写真:塚本 隆司
地図を見る赤穂御崎は瀬戸内海国立公園に位置した播磨灘を一望できる風光明媚(めいび)な岬。穏やかな瀬戸の海に浮かぶ大小の島々、よく晴れた日には遠く四国の山並みまでみえる。海岸に沿って敷かれた遊歩道は、切り立つ崖と岩礁を縫うように続くかと思えば、砂浜が広がる入り江、「ライオン岩」や「大石名残の松」といった奇岩・名所とあり飽きることがない。春には梅や桜が咲き、毎日でも散歩をしたい風景が広がる。
岬の高いところ建つ伊和都比売神社(いわつひめじんじゃ)の大鳥居が、赤穂御崎の風景をより印象的にみせてくれる。夕日に染まる岬に大鳥居のシルエットが映る姿には、筆舌に尽くしがたい美しさだ。
写真:塚本 隆司
地図を見る写真は、伊和都比売神社から大鳥井越しに瀬戸の海を眺めた風景だ。
伊和都比売神社は、平安時代初期に記された延喜式神名帳に名を連ねる由緒ある古社。「御崎明神」とも呼ばれ、古くから赤穂に住み暮らす人々の信仰が厚い。若い男女による姫神信仰も盛んであったようで「縁結びの神=姫神さま」としても親しまれている。今では県内外から縁結びの御利益があるという「姫守」(500円)を買い求めに来る人、成就したお礼参りに訪れる人の参拝姿を多く見かけられるようになった。
伊和都比売神社は、もともと岬の岩礁に鎮座していたものを播州赤穂藩初代藩主の浅野内匠頭長直が、瀬戸内海を見渡せる現在の場所に遷座させたという。ちなみに、忠臣蔵でおなじみの浅野内匠頭長矩は3代目の藩主にあたる。
古くから航海の安全や大漁祈願などにも御利益がある神社として知られ、今でも瀬戸内海上を通る船舶から大鳥居を目印に手をあわす船乗りの姿が見られるという。
神社の大鳥居の脇にはベンチがひとつある。「一望の席」と呼ばれるとおり、瀬戸内海を一望できる特等席だ。瀬戸の海に昇る朝日と沈みゆく夕日のどちらも見ることができる。
2014年10月、赤穂御崎が「恋人の聖地」に認定された。以降、現在の赤穂御崎の人気を象徴するスポットのひとつになっている。ほのかにピンク色をした小石が敷き詰められたベンチで、大切な人と瀬戸の海へと沈みゆく夕日を眺めてみてはいかがだろう。
写真:塚本 隆司
地図を見るもうひとつ、大切な人と夕日を眺めるに相応しい場所がある。「たたみ岩」と呼ばれている岩礁だ。その昔、伊和都比売神社があったとされる場所のひとつだという。引き潮であれば難なく渡れる。ふたりで岩礁に渡れば願いがかなうといわれているのだ。
1枚目の夕日の写真は、この岩礁から撮影したもの。波の音をBGMに「日本の夕陽百選」に選ばれた夕日を眺めていると、心が安らぎ離れがたくなる。何かを願いたくもなる気持ちがよくわかる。
写真:塚本 隆司
地図を見る伊和都比売神社から、たたみ岩へと降りていく通りには、すてきな店が立ち並ぶ坂道がある。通称「きらきら坂」。名前のとおり、坂の向こうに青い海がきらきらと輝く。赤穂緞通ギャラリーにガラス作家のアトリエ兼ショップ、薪釜で焼く本場イタリア・ナポリのピッツアなど、赤穂御崎の雰囲気を大切にした気持ちのいい店が営業をしている。
きらきら坂では、毎月第3日曜日(9時〜12時・雨天中止)に、赤穂の新鮮野菜や加工品・手作り雑貨が並ぶ「御崎マルシェ」が開かれる。地元はもちろん遠方からの買い物客で賑わう人気のイベントだ。マルシェの日に観光に来たのなら、行かないともったいない。
赤穂御崎を歩いていると、この風景を愛してやまない人が多いことに気づくだろう。「日本の夕陽百選」や「恋人の聖地」はもちろん、「日本百景」に選ばれた御崎の景色、「名湯百選」のひとつ赤穂温泉。海岸沿いの遊歩道も「美しい日本の歩きたくなる道500選」に選ばれている。選定者らも赤穂御崎の魅力にとりつかれた証拠だろう。これほど魅力にあふれた愛すべき景観をもつ観光地は、数少ないに違いない。
大切な人と過ごす大切な時間を満たしてくれる赤穂御崎。是非オススメしたい。
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(2023/12/5更新)
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