まずは駅舎の紹介です。上白滝駅のそれは、秘境駅にふさわしい木造駅舎。しかも駅舎を構成する木造はとても古びたもので、一般受けしそうな見栄えの良さはありません。
ドラマのロケで使われ観光地化した駅などでは、木造でも立派だったり、ノスタルジックでも新築感があったりしますが、上白滝駅はそういったものとは無縁です。
壁にある木材の表面が剥がれたり、ペンキが流れ落ちていたりなど、これまで重ねてきた年月がそのまま感じられます。こういった駅舎を見られるのが、秘境駅の魅力と言えるでしょう。
この駅から感じられる素朴さは、鉄道ファンなら充分楽しむ価値があります。2016年3月に廃止となるのが、なんとも惜しい秘境駅です。
上白滝駅において、1日に停車する列車の数はほんの僅か。上下線それぞれで、なんとたったの1本のみ。それ以外の列車は、すべて通過してしまいます。
網走方面(下り) は7時台に1本、旭川方面(上り)は17時台に1本となっています。そのため、列車のみでこの駅に訪れる際には、著しく移動に困難が伴います。
一度降りてしまったら、上白滝駅で次の列車に乗るためには、多大な時間が必要です。網走方面(下り)の列車で降りた場合は半日、旭川方面(上り)の場合は夜が明けるのを待たなければいけません。
この過酷なダイヤでも乗ろうと考えるのは、数少ない地元利用者の方か、あるいは秘境駅好きの鉄道ファンくらい。大多数の旅行者にとって、乗り降りすることがまずない駅と言えます。
しかし、そんな不便な駅だからこそ、ある種のロマンがあるのではないでしょうか?
駅のプラットホームと言えば、舗装されて足場の安定した場所をイメージすると思います。しかし、この上白滝駅のホームを目にすると、そのイメージが打ち壊されることでしょう。
足場はなんと砂利になっており、さらにはそこに雑草がたくさん生えています。駅という人工物に自然が侵食しているかのようで、その景観から整備されている印象を持つのは至難の業。人々の利用頻度が高い都会の駅では、まず見られない光景です。
ローカル線にある田舎の駅や秘境駅では、よく板張りのホームを目にしますが、砂利で出来たり雑草が生えたりしているホームも目にします。こういったホームにも、また違った趣があります。
このホームがその役割を果たすのは、1日にたったの2回のみ。それ以外において、列車は駅の存在がないかのように通過していきます。このホームに立っていたら、思わず忘れ去られた場所にいる錯覚を覚えてしまうかもしれません。
列車がほとんど停まらない、上白滝駅のホーム。この場所にて、時間の流れを忘れて過ごしてみましょう。
鉄路の向こう側やホーム対面には、地形は緩やかであるものの山が続いており、人工物はほとんど見られません。都市部では絶対に味わえない空気を満喫できます。
山の中にある駅とは言っても、駅のすぐ近くに山の斜面が迫っているという感じではありません。どちかというと、山間にあるなだらかな地形です。そのため、山岳による圧倒感などはありませんが、北海道特有ののどかな雰囲気がそこにあります。
さて、上白滝駅は秘境駅ですが、それでも駅前には民家が少しあります。駅前広場の向こう側には国道333号線(遠軽国道)が見えており、そういう意味では抜群の秘境感とは言いがたいでしょう。
とは言え、山間にある小さな集落とあって、基本的に人通りはほとんどありません。車通りに関しても、現在は旭川紋別自動車道があることから、そちらに流れています。そのため、国道333号線における車通りは、極端に少ない状態です。鉄道だけでなく、車とも縁が遠い駅になっております。
まさに喧騒とは無縁の駅。そういう面でも、上白滝駅はやはり秘境駅らしいと言えます。
1日に上下線それぞれ1本だけという、極端に停車本数が少ない上白滝駅。古びた木造駅舎や雑草が生えたホームなど、その在り方は秘境駅に相応しいものと言えます。
上白滝に列車のみで訪れたいなら、下り方面で隣の「白滝駅」を活用してみてください。こちらの1日における停車本数は、網走方面(下り)が7本、旭川方面(上り)が4本となっていますので、鉄道によるアクセスの自由度が段違いです。
上白滝駅〜白滝駅の徒歩での所要時間はおよそ40分。若干離れているものの、歩くのに支障がある距離ではありません。山の中の風景を楽しみながら、上白滝駅に向かって歩いてみるのもいいでしょう。
もっともアクセスの自由度が高いのは、やはり車です。旭川紋別自動車道で「白滝インターチェンジ」または「奥白滝インターチェンジ」まで行き、そこから国道333号線に入って上白滝駅へ車を走らせてください。
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(2023/11/28更新)
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