マカオの人々を見守り続けた世界遺産をたずねて歩く歴史散歩

マカオの人々を見守り続けた世界遺産をたずねて歩く歴史散歩

更新日:2015/07/06 10:49

多くのカジノが建ち並び「東洋のラスベガス」の呼び名も高いマカオは、日本からアクセスもよく気軽に行ける海外旅行先として人気のある観光地。

そしてもう1つのマカオの魅力といえば、ポルトガル居留時代や植民地時代から残るカラフルな建造物の数々です。今回は、長きに渡りマカオの歴史と人々を見守り続け、20世紀に入り世界遺産に登録された公共施設や官庁などの建造物にスポットを当ててみましょう。

イスラム風建築に歴史を感じる「港務局ビル」

イスラム風建築に歴史を感じる「港務局ビル」

提供元:遠藤隆尚

地図を見る

ポルトガル人が最初に辿り着いたといわれている媽閣廟があるバラ岬から、閑静な住宅街へ続く坂道を歩くと、突如として現れるのが「港務局ビル」です。

ほんの少し高台に建つ「港務局ビル」はクリーム色と白を基調としたコロニアル風な壁に、回廊を飾る三つ葉模様とアーチからはイスラム建築が香る、異国情緒豊かでいてとても特徴的な建物です。実はイタリア人によって1874年に設計・建設されたのですが、その目的はマカオの警備補強のために、やはり当時ポルトガル領であったインド西海岸中部の街ゴアから、イスラム教徒であるムーア人兵士をマカオに連行、宿舎として利用するためであったからだと見られています。

現在は港務局のビルとして利用されているため中へは入れませんが、回廊と表玄関のみ観光が可能となっています。

■港務局ビル(Quartel dos Mouros、港務局大樓)
住所:澳門媽閣斜巷

アジア初の西洋式劇場「ドン・ペドロ5世劇場」

アジア初の西洋式劇場「ドン・ペドロ5世劇場」

提供元:遠藤隆尚

地図を見る

聖オーガスティン広場を中心に世界遺産の建造物が建ち並ぶ中にあって、ミントグリーンの壁がひときわ目を引く建物が、アジア初の西洋式劇場「ドン・ペドロ5世劇場」です。

1860年にマカオ生まれのポルトガル人が設計したこの劇場の名は、ポルトガル国王ドン・ペドロ5世に敬意を表して付けられました。まるで神話に出てきそうな正面ファザードは、ローマ様式のアーチと三角形の切妻が特徴的です。建物内前面のロビーは宮殿の大広間のような趣きを感じさせ、円形に配された観客席の赤いシートが目に飛び込んできます。2階にはバルコニー式の観客席があり、手すりが舞台を包み込むように優雅な円を描いています。

普段は劇場内は公開されていませんが、コンサートなどで使用される時は扉が開いています。開催時期をチェックして劇場内も見学してみてください。

■ドン・ペドロ5世劇場(Teatro D. Pedro V、崗頂劇院)
住所:澳門崗頂前地2

香港・マカオ唯一の庭園付き図書館「ロバート・ホー・トン図書館」

香港・マカオ唯一の庭園付き図書館「ロバート・ホー・トン図書館」

提供元:遠藤隆尚

地図を見る

「ロバート・ホー・トン図書館」もまた聖オーガスティン広場にある、レモンイエローの壁とアーチ窓が特徴的な建物です。

1894年以前に建てられたポルトガル人の住居を、香港の大富豪ロバート・ホー・トンが1918年に購入し、マカオ滞在時の住居として利用していました。1955年、ロバート・ホー・トンがこの世を去り、彼の遺言に従ってこの建物と2万5千香港ドルを当時のマカオ政府に寄付、公共の図書館へと姿を変え1958年に正式に開放されました。香港とマカオで唯一の庭園を備えた図書館は、古い宗教書籍や中国式の装飾本などの貴重な古書も眠っています。

2005年には敷地奥に新棟が建造された「ロバート・ホー・トン図書館」。マカオ最大の図書館として市民に愛されています。

■ロバート・ホー・トン図書館(Biblioteca Sir Robert Ho Tung、何東圖書館大樓)
住所:澳門崗頂前地3號

マカオの政治の中心地「民政総署ビル」

マカオの政治の中心地「民政総署ビル」
地図を見る

マカオの中心ともいえるセドナ広場の真向かいに建つ、シンプルでいて堅牢な造りの建物が「民政総署ビル」です。

市政庁(レアル・セナド)として、ポルトガル統治時代からマカオの政治が執り行われてた、いわばマカオの歴史を生み出してきたこの建物は、1784年に建てられてから幾度もの修改築を経て今の姿となりました。ルネッサンス様式の古式ゆかしく、シンプルでいて窓とバルコニーのバランスが絶妙な正面ファザード。中庭へ行く途中の内壁には、典型的なポルトガル様式の青いタイル(アズレージョ)が美しく飾られています。趣向を凝らした中庭は、ポルトガルの詩人ルイス・カモンエスや作家ジョアン・デ・デウスの胸像、そして大航海時代を象徴する天球儀が品よく配されています。2階の図書館はポルトガルのマフラ修道院図書館を模して作られるなど、1つの建物で多様な建築様式が見られるのも、「民政総署ビル」の特徴といえるでしょう。

■民政総署ビル(Edificio do IACM、民政總署大樓)
住所:澳門亞美打利庇盧新馬路163號

セドナ広場のシンボルは白く美しい「仁慈堂大楼」

セドナ広場のシンボルは白く美しい「仁慈堂大楼」

提供元:遠藤隆尚

地図を見る

セドナ広場の噴水の目の前に、いつ訪れても白く美しく優雅な姿を魅せてくれるのが「仁慈堂大楼」です。

マカオの初代司教D・ペルシオール・カルネイロによって1569年に建てられた当初は、慈善・救済事業を目的とした慈善福祉団体として利用されていました。その後、中国ではじめての西洋医学を施す病院を創設、さらには養老院や孤児院など、まさにマカオの人々の生命線としての役割を果たします。

白く慈愛に満ちた新古典主義様式の「仁慈堂大楼」は、現在は公証役場として利用されています。向かって右にある入口から階段を上がり2階にある博物館と、その奥のテラスから見るセナド広場の景観も必見ですよ!

■仁慈堂大楼(Santa Casa da Misericordia 仁慈堂大樓)
住所:澳門仁慈堂右巷2

目指せ!世界遺産「マカオ歴史地区」の30物件全制覇!

今回は世界遺産「マカオ歴史地区」の中から、支庁や病院などの公共施設にスポットライトを当ててご紹介しました。他にも教会や広場、中国様式の寺院や民家など、マカオの歴史を物語る建物はたくさんあります。

観光案内所や世界遺産の建物では、世界遺産観光マップ(日本語有り・無料)が設置してあります。世界遺産観光マップを片手に、30ヶ所全制覇を目指してみてください!

掲載内容は執筆時点のものです。 2013/11/05−2013/11/08 訪問

- PR -

旅行プランをさがそう!

このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!

条件を指定して検索

- PR -

この記事に関するお問い合わせ

- 広告 -