写真:野水 綾乃
地図を見る馬頭温泉郷の中でも那珂川沿いに点々と宿が続く広瀬温泉エリアに建つ宿。
目を引く看板は、地元在住の画家で彫刻家の岡倉石朋さんの手によるものです。近くの神社の裏山で立ち枯れた樅の大木に、新たな命を吹き込むように製作されました。愛らしい表情の仏さまを描き続けている岡倉さん。館内も氏の温もりある作品で彩られています。
写真:野水 綾乃
地図を見るさっそくお目当ての露天風呂へ。女湯は2つに仕切られた檜の湯船に湯が滔々と注がれています。その向こうに広がるのは那珂川流域のパノラマの景色。遠く那須や日光の山々が青い影となって見えます。ゆるやかに流れる大河は、時間の流れまでもスローに感じさせますね。
那珂川の河原に小さな塔のようなものが見えます。そこが元湯東家の古くからの源泉塔で、河原で湧き出した源泉をパイプで旅館に引き込んでいます。
湯温は日によって異なるようですが、体温より少し低いぐらい。ぬるくてすぐに上がってしまう方もいたのですが、夏は長湯を楽しむのにちょうどよい温度。しばらく浸かっていると、ジワジワと身体の芯から温まっているのを感じます。
写真:野水 綾乃
地図を見る露天風呂は加温のみの源泉かけ流し。湯の中でしばらくじっとしていると、炭酸泉のような細かな気泡が肌を覆います。加温をし過ぎると泡は消えてしまうので、宿の方も特徴が損なわれないように気を付けていらっしゃるとのこと。泡に包まれた肌を撫でるとトローリとした湯の感触が感じられ、まるで化粧水の中に浸かっているかのようです。
写真:野水 綾乃
地図を見る内湯からも那珂川の流れが窓いっぱいに見渡せます。こちらの温泉は加温循環で、常に適温に調節されています。露天のように気泡が付くことはありませんが、独特のヌメリは感じられます。ぬる湯の後にこちらで温まり、またぬる湯に浸かりと、温冷交互浴をすると全身の血行が高まって疲労回復が早くなるのでおすすめです。
男湯は女湯と逆で、内湯が檜造り、露天が岩造りになります。
馬頭温泉郷の愛称は"夕焼け温泉郷"。ほとんどの宿が西向きに造られていて、空を真っ赤に染めながら山の向こうに沈む夕陽を美しく眺められます。元湯東家の露天風呂も内湯もすべて夕陽の沈む方角を向いています。暮れゆく夕陽を眺めながらの入浴も時間を忘れさせてくれますね。
夕食では那珂川町名物の温泉トラフグ料理が味わえるプランが人気です。栃木は海なし県なのにフグ!?とお思いでしょうが、町内の温泉でも海水に近い濃度のナトリウムを含む温泉を利用して養殖されたフグなのです。目の前を流れる那珂川の鮎も夏が旬。美肌の湯と旬の山川の幸を味わいに訪れてみてはいかがでしょうか。
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この記事を書いたナビゲーター
野水 綾乃
温泉と旅をテーマに雑誌などで記事を書いているライターです。その土地のものがたりや空気感が伝わる文章を心がけています。現在は故郷の栃木を拠点にしていて、全国の温泉地を行き来する日々。栃木の温泉宿や魅力的…
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