写真:乾口 達司
地図を見る一口に中南米といっても、古代から中世にかけてその文明圏は実に多様で、代表的なものだけを挙げてもメキシコ中央高原を中心にして広がるメキシコ中央高原文明、メキシコ南部およびユカタン半島から中央アメリカにかけて広がったマヤ文明、ペルーやボリビアを中心にして発展した中央アンデス文明、さらにはカリブ海地域を中心とした農耕文化などを挙げることができます。
BIZEN中南米美術館にはそれらの地域で作られた土器や土偶、石彫などが数多く収蔵されています。その数は約1800点!しかし、なぜ、漁師町として知られる日生地区に中南米の美術館が存在しているのでしょうか。その理由は、当館が日生地区で漁網の製造・販売をいとなみ、中南米の文物に魅了された故森下精一氏からコレクションの寄贈を受けて設立されたことに由来します。
写真は美術館の外観。外壁はレンガ造りのように見えますが、これはすべて備前焼の陶板なのです。その製作者は岡山県重要無形文化財に認定されている備前焼作家の故藤原建氏。陶板の数は何と16000枚にもおよびます。岡山ならではの建物であるといえるでしょう。
写真:乾口 達司
地図を見るでは、当館に収蔵されているシュールな文化財をご紹介してまいりましょう。写真は現在のエクアドルで出土した動物象形土偶。紀元前1200年頃から200年頃に栄えたチョレーラ文化時代の遺物と考えられています。それにしても、何とも不思議な造形だと思いませんか?現在、当館のマスコットキャラクターとなっている「ペッカリー」は、この土偶にもとづいてデザインされたものです。
写真:乾口 達司
地図を見るこちらの土偶は、その名のとおり、板状頭人物象形と呼ばれており、紀元300年から1000年頃、現在のコロンビア一帯で栄えたキンバヤ文化時代の遺物と見られています。よく見ると、鼻の部分に金の花輪がとりつけられていますよね。これはキンバヤ文化が黄金製品で知られていたことの証。それにしても、こんな造形、いったい誰が思いついたのでしょう!?シュールすぎます!
写真:乾口 達司
地図を見るこちらの造形も個性的ですね。紀元800年から1500年頃、現在のコスタリカ南部一帯で栄えたニコヤ文化をいまに伝える動物象形三足土器。多彩な彩色も特色です。
写真:乾口 達司
地図を見る写真はアステカの首都テノチティトランの大神殿跡に残されていたチャクモールのレプリカ。チャクモールとは神への生贄としてささげられた心臓を据え置く石造物のこと。中央の皿の上に生贄からえぐり出された心臓が置かれていたのです!中南米にこんなショッキングな風習があったなんて、驚きですね。
BIZEN中南米美術館の収蔵品がいかにシュールで魅力的か、おわかりいただけたでしょうか。もちろん、ここで紹介したのはほんの一例。不思議な造形を見せる文化財はまだまだ展示されており、決して見飽きることはありません。ご自身の足でBIZEN中南米美術館を訪れ、中南米の不思議な世界にひたってみてください。
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この記事を書いたナビゲーター
乾口 達司
これまでは日本文学や歴史学の世界で培った見識にもとづいて数多くの評論や書評を執筆してまいりました。奈良生まれ、奈良育ちの生粋の奈良っ子。奈良といえば日本を代表する観光地の一つですが、地元民の立場からい…
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