明治2(1869)年、北海道神宮は開拓民の心の拠り所として、明治天皇の詔によって先述の3神(開拓三神と呼ぶ)が祀られたことに始まります。そして、この3神を当時の開拓判官であり札幌開拓に多大な功績を遺した島義勇が札幌市街の西方、円山の地に定めて造営しました。
札幌市街からは、市営地下鉄東西線「円山公園」駅を下車し、道を西へ。円山山麓の総合公園・円山公園を突っ切ると巨大な鳥居が現れます。こちらが公園口鳥居で、これより境内に入ります。
鳥居をくぐると、間もなく見えてくるのが開拓神社になります。開道70周年にあたって北海道開拓に功績のあった37柱を祀る北海道神宮の末社にあたります。
祭神の内訳を見ると、伊能忠敬、高田屋嘉兵衛のような人物に始まり、最上徳内、近藤重蔵、間宮林蔵、松浦武四郎の探検家たち、鍋島直正、島義勇、黒田清隆、東久世通禧(みちとみ)、岩村通俊ら開拓使の役人などなかなかの顔ぶれです。
小ぢんまりとした社殿ですが、札幌を旅させていただく、または旅させていただいている旨をお伝えすべく、ぜひとも手を合わせておきたいところです。
開拓神社を通り過ぎると、鉱山殉職者を慰霊する「札幌鉱霊神社」、北海道の開拓事業に資本を供給すべく設立された北海道拓殖銀行にゆかりの深い「穂多木神社」、樹齢100年以上の古木を残す参道を経て、いよいよ拝殿に至ります。
明治4(1871)年に仮本殿が造営され、大正2(1913)年に「仮」の取れた社殿が造営。その後、昭和53(1978)年の復興、昭和63(1988)年の拝殿の改修によって現在の姿となりました。
巨木の柱に支えられた向拝(庇の付いた部分で、参詣者が礼拝する場所をいう)付き神明造りで、銅板葺き。千木が鋭く天を衝いています。社殿そのものは明治期どころか昭和後期のものであり、歴史を刻んできた趣に出会うことはできません。
しかし、神々のけはいを感じ取れそうな雰囲気があり、巨大な社殿は荘厳さを纏っているようです。社殿の手前には、北海道神宮の場所を定めた島義勇の勇壮な像が立っています。
参道を歩いて来る途中、カメラを木の高いところに向けた人々と出会うことがあります。彼らの目的はバードウォッチング。北海道神宮はバードウォッチングのスポットとしても知られています。
社殿から北東、表参道を歩くと至る第二鳥居の手前には、「北海道神宮境内の野鳥」と銘打った看板を見つけることができます。主要な24種を実寸大の絵で表現しており、野鳥に詳しくない人間にとってはありがたいです。
この看板を撮って、看板脇の道から北海道神宮の森にお邪魔してみましょう。きっと、かわいらしい小鳥たちに遭遇することができます。ちなみに、実際のところは1年を通じて約80種もの鳥たちを見ることができるそうです。
静かに境内を巡っていたり、野鳥を根気よく探していると、木や地面を小さな生き物がすばやく駆け抜けていくことがあります。その正体は、「エゾリス」です。私も見つけました。
北海道神宮の魅力は「生きた自然」を実感できる点にもあります。
北海道の総鎮守・北海道神宮には、明治初期の開拓時代の歴史が息づいており、境内を見渡せば豊かな自然があります。北海道神宮の魅力はまさにここで、こうした場所が中心市街からほど近いところにあるのが北海道神宮に限らず、札幌の魅力でもあるのです。
また、桜の名所としても知られます。例年4月下旬から5月上旬に見頃を迎え、エゾヤマザクラ、ソメイヨシノ、ヤエザクラ、チシマザクラ、シダレザクラなど種類も多彩です。北海道神宮は札幌市民、ひいては北海道民のかけがえのない場所なのです。北海道神宮を知らずして札幌は語れません。札幌を訪れた際は、こちらまで足を延ばしていることをおすすめします。
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(2025/1/19更新)
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