写真:野水 綾乃
地図を見る肘折温泉がある山形県大蔵村は「日本で最も美しい村」のひとつに選ばれたところ。山形新幹線新庄駅からは路線バスで約1時間の距離にあります。道中は昔懐かしい田園風景が広がり、温泉郷の入口では大きな「肘折こけし」のオブジェが迎えてくれます。
「カルデラ温泉館」は温泉街の中心部から徒歩で20分ほど離れた、黄金温泉と呼ばれるエリアにある日帰り温泉施設です。施設名の「カルデラ」とは、約1万年前の火山活動によってできたカルデラ盆地に温泉郷が広がることに由来しています。
写真:野水 綾乃
地図を見る外観で見た八角形の建物の部分が浴場棟になっています。男女別の大浴場は内湯だけのシンプルな造りで、窓のデザインなどにレトロモダンな雰囲気が漂います。
この内湯に注がれているのは、炭酸泉ではなく、黄金温泉を代表する源泉です。泉質はナトリウム‐塩化物・炭酸水素塩泉で、うっすらと緑がかって見えます。
写真:野水 綾乃
地図を見るそれでは炭酸泉はどこにあるのかというと、大浴場の一角に別の浴槽が設けられています。こちらの泉温は約8℃と非常に冷たいので、全身浴はムリ。手と足のみをつける部分浴で体験します。
最初つけた時は冷たくてジンジンとした痛みを感じますが、慣れるとやわらいでいきます。3分ぐらいで、つけていた部分が真っ赤に。炭酸泉に含まれる炭酸ガスが皮膚に刺激を与え、毛細血管を拡張させるので、冷たい温泉でも血行がよくなって肌が赤くなるのですね。
冷えてきたら温かいほうの浴槽へザブン。氷のように冷たくなっていた体がじわーっと溶けて、温められていく感覚。。。この「温」と「冷」の繰り返しが気持ちよく、体の芯から充分に温まるので、女性の多くがお悩みの冷え症の改善によさそうです。
写真:野水 綾乃
地図を見る男女別の浴場へ入る手前には、炭酸泉を柄杓ですくって飲むことができる飲泉所があります。口に含むと舌にシュワッとした刺激があり、甘みを付けていない、炭酸水を飲んでいるような味わいで美味しいです。飲泉をすると内臓の働きが活発になり、便秘にも効果があると言われています。フロントでペットボトルを購入すれば持ち帰りも可能です。
ふるさと山形を愛した明治の歌人・斎藤茂吉も、かつてこの地を訪れて、湧き出す炭酸泉を飲んでいます。子どものように驚き、喜んだ茂吉は、「泡だちて 湧きくる泉の 香を好しと 幾むすびしつ けふの日和に」と歌に詠んでいます。そのころカルデラ温泉館はありませんが、炭酸泉自体は古くからこの地で愛されているものなのです。
写真:野水 綾乃
地図を見る別棟になっている露天風呂は男女1時間ごとの入れ替え制。館内からはサンダルに履き替えて行きます。こちらは内湯と同じ、黄金温泉の源泉があふれています。入りたい人は公式ホームページで時間帯をチェックしてから出かけたほうがよいでしょう。
炭酸泉は大分県の長湯温泉や七里田温泉などが有名ですが、こちらのように約8℃のヒリヒリするような冷たさは、なかなか体験できるものではありません。温かい温泉もすぐそばで湧出しているので、温冷交互浴が楽しめるのもこちらの利点。入浴後もしばらくぽかぽか感が持続しますので、「冷え性」や血行不良による「むくみ」にお悩みの方はぜひ体験してみてください。
名物の朝市が毎日開催され(冬季以外)、レトロな湯治旅館が立ち並ぶ肘折温泉街の懐かしい風情も楽しみに訪れてください。
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この記事を書いたナビゲーター
野水 綾乃
温泉と旅をテーマに雑誌などで記事を書いているライターです。その土地のものがたりや空気感が伝わる文章を心がけています。現在は故郷の栃木を拠点にしていて、全国の温泉地を行き来する日々。栃木の温泉宿や魅力的…
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(2025/1/14更新)
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