物件の所在地は島根県益田市。東西に長い島根県の最も西の端に位置しています。国道9号線を益田市街地から山口方面へ10分ほど走ると、進行方向左手に広い駐車帯を備えたドライブインが見えてきます。
飲料はもちろん、アイスクリームに栄養ドリンクにパンに菓子にと商品大充実の自動販売機が並び、煌々と照らされたちょっと怪しく無機質な空間です。長距離便のトラックが頻繁に行き交う風情と相まって、いかにも幹線国道沿いのドライブインといった雰囲気が誠に秀逸です。
さて、その自動販売機群の中でも特に異彩を放つのがレトロ感満点のうどん・ラーメンの自動販売機です。お金を入れてボタンを押せば、その場で調理してくれて熱々の美味しいうどん・ラーメンを食べることが出来ます。
まず、自販機そのもののデザインが素晴らしい!昭和の雰囲気がプンプン漂います。知らず知らずのうちにその妖しい魅力に惹きつけられて、いつの間にかうどんを食っている。そんな不思議な力を持つ自販機が3台も並んでいるのですから、その吸引力たるや相当なものです。
それではメニューのご紹介☆
・スタミナうどん(¥400)
・肉うどん(¥350)
・きつねうどん(¥300)
・肉そば(¥350)
・天ぷらうどん(¥350)
・ラーメン(¥350)
3台の自販機はそれぞれメニューが異なり、1台あたり2品なので合計6品。メインはうどんですが、そばやラーメンもあって品揃え豊富。
そんな中、一番人気は「スタミナうどん」(¥400)。
お金を入れてボタンを押すと、出来上がりまでのカウントダウンが始まり、約25秒たつと「お待たせしました」と言わんばかりに熱々の出来たてうどんが供されます。「スタミナうどん」は牛肉・ゆで卵・葱・蒲鉾・わかめ、そして海老天という豪華全部のせうどん。コシのないヨワヨワ麺に魚介系の透明な出汁で仕上げた薄味うどんはいわゆる博多系のうどんで、その中で甘辛く仕上げた濃い味付の牛肉の存在感が抜群です。そして、具材以外に美味さをさらに引き立てるある食材が隠し味として入っています。実際にうどんを食して確かめてみて下さい。
ドライブインを経営されている後藤商店のご主人のご厚意で、自販機の裏側を少しのぞかせてもらいました。
中身の補充は午前中と夕方の1日2回。うどんが敷かれ、その上に具材がセットされたプラスチックの容器が螺旋状になっていて、注文ボタンが押されれば出汁が注がれて供されるしくみになっています。
後藤商店さんは弁当・仕出し事業もやっておられ、その一環で自販機のうどん・ラーメンも麺以外はすべて手作りで仕込みをされています。ご主人からメニュー別の毎日の売り上げが書かれたノートを見せてもらいました。"企業秘密"ということで具体的な数字は言えませんが、かなりの食数が日々消費されているようです。やはり金曜と土曜の晩は特によく売れるそうで、またお盆や年末年始などは帰省客が食べに来る関係で通常の3倍近くのバカ売れ状態だそうです。
ところで、初めて食べに来られる方は、以下の点にご注意下さい。
【1】硬貨の返却不可!
返却レバーが壊れていて、間違って硬貨を投入しても戻ってきません。お札や旧500円硬貨も使用できません。ただ、お釣りはちゃんと出てきました。近くに両替機があるので、不安な方はそちらを利用しましょう。
【2】火傷に注意!
完成したうどんは出汁がなみなみと注がれているので、取り出すときには火傷しないように気をつけましょう。すぐ脇にイスとテーブルがあるので、出汁をこぼさないように慎重に運びましょう。
【3】傾斜に注意!
無事にテーブルに置けたからといって安心してはいけません。実はこのテーブルが若干傾斜していて、ほぼ100%出汁がこぼれます。置く前にチョイ飲みすることをお勧めします。
【4】臭いに注意!
ようやく落ち着いて食べられると安心していると、かすかに臭ってくることがあります。実は足元近くに側溝があって、排水の臭いがぷぅ〜んと臭ってくることがあります。それも含めてレトロ自販機クオリティということで、素直に受け入れましょう。
後藤商店さんがうどん・ラーメンのレトロ自販機を設置したのはおよそ35年前。長きに亘って休むことなく営業を続けてきましたが、実はこの先の余命はあまり長くはないようです。
メーカーによるアフターサービスや部品の生産は既に終了していて、在庫の部品が底をつけば、故障しても修理することが出来なくなるそうです。ご主人も「あと5〜6年かなぁ・・・」と仰っていました。
興味のある方は是非ともお早めに・・・。
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