外湯は下記の9箇所。
一番湯:初の湯
二番湯:笹の湯
三番湯:綿の湯
四番湯:竹の湯
五番湯:松の湯
六番湯:目洗いの湯
七番湯:七繰りの湯
八番湯:神明滝の湯
九番湯:大湯
外湯はすべてこんな風に男女別の入口が左右に配置された小さな建物になっている。写真は笹の湯。外観は九番の大湯を除いてどこも同じような造りで、青色ののぼりが目印になっている。
街の中に順番に建っているわけではないので、のんびり散歩しながら1箇所ずつ見つけては入浴していくのもよし、一番湯から順番に攻めてもよし。ただ、いずれにせよ、外湯では体や髪を洗うことはできない。あらかじめ、宿の風呂などで体をきれいにしておくといいだろう。
入ってみて分かったが、どの風呂も家族風呂くらいの大きさで、脱衣所は2〜3人しか入れないほどの狭さである。こんな広さだと、確かに宿泊客以外の日帰り客を無制限に受け入れるのはキャパ的に不可能だ。宿泊客にしか開放していない理由のひとつはこれだろうし、もとは湯治場、泊りがけでゆっくりしてくれる客にこそのんびり入ってもらいたいのだろう。
・・・いや、実は他にも理由があったのだ。
外湯の入口にはすべて鍵がかかっており、1つの鍵で開くようになっている。渋温泉の宿泊客は、宿でこの鍵を無料で借りることができる。なくさないように、大きな木製の手形札のようになっている。ちなみに「複製ができない」と札に書いてあるが、どんな複雑な鍵なのか(笑)
そんなわけで、9箇所すべての外湯に入れば苦労も一緒に流れるわけで、この「巡浴祈願手拭い」なるものに1つずつスタンプを押していくのである。スタンプは各外湯の外にあり、9箇所の外湯を「制覇」したのちに、「渋高薬師」という高台の神社に参拝する。そこで手拭いの中央に最後のスタンプを押せば、おめでとうございます!満願成就ですよ!という流れになるのだが…おっと、私は何を言いよどんでいるのか。
■巡浴祈願手拭いは宿や土産物屋で買える。一枚350円
ここが「渋高薬師」へ続く石階段。金具屋旅館の少し先にある。満願成就のため、手拭いを握りしめていざ!
…はいいのだが、慣れない宿屋の下駄でうっかり行こうものならこの石階段で大変な苦労をすることになる。段数が多い上に、かなり急なので、上りももちろん、下りで足を踏み外しそうになる。外湯でせっかく流した苦労を再び味わう羽目になる。薬師へ参拝する時にはぜひ靴で行くことをおすすめする。
熱い。とにかく熱い!!!
揶揄でも批判でもない。渋温泉の外湯は地元の人をして「熱いなんてもんじゃないよ」と言わしめる温度なのである。
渋温泉はとにかく源泉が豊富だ。溢れんばかりの湯を源泉からそのままザブザブと湯船に注いでいる。よって、当然ながら湯温調整はされておらず究極の源泉かけ流しと言ってよい。
旅館の風呂も全て源泉だが、これはタンクに貯めて湯温調整をしている。小さな外湯にそんな設備があるわけがなく、大量の加水を余儀なくされるのだ。温泉に加水するなんて…と思うなかれ。ここでは水で大量にうめないと、湯船に浸かるどころか湯船から溢れた湯が足にかかるだけで悲鳴があがるのだ。よってどこの外湯にも水の蛇口が付いており、加水して温度調整しろという張り紙が貼ってある。
普通、温泉などの共同浴場だと、誰もいない閑散とした時間帯を見計らい、一人でのんびり、という気持ちになるだろう。が、ここではそんな野望を持つのは危険だ。実際、筆者も同じ企みを持ち、宿泊客が出払った昼頃を狙って「湯を入れ替えたばかりの、ピッカピカの源泉かけ流し」に浸かろうとし、誰もいない浴室で声にならないうめき声をあげた。
外湯は、宿泊客が帰り、次のチェックインまでの昼頃に掃除と湯の入れ替えが行われる。地元の人も入浴するので、そういった先客がいた場合、すでに加水で適温になっていることもあるが、おおむね昼頃は危険時間帯である。
最も無難なのは夜。宿の客が夕食後に外湯に出かけ、地元の人も入りに来る時間帯である。入浴する人が多ければ多いほど、何らかの熱湯対策がされているので比較的「安全」である。それでも宿の客はあまりの熱さに水を入れることすら諦めてそそくさと出て行ってしまうが、地元の人は慣れたもので、きちんと加水してくれている。
先述の記事で、外湯を宿泊客にのみ開放している理由は他にもあると書いた。もし有料で日帰り客にも開放したとしても、下手をすると入浴料だけ払い、どこの湯にも熱くて入れないという客が続出するのではないか、というのが私の推測である。
次の記事では、そんな修行温泉の中で筆者おすすめの外湯を紹介する。
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(2025/1/13更新)
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