みほとけ様と白鳳時代の旅へ!奈良国立博物館開館120年記念特別展「白鳳」

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みほとけ様と白鳳時代の旅へ!奈良国立博物館開館120年記念特別展「白鳳」

みほとけ様と白鳳時代の旅へ!奈良国立博物館開館120年記念特別展「白鳳」

更新日:2015/09/12 19:06

いずみ ゆかのプロフィール写真 いずみ ゆか ライター

明治の廃仏毀釈によって破壊・流失した文化財を守るため、仏教美術の専門館として生まれた奈良国立博物館は、平成27年で開館120年。その記念として、特別展「白鳳―花ひらく仏教美術―」が9月23日まで開催中です。長年にわたり構想を温めてきたという特別展で、国宝・重文を多数含む白鳳期の代表作約150件を一堂に会した空前の規模。かつて白鳳文化が花開いた奈良で、美しい白鳳仏と時を超えた旅をしてみませんか?

「白鳳」とは

「白鳳」とは

写真:いずみ ゆか

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7世紀後半から都が平城京に遷る710年までの時代を指す言葉として、美術史や考古学の世界で戦前から用いられてきた時代区分の一つである「白鳳」(※1)。

「白鳳」の定義や時代区分においては、研究者の間でも様々な論争がありますが、飛鳥とも天平とも異なる独自性を持った仏教文化が花開いた時代でした。天皇を中心とした律令国家が形成され、大陸や朝鮮半島の国々と交流が盛んに行われた影響もあり、造仏・造寺が爆発的に全国に広がりました。

本展の最大の魅力は、かつて白鳳文化の中心であった奈良の地で、全国に残る貴重な白鳳仏や白鳳寺院の考古遺物・美術工芸品を一挙に楽しむことが出来る点。
観覧後は、さながら白鳳時代にタイムスリップし、日本全国巡礼の旅をした様な気分が味わえます!

本展の中でも特に想像力を掻き立てられる「大安寺の釈迦如来像」と興福寺に現存する仏頭で有名な「山田寺」に関する展示は見逃せません。

平安時代の書物「七大寺日記」「七大寺巡礼私記」によると、大安寺の釈迦如来像は、白鳳期の傑作と名高い薬師寺金堂薬師三尊像に匹敵するほど優れていたのだとか。現存していたら、間違いなく国宝級のものでしょう。

山田寺は、乙巳の変(※2)の立役者のひとりで、のちに無実の罪で自死した蘇我山田石川麻呂が飛鳥に建立しました。白鳳仏の典型として名高い仏頭はもちろんのこと、出土したデザイン性の高い軒丸瓦は、白鳳時代ならではのもの(※3)。かの藤原道長は堂内の美しさを「奇偉荘厳」と称えたほどです。

どちらも現存していませんが、本展で多角的に白鳳美術を味わう事で、実際の壮麗さがどの様なものであったのか想像してみるのも楽しいのでは?

写真は、藤原鎌足の長男で、入唐僧の定恵によって請来した可能性があると言われる十一面観音菩薩立像(7世紀唐・東京国立博物館所蔵)。

(※1)国立博物館では通常、時代の表記に「白鳳時代」を用いず、政治史の時代区分「飛鳥時代後期」または「飛鳥時代(白鳳期)」と表記しているが、本展では「白鳳時代」を用いる事にしているとのこと
(※2)大化の改新の始まり
(※3)白鳳期の代表的な軒丸瓦に山田寺式と川原寺式がある

白鳳美術の魅力は金銅仏にあり!

白鳳美術の魅力は金銅仏にあり!

写真:いずみ ゆか

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飛鳥時代の寺院建立は、飛鳥やその周辺地域に限られていました。しかし白鳳時代、天武天皇が全国に仏を祀り経典を置くよう詔を出したことで、造仏・造寺が全国各地に広がったのです。飛鳥時代より金銅仏の数がはるかに多く、全国各地に所在するのは、仏教の広がりと共に白鳳美術が花開いていった証とも言えます。

また白鳳期の金銅仏は、大陸や朝鮮半島で制作されたと考えられるもの、日本に移り住んだ渡来人が制作したと考えられるもの、日本人が制作したと考えられるものと実に様々。白鳳美術の魅力は金銅仏にあり!と言っても過言ではありません。

写真は、重要文化財で東京・深大寺の釈迦如来倚像。若々しい容貌や口角を上げた朗らかな雰囲気があり、関東伝来の白鳳金銅仏の中でも特に優れた像と言われています。旧国宝の指定を受けながら昭和18年に盗難に遭い、現在も行方不明である奈良・新薬師寺の薬師如来立像(香薬師)と作風や表現が似ているのだそう。また、夢違観音の愛称で知られる国宝・法隆寺観音菩薩立像にも通じる所があります。
是非、展示されている三躯のみほとけ様(香薬師は模造)を見比べてみて下さい。

白鳳期を代表する薬師寺のここでしか見られない魅力

白鳳期を代表する薬師寺のここでしか見られない魅力

提供元:奈良国立博物館 奈良・薬師寺 ©飛鳥園

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薬師寺は、天武天皇が皇后(後の持統天皇)の病気平癒を祈願して建立を発願した白鳳期を代表する寺院。
710年の平城京遷都に伴い、現在の西の京へ移転しましたが、藤原京の本薬師寺より続く白鳳文化は受け継がれました。※

創建当時の姿を伝える国宝・薬師寺東塔の相輪檫銘(そうりんさつめい)には、天武天皇発願の由緒が記されており、今回なんと間近で見ることが可能。

また数ある白鳳金銅仏の中でも、屈指の名作と名高い国宝・薬師三尊像の右脇侍仏である月光菩薩立像※と国宝・聖観世音菩薩立像が出展し、通常では見ることが出来ない後姿も間近で拝観する事ができます。

実はあまり知られていませんが、薬師寺御本尊の両脇侍仏(日光・月光菩薩像)の頭飾や胸飾にはガラスが嵌められいたと推定されています。
御本尊台座や金堂の地下から発見された白鳳期の鉛ガラス円板の展示は、見逃しやすいのでご注意を。輝くガラス飾りをまとった金色の月光菩薩像(当初は鍍金されていた)を想像してみて下さい。当時の人々は得も言われぬ美しさに、さぞや驚いたことでしょう!
(写真は薬師寺の国宝・月光菩薩立像)

※建物や金堂の薬師三尊像等が藤原京の本薬師寺から移されたのか、平城京で新たに造られたのか研究者の間で意見が分かれている。

多様性の魅力!愛らしい白鳳の童形仏

多様性の魅力!愛らしい白鳳の童形仏

写真:いずみ ゆか

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白鳳期の金銅仏は、多様性に富んでいる点が魅力。大陸や朝鮮半島からもたらされてモデルになった仏像が多種多様であり、更に日本の独自様式に展開していった事から新・旧様々な様式がミックスされているためです。

また愛らしい子供のような童形仏や青年の様な姿が多く、個人的な礼拝仏として小金銅仏が多いのも特徴。
インド風な感じの仏様もいれば、頭だけが大きく躰はスリムな仏様、素朴でユーモラスな表情の仏様など一口に白鳳仏と言っても本当に様々です。

飛鳥美術だけでは無い、法隆寺の白鳳美術の魅力

飛鳥美術だけでは無い、法隆寺の白鳳美術の魅力

写真:いずみ ゆか

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世界遺産の法隆寺は飛鳥美術の宝庫として知られていますが、実は白鳳美術も大変豊富。中でも、白鳳様式の頂点の一つとも言われる国宝・観音菩薩立像(夢違観音)と国宝・伝橘夫人念持仏は、どちらも白鳳仏らしい少年の様な相貌や佇まいで必見です。

また、昭和24年に焼失した法隆寺金堂壁画※は、7世紀末〜8世紀初頭に制作されたと考えられ、インド風の菩薩像が描かれています。
見どころは、このインド風の造形が、展示内容から同時代の周辺寺院や朝鮮半島の美術品でもみられた事が分かり、7世紀〜8世紀の東アジア文化圏における国際様式の広まりを知る事が出来る点です。

※展示は金堂外陣旧壁画模写。焼失前に撮影した写真や、精巧な模写によって往時の描写と彩色を今に伝えている。

もっと白鳳時代を旅しよう!「白鳳スタンプラリー」で奈良を巡ろう!

他にも、白鳳寺院の堂内を飾った様々な美術工芸品や銅板を打ち出して作る押出仏・粘土で作る塑像・粘土で型抜きして焼成した塼仏(せんぶつ)など白鳳美術を幅広く楽しめる点が本展の魅力。
更に、藤原京造営や古墳が終焉を迎えた白鳳時代が具体的にどの様な時代だったのか考古出土品などを通じて総合的に知る事が出来る充実の内容です。
鑑賞後は、かなり白鳳時代に詳しくなっているはず!

もっと白鳳時代を満喫するために、特別展開催期間に合わせて行われている「白鳳スタンプラリー」にチャレンジしてみませんか?
「白鳳展」+白鳳時代にゆかりの深い「興福寺」「薬師寺」「法隆寺」の内2ヶ所を拝観して専門用紙にスタンプを押せば、記念品(非売品)と交換可能。

是非、特別展「白鳳」であなたの想像力を刺激し、白鳳時代にタイムスリップした気分で奈良を旅してみて下さい。

※本記事の写真は、取材で撮影したものです。一般観覧者は撮影禁止ですのでご注意下さい。本展の詳細は関連メモのリンクよりご確認下さい。

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/07/17 訪問

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