開拓の歴史を刻む道都・札幌の座標軸〜大通公園〜

開拓の歴史を刻む道都・札幌の座標軸〜大通公園〜

更新日:2015/07/23 11:57

「道都の座標軸」とは、札幌時計台創建135周年を記念して2013年に発行された『札幌ものがたり』という書籍で大通公園を表現した言葉です。

事実、大通公園は碁盤目状に区画された札幌の都市計画で重要な横軸としての役割を果たし、公園内に立てられた建築物や記念碑、モニュメントなどが札幌の歩みを伝えています。まさしく、「道都・札幌の座標軸」と呼べる大通公園の魅力を少し覗いてみることにしましょう。

西端に立つは札幌史を伝える「札幌市資料館」

西端に立つは札幌史を伝える「札幌市資料館」
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西端の西13丁目には、元札幌控訴院の札幌市資料館が立ちます。外観はベージュで札幌軟石という凝灰岩が積まれ、入ろうとするものを威圧させる姿に、ある種の裁判所らしさを感じます。玄関を入ると白漆喰の内壁で上質な雰囲気が漂っています。

展示室の一つに、札幌開拓の歴史を伝える部屋があります。大通公園のこと、物資輸送を目的に創成川が開削されたこと、街の中に自然を計画的に残したこと、大正7(1918)年には市電が開通し地下鉄やバスへ交通手段の転換にも負けず1路線を残して札幌の街を走っていることなどがパネルで紹介されています。

控訴院時代の雰囲気を感じさせる法廷を復元している刑事法廷展示室や、札幌出身の漫画家であり画家でもある、おおば比呂司の作品を展示するおおば比呂司記念室などもあります。

遊具との対比をなす?「有島武郎文学碑」

遊具との対比をなす?「有島武郎文学碑」
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西9丁目には子供たちが遊ぶ遊具と、隅には札幌農学校で学んだ有島武郎の文学碑です。妻の死とそれを悲しむ自分自身の心、母を失ったのだという現実をわが子に突き付けた短編小説『小さき者へ』を締めくくる一節が友人であった武者小路実篤の書で刻まれています。

小さき者よ 不幸なそして同時に幸福なお前たちの父と母との
祝福を胸にしめて人の世の旅に登れ 前途は遠い そして暗い
しかしおそれてはならぬ おそれない者の前に道は開ける
行け 勇んで 小さき者よ

何か私たちの心にも訴えかけてくるようです。

西4丁目と3丁目にはそれぞれの噴水

西4丁目と3丁目にはそれぞれの噴水
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西4丁目まで至ると噴水が見えてきます。名前はそのままの西4丁目噴水です。7枚の花びらをかたどった近代的な噴水で、昭和43(1968)年に開道100年と札幌創建100年を記念して、北海道銀行と日本軽金属より寄贈されました。写真はこちらの噴水になります。

西3丁目にも噴水はあります。昭和37(1962)年に北海道拓殖銀行本店新築記念事業の一環として札幌市に寄贈されたのが始まりで、平成3年に再度新しい噴水が北海道拓殖銀より寄贈されて現在に至るそうです。こちらの名前も西3丁目噴水。シンプルです。15分間を1サイクルとした演出を楽しめます。

また、西3丁目では札幌出身の彫刻家・本郷新の「泉の像」、札幌にゆかりのある石川啄木の歌碑なども見ることができ、札幌が芸術・文化にも造詣の深い都市であることを物語っています。

大通公園といえばやっぱり「さっぽろテレビ塔」

大通公園といえばやっぱり「さっぽろテレビ塔」
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大通公園はさっぽろテレビ塔のある西1丁目でようやく完結です。テレビ塔は大通公園のシンボルであり、ひいては札幌時計台と並ぶ札幌のシンボル的存在でもあります。

開業は昭和32(1957)年、高さは147.2メートル。東京タワーより1年早く、名古屋テレビ塔より3年遅い開業になります。この電波塔によって道内にもテレビ放送がもたらされたのです。名古屋テレビ塔に倣って建設されたようで、確かに高さや形状、大通りにある点はよく似ています。

東京タワーのように赤色をしていますが、鉄骨が細いためかあまり色が映えず、日本各地にその都市を象徴するようなタワーがそびえる現代においてやや貧弱に見えるかもしれません。
しかし、侮るなかれ。ライトアップされた姿を待ちましょう。

さっぽろテレビ塔はライトアップ姿に限ります

さっぽろテレビ塔はライトアップ姿に限ります
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さっぽろテレビ塔のライトアップは日没から閉店時間まで。塔全体がオレンジ色に光り、細い鉄骨が塔の印象を繊細で優美なものにしてくれています。この美しさは必見です。

ちなみに、さっぽろテレビ塔はオレンジ色のライトアップだけではなく、西側のみですがLEDによるイルミネーションも交互に行われます。イルミネーションはイベントに合わせて色彩を変えることもあります。

夜景鑑賞にも優れ、高さ約90メートルの展望台からは藻岩山、手稲山を背景に、大通公園を含めた札幌市街を360度望むことができます。

※ライトアップのスケジュールは関連メモ「さっぽろテレビ塔」よりご参照ください。

昔も今も大通公園は札幌に欠かせない場所です

大通公園が札幌の開拓・発展の歴史、歩み、輩出した人物などを伝えていることがお分かりいただけたでしょうか。明治4(1871)年、札幌開拓にあたり、北の官地と南の民地に区分し、大火に備えた火防線として計画・配置されてそのまま現在に至っています。

大通公園には、この他にも札幌市資料館の隣にあたる西12丁目にサンクガーデンと呼ばれるバラ園や、西10丁目には開拓使の長官を務めた黒田清隆と外国人技師たちをまとめ上げたホーレス・ケプロンの像が高くそびえるなど、各区画にみどころがあります。

また、さっぽろ雪まつり、YOSAKOIソーラン祭、さっぽろホワイトイルミネーションなど札幌を代表するイベントも大通公園に集中しており、大通公園は現在でもまぎれもない道都の座標軸なのです。札幌にお越しの際は、大通公園をじっくりと歩いてみてはいかがでしょうか。

掲載内容は執筆時点のものです。

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