写真:万葉 りえ
地図を見る高野山にはたくさんのお寺があるのですが、52ものお寺は宿坊として一般の人々が泊まれるようになっています。由緒ある寺院に泊まれば、写経をやってみたり、時代を経た建物や庭園を楽しむことができるでしょう。
また、楽しみなのが、肉や魚を使わないヘルシーな精進料理ではないでしょうか。しかし、時間があまり取れないので宿泊は無理だという方もいらっしゃいますよね。そんな場合は、昼食で精進料理をいただくことができるのです。昼食の精進料理といっても、個室でいただく二の膳・三の膳付きのボリュームがある豪華なものから、大広間でいただく手軽な形式のものまで色々あるんですよ。
高野山にはやきもちや生麩の菓子もあるし、奈良から和歌山県にかけての名物・柿の葉寿司などもぜひ味わっていただきたいところ。他の名物もあれこれ楽しめるように、お弁当箱の形におさめられた宿坊「赤松院」の精進料理をご紹介します。
写真:万葉 りえ
地図を見る高野山にはたくさんの見どころがあります。
弘法大師空海が今も修行を続けている御廟がある「奥の院」は、老杉がそびえたち武将から庶民まで約二十万基の墓や供養塔が立つ地域。強力なパワースポットと言われています。深い大木の森、そして宗教にかかわらず受け入れる大きな心は今も多くの人をひきつけてやみません。いつもたくさんの人々が有名武将の墓などを見ながら弘法大師の御廟に向かって歩いています。
奥の院の約2キロメートルの参道の入り口になるのが一の橋で、その一の橋に一番近い宿坊が赤松院(せきしょういん)になります。
こちらでは宿泊もできますが、昼食として精進料理をいただくことができるようになっているんです。もちろんお寺ですから、精進料理をいただく前には、本堂で法話をうかがったり、寺宝の仏像を見せていただいたりできます。
写真:万葉 りえ
地図を見る仏教では食事も修行の一つとして考えられていますが、ここはそんなにかたくるしくはありません。
料理が入れられた箱の中は季節の野菜の天ぷらや根菜の煮物など色どりが豊かで、日ごろあまり口にしない山菜なども並びます。どれも味付けは濃くなく、繊細な味を感じることができます。
やはり高野山に来たなら、名物であるごま豆腐は食べておきたいですよね。
高野山のごま豆腐は、ゴマの表皮をはずして白い中身だけをすりつぶし、吉野の葛(くず)で固めてつくります。ですからほかの地域のお寺のごま豆腐と比べると白い色をしています。きめ細やかで生のごま豆腐をいただく機会はそんなにないと思うので、よく味わってくださいね。コクがあるのに、わさびでいただくとさっぱりとした感もありますよ。
高野山は標高が860メートルを超えており、稲作ができない土地です。ですから藁(わら)も収穫できないため、神仏習合の時代は正月の注連縄(しめなわ)なども作ることができず、紙に描かれたもので代わりをしてきました。今でもそんな歴史をもった画が赤松院の部屋には飾られています。
現代はトラックなどで物資輸送は簡単になりましたが、ご飯をいただく時はそんな歴史もかみしめてみませんか。
写真:万葉 りえ
地図を見る車でつづら折りになった山道をあがってくると、または、ケーブルカーで急勾配を登ってくると、どうしてこんな峰々の奥に弘法大師は寺を開こうとしたのか不思議に思うかもしれません。
弘法大師は遣唐使として唐(中国)で仏教を学びます。いくつもの教義のなかで密教を深く学び、後継者と思われるほどになります。
大師は唐から帰国する際に、寺院を建てるためにふさわしい土地を求めて祈願をかけ「三鈷杵(密教の法具)」を東に向かって投げました。帰国後、その三鈷杵の行方を探すと、高野山の松にかかっていたといいます。
その松は、ほかの松と違い先が三本に分かれています。
そんないわれがあるのが、膳に添えられた「三鈷の松」。ぜひ記念に持ち帰りましょう。
奥の院だけでなく、高野山真言宗の総本山金剛峯寺や、朱色が鮮やかな根本大塔などがある壇上伽藍など高野山にはいくつもの見所があり、バスがつないでくれます。
そのバスが通る道沿いにたくさんの宿坊寺院があります。この記事では赤松院の昼の精進料理を紹介しましたが、料理の量や価格は宿坊によって様々なので、好みに合わせて選んでくださいね。また、宿坊ではありませんが、「千手院橋(西)」のバス停近くにある「中央食堂さんぼう」には精進料理をかわいらしく盛りあわせた定食もあります。
大阪・難波から南海電鉄の特急「こうや」を利用すれば、するっと高野山まで運んでくれます。また、各社のバスツアーも充実しています。
せっかくの高野山の旅。精進料理もぜひ味わってくださいね。
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(2024/3/18更新)
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