JR山手線駒込駅から歩くこと約10分。
有名な庭園「六義園」のほど近く、シンプルな佇まいの建物が「東洋文庫」です。
広々としたガラス張りのエントランスには、東洋文庫の文字と共に、アジアの様々な国の言葉で「ようこそ」の言葉が掲げられています。
ここ東洋文庫は、国宝5点・重要文化財7点を含む東洋学研究の貴重な文献約100万冊が収められている図書館。そして、アジア全域の歴史・文化について研究を行っている、国際的に有名な学術研究施設でもあるのです。
その門は広く一般に開かれ、蔵書の無料閲覧はもちろん、貴重書であっても事前予約を行えば閲覧できます。
今回ご紹介するのは、素晴らしい「ミュージアム」としての東洋文庫。歴史知識の有無に関わらず、誰でも気軽に楽しむことができます。「遊び」と「知」が結びついた新しい形のミュージアムへ、言語の扉に誘われて、足を踏み入れてみましょう。
東洋文庫ミュージアムのチケットは、ちょっぴり変わっています。
チケットカウンターでミュージアムの料金を払うと、小さなシールがもらえるのです。これを衣服やバッグなど、見えるところに貼っていれば、その日の内何度でも再入場ができるという訳。
デザインされているのは、東洋文庫の「東」の字と、二匹の向かい合ったカンガルー。えっ、どうしてカンガルー?
その謎は、ミュージアムの中に隠されています!
ペタリと貼って準備を整えたら、いざ、展示を見に行きましょう。
ミュージアムの基本情報
【休館日】毎週火曜日(ただし、火曜日が祝日の場合は開館し、水曜日が休館)
年末年始、その他、臨時に開館・休館
【入場料】一般900円、65歳以上800円、大学生700円、中・高校生600円、小学生290円
【開館時間】10:00〜19:00(入館は18:30まで)
順路に従って二階に昇ると、出迎えてくれるのがこの美しい書庫「モリソン書庫」。壁一面、三方を天井まで埋め尽くす美しい本、本、本、その数およそ2万4千冊!
間接照明の穏やかな光に照らされ、古びた書物のぎっしりと詰まった書架がそびえたつ様子は、まるで異世界に迷い込んだかのよう。
東洋文庫に収められている貴重なコレクションの中でも最も名高いのが、この「モリソンコレクション」です。オーストラリア出身のG.E.モリソン氏が北京駐在時に蒐集したこれら東洋に関する膨大な数の書物は、東洋文庫の創設者、岩崎久彌によって買い取られ、日本にやってきました。
ミュージアムの入館時にもらえるシールにカンガルーのイラストが使われている訳も、実はこのモリソンコレクションにあります。モリソン氏は、蔵書一冊一冊に「蔵書票」と呼ばれる整理用のカードを付けており、そこに描かれているのがカンガルーなのだとか。入館者一人一人が、モリソン氏の学究の志を受け継いだような気分になりますね。
一世紀の時を経て、現在のモリソン書庫は、東洋文庫ミュージアムの展示室であると同時に、学芸員たちが実際に書物の出し入れを行う様子も見ることができる、「生きた書庫」として蘇りました。
深く息を吸い込めば、長い時の流れと遥かな土地を旅してきた古書の香りが胸を満たし、遠い時代に思いを馳せる助けになってくれることでしょう。
メインのモリソン書庫を通り抜けても、東洋文庫ミュージアムにはもちろん見どころがいっぱい!凝らされた工夫の数々を、いくつかご紹介しましょう。
ここは、展示物を傷つけないため、照明が極限まで落とされた展示通路、「回顧の路」。
背筋を一瞬寒くさせるような演出が楽しめます。
展示を見るために歩いてゆく廊下は、所々がガラス張りになり、細い石の橋を残して遥か下へ下へと奈落が広がっているのです。照明に照らされてどこまでも深く落ちていく廊下の「裂け目」に、一瞬二の足を踏んでしまいそう。
これは、「クレバス・エフェクト」と呼ばれる仕掛けを用いたもので、実際の落差は10センチほどなのだとか。無限に続くような縦穴は、東洋文庫に収められた遥かな時代の展示物による時空の歪みを表現し、スリルに満ちた知的興奮を象徴しているのです。
時の迷路に迷い込んだような演出に、思わず胸が高鳴ります。
「人生学びに終わり無し、月日を無為に送るなかれ」。
深く心に沁みる、アジアの名言の数々と出会えるのが、こちらの「知恵の小径」。
ミュージアムと、併設されたレストラン「オリエント・カフェ」を繋ぐ屋根の付いた小さな道です。
黒いパネルから浮かび上がるような白い文字は、それぞれの名言の記されたアジア各地の多様な言語。うっすらと掘られた、専門家による和訳を頼りに、自分のお気に入りの格言を探しましょう。
ふと目に飛び込んできた先人の言葉が、あなたの人生を変えるかもしれません。
ここで紹介した東洋文庫ミュージアムの魅力は、ほんの一端。
頭を知的好奇心でいっぱいにした後は、小岩井農場と提携している「オリエント・カフェ」でお腹をいっぱいにするのもおすすめ。ミュージアムショップには、ちょっとユニークな、思わずお土産にしたくなるアイテムが並んでいます。
そして何より、
「新しいことを知るって、楽しい」「古い『本物』に触れるって、面白い」。
東洋文庫には、そんな気持ちを再発見させてくれる、様々な展示品と仕掛けが待っているのです。
この記事の関連MEMO
トラベルjpで250社の旅行をまとめて比較!
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索