神秘の霊峰「立山」の全てを学び尽くす!富山「立山博物館」

神秘の霊峰「立山」の全てを学び尽くす!富山「立山博物館」

更新日:2016/07/18 12:57

井伊 たびをのプロフィール写真 井伊 たびを 社寺ナビゲーター、狛犬愛好家
富山県「立山博物館」は、立山の歴史と立山信仰、さらに、その舞台となった立山の自然を紹介している施設だ。展示館では、「立山」という山の成り立ちから学べ、教算坊では、かつての登山家の息使いや、深い信仰心まで蘇ってくる。また、山岳集古未来館では、芦峅寺の宗教文化を伝える文化財、近代登山文化の足跡を示す資料や文献が見どころ。閻魔堂を過ぎ、布橋を渡れば遙望館だ。「立山」を学ぶには、一押しのオススメ施設群だ。

「展示館」で、観入ってしまう「立山曼茶羅」

「展示館」で、観入ってしまう「立山曼茶羅」

写真:井伊 たびを

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「立山曼茶羅」は、立山信仰の世界感を大画面に描きだしたものだ。現在、県内外の各地から40点以上発見されている。

江戸時代、立山の衆徒らは、越中立山から遠く離れた地に住む人々や、登山を禁止されていた女性たちへ、この曼茶羅を用いて「絵解き」という方法で立山信仰をひろめ、立山の神仏との結縁や立山への参拝を勧めた。現存する「立山曼茶羅」のなかには礼拝画として用いられたものもある。

ところで、立山博物館の中心施設であるこちらの「展示館」には、「立山曼茶羅」の他にも「立山の自然、歴史、文化」に関する常設展示や企画展示を行っている。

「第一展示室」のテーマは、「立山信仰の舞台」で、立山の自然について、立山の成り立ちから紹介している。「第二展示室」のテーマは、「立山信仰の世界」で、立山の歴史や文化について詳しく紹介している。

およそ1時間かけてじっくり観覧すれば、神秘の霊峰「立山」の全てを学び尽くす!ことができる。

日本庭園から望む宿坊「教算坊」(旧・佐伯宗義邸)

日本庭園から望む宿坊「教算坊」(旧・佐伯宗義邸)

写真:井伊 たびを

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「展示館」に隣接する「教算坊」は、立山中宮寺にあった三十三宿坊のひとつで、参詣者登拝の拠点となった施設だ。ここでは、単なる宿泊だけでなく、宗教的儀式、さらには登拝案内なども行っていたとされる。

この建物は、文化文政(1820年前後)頃に建てられたとされ、「民家」「宿」「寺」の三つの機能を併せ持つのが大きな特徴だ。

池泉回遊式の日本庭園を、静かに歩みながら、歴史ある建物を望めば、霊峰「立山」をめざした当時の登拝者が、抱いたであろう心境を感じとれるだろう。

「山岳集古未来館」で、加賀藩主から寄進された神輿に感動!

「山岳集古未来館」で、加賀藩主から寄進された神輿に感動!

写真:井伊 たびを

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江戸時代に加賀藩主から、この地・芦峅寺に寄進された「神輿」の豪華さに感動!こちらは、必見の価値あり!だ。

ところで、こちらの「山岳集古未来館」は、平成25年(2013年)7月にオープンしたばかりの新しい施設だ。山岳文化に係わる資料を収蔵展示し、歴史的に形成された芦峅寺の山岳文化や明治以降の立山・黒部をはじめとする日本の登山史・登山文化を紹介している。

彼岸と此岸の架け橋「布橋」を望む

彼岸と此岸の架け橋「布橋」を望む

写真:井伊 たびを

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おんば堂川を境に東側を彼岸、西側を此岸とし、両岸を結ぶ架け橋として「天の浮橋(あまのうきはし)」とも呼ばれた「布橋」。江戸時代、芦峅寺中宮寺の最も重要な行事である「布橋灌頂会(ぬのばしかんじょうえ)」の際に、閻魔堂からうば堂まで白布を敷きつめ、目隠しした女性たちが僧侶に導かれ、この橋を渡ったとされる。

橋の規模については、長さ25間(25菩薩)、高さ13間(13光仏)、擬宝珠6個(6導世界)、橋板108枚(煩悩の数)など仏教にちなんだ数字が用いられている。

こちらの「布橋」は昭和45年に復元されたものだ。

「遙望館」と「うば堂基壇」

「遙望館」と「うば堂基壇」

写真:井伊 たびを

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「遙望館」は、立山博物館の中心施設のひとつだ。立山の自然、歴史や信仰、さらには立山曼茶羅の世界を、3面横15mの大型映像で紹介している。

「遙望館」の手前に広がるグリーンヤードは、「うば堂基壇」だ。かつて、69体のうば尊像が安置され、極楽往生をかなえるところだった。

おわりに

江戸時代には、立山は地獄と極楽の世界をこの世で体験できる山として、全国的な信仰を集めるようになった。そして、最盛期には一夏6,000人もの人々が登拝したという史実もある。

現在も多くの登山家から愛される「立山」を学び尽くせる「たてはく」(立山博物館)。登る前に訪れてよし!登り終えてから訪れてもまたよし!のオススメできる施設だ。

また、「立山博物館」の付帯施設として、レジャーランド「まんだら遊苑」が隣接地にある。立山に伝わる「立山曼茶羅の世界」を五感をテーマに立体で表現した、家族連れで楽しめる施設だ。是非、あわせて訪れてみたい!

さらに、展示館前の道路を立山方面へ、車で30分ほど走れば落差日本一の「称名滝」がある。足を伸ばしてみてはいかがだろう?

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/08/16 訪問

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