今やココだけ!三重県四日市の貨物列車と鉄道可動橋を見に行こう!〜JR関西本線乗り撮り歩き

今やココだけ!三重県四日市の貨物列車と鉄道可動橋を見に行こう!〜JR関西本線乗り撮り歩き

更新日:2015/07/10 13:39

もんTのプロフィール写真 もんT チューター、フリーライター
工業地帯として日本経済を支えてきた三重県四日市市。この町には、工業都市の発展を支えた貴重な鉄道インフラが、今なお現役で稼働中…。今はもうココだけ!珍しいディーゼル機関車が牽引する貨物列車が毎日、この町にはやってきます。そして珍しい可動式の鉄道橋が、今でも開閉するシーンも見られます。JR関西本線に乗って、四日市に行ってみましょう!

凸型機関車の最後の活躍…四日市に集まる貨物列車に注目!

凸型機関車の最後の活躍…四日市に集まる貨物列車に注目!

写真:もんT

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JR関西本線は、名古屋から奈良を経由して、大阪のJR難波駅に至る、全長174.9kmの路線。名古屋から乗車すると、ほどなく木曽川を渡り、三重県に。そしてすぐに長良川も渡ります。やがて進行方向左手に工場のプラント群が見えてくると、今回の目的地、四日市。名古屋から普通列車ならば約50分で到着です。

四日市までは近鉄名古屋線も平行して走っていますが、今回、JR関西本線を紹介するのには訳があります。それは、貨物列車が多数見られること…。今では全国的にはここだけとなったDD51型ディーゼル機関車牽引の貨物列車を見に、コアな鉄道ファンがこの地を訪れます。

四日市までの道中でもDD51の姿が何回か見られるかも…。そして四日市駅に到着したら、ホーム隣のヤードに注目です。出発を待つ貨物列車や、待機する機関車の様子を駅ホームからじっくりと観察できるでしょう。

DD51型ディーゼル機関車は、1962年から全国の貨物輸送に導入。D51などの蒸気機関車に取って代わって、特に非電化路線での貨物輸送をこれまで担ってきました。そのDD51も今や新型の機関車への置き換えが進み、現在、その活躍が見られるのは、ここ関西本線のみ…。ユニークな凸型機関車の最後の活躍にぜひ注目です。

名古屋方面から四日市駅にやってきた貨物列車は、ここから枝分かれする支線や引込み線へと入っていきます。午前中の早い時間であれば、その支線の一つ、塩浜線の終点「塩浜貨物駅」をまず訪ねてみるのもおススメ。四日市駅の一駅先の南四日市駅から徒歩約30分、あるいは近鉄線を利用するなら、塩浜駅下車すぐです。

小さな貨物駅ですが、貨物列車がやってくる時間帯は、DD51や貨車の入れ替え作業などの様子を、いろいろなアングルから観察できるので、おススメのスポットです。
写真は、塩浜貨物駅に8:16到着の貨物列車です。(土・休日は原則運休)

現存する最後の鉄道可動橋…末広橋梁に行ってみよう!

現存する最後の鉄道可動橋…末広橋梁に行ってみよう!

写真:もんT

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四日市でさらに注目したいのは、駅から埠頭へ向かう引込み線にある「末広橋梁」。この鉄橋、全国で今やここだけの開閉式の可動橋です。写真のように普段は、船の通行を優先して、橋は跳ね上げられた状態。貨物列車が通過するときだけ、橋が下ろされる仕組みです。

列車が通るときだけ橋が下りるという可動橋は、かつては全国の幾つかの鉄道路線で見られましたが、路線の廃止や、橋そのものの構造の見直しなどにより、今やほとんどがなくなりました。ここ四日市の末広橋梁は、1931(昭和6)年12月製作。鉄道の可動橋としては最後の生き残りです。1998年には国の重要文化財に指定されました。

この橋への行き方ですが、JR四日市駅を出たら左(南)へ向かい、川を渡ったらすぐに左折。海のほう(東)へ向かいます。関西本線の線路や名四国道を越えたあとは、なるべく川から離れないよう意識して、道があるところを進んでいきましょう。駅からは約1.5km、徒歩20分弱で到着します。

末広橋梁は今も現役!…開閉シーンもお見逃しなく!

末広橋梁は今も現役!…開閉シーンもお見逃しなく!

写真:もんT

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せっかくの機会ですから、ぜひとも開閉シーンも見ていきましょう!
平日は基本的に毎日、9:50頃、12:50、14:50頃の計3回、貨物列車が埠頭へ向かってこの橋を渡っていきます。列車がやってくる10分ほど前に、待機していましょう。自転車に乗って係員の方が現れ、橋の詰め所に入ったら、スイッチオン!可動橋がゆっくりと、およそ2分ほどの時間をかけて閉じていきます。

埠頭へ向かった貨物列車は、10分ほどでまた、空の貨車を引いて戻ってきます。この1往復が終わると、橋はまた元の跳ね上げ状態に戻されます。今やここだけとなった鉄道可動橋の開閉シーン、最初から最後まで、ぜひお見逃しなく!

なお、休日は原則として常時、橋は下りたままで、開閉シーンは見られないかも…。また、セメント工場のメンテナンスの関係で、毎年5月後半から6月にかけての約1ヶ月間、ここを通る貨物列車は運休します。このときは、橋はずっと跳ね上がったままになります。

可動橋に注目するのであれば、末広橋梁のすぐ南の道路橋「臨港橋」もぜひ見ていきましょう。この橋もよく見ると開閉式!こちらは船が通るときだけ橋が跳ね上がり、普段は常時閉じられています。橋が大好きな人、建築に興味がある人は、こちらも必見です。

おわりに

四日市の貴重な鉄道インフラをたずねる旅はいかがでしたか?今回紹介したスポットはいずれも、工場地帯とはいっても、のんびりとたたずむことができる場所。「産業遺産」としてお蔵入りしてしまう前に、ぜひリアルな現役の姿を見て、記録しておきたいものです。ちょっとした社会科見学の旅、ぜひ楽しんできてください。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2015/03/23 訪問

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