすると共に、「有明海の遠浅」を熊本県宇土市の御輿来海岸よりご紹介しました。広がる景色に宇宙を感じるスポットです。

感動を心にカメラをその手に。
優美な時間はゆったりと流れます。深い時に身を委ねつつ、納得のいくまでシャッターを切り続けて下さい。

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/04/20−2015/04/21 訪問

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