写真:ろぼたん
地図を見るネロが見たかったルーベンスの絵がある「アントワープ聖母大聖堂」のすぐ目の前に、地元の人が腰掛けるベンチ…。多くの人が一休みしているこのベンチの正体は、美しい大聖堂が映りこむ黒く光る大きな石。なんとそれは『フランダースの犬』の記念碑なんです!
ここにはこう書かれています。
「フランダースの犬 この物語は悲しみの奥底から見出す事の出来る本当の希望と友情であり、永遠に語り継がれる私達の宝物なのです」
・・・何故日本語?何故ベンチに?語り継がれている雰囲気は皆無。地元民の休憩スペースではありそうですが、宝物のようには見えません。実はコレ、日本のTOYOTAから寄贈されたもの。現地では長らくこの物語は知られておらず、日本人観光客からの問い合わせが増えたことで、初めてこの物語が注目された程度。だからでしょうか。この石碑に描かれているネロとパトラッシュの姿、日本語の文章は、これでもアントワープ内で出会うものとして神レベル。お土産屋さんなどを覗けば、微妙どころかだいぶイメージとは違うネロとパトラッシュと残念な日本語に出会えることでしょう。どうせならもう少し、アニメか物語を読んでから作って欲しかった…そんな切なく寂しい気持ちが漂うネロとパトラッシュが、街のあちこちに潜んでいます…。むしろこの違いが面白くてツボにはまっちゃうかもしれないですよ。
写真:ろぼたん
地図を見る『フランダースの犬』の世界観とはだいぶ違うネロやパトラッシュとの出会いや、商魂たくましいお土産品などで憧れとのギャップに面食らうかもしれませんが、安心してください。
ネロとパトラッシュが天に召されるシーンで有名な「アントワープ大聖堂」の中にはしっかりと世界観が!!
アニメ『フランダースの犬』の最終回。ルーベンス作の「キリスト降架」の前で横たわるネロたちを、天使たちがお迎えにくる姿が印象的ですよね。そのときのモチーフとなっている絵画がこの祭壇奥にある「聖母被昇天(せいぼひしょうてん)」です。祭壇の見事な細工、色とりどりのステンドグラス、明るく美しい大聖堂、そしてルーベンスの大作。そうです!ここには、ネロがずっと見たがっていたルーベンスの絵画をはじめとした本物のアントワープの『美』があります。
ネロは毎日のように、「聖母被昇天」の絵に描かれたマリア様を見に来ていました。天使たちに囲まれた聖母マリアの顔に、幼くして亡くした母親の顔を重ね合わせていたと物語では語られています。ネロの気持ちを想像したり、この見事な大聖堂を作ったアントワープの人々の技をじっくり鑑賞したりしながら自分なりの『フランダースの犬』の世界観に浸りましょう。
写真:ろぼたん
地図を見る日本で巨匠といえば堺正章さんですが、アントワープの巨匠といえばルーベンス。ネロの憧れの存在でもあるルーベンスは、アントワープを訪れるなら注目しておきたいところです。中央駅から地下鉄で旧市街へと来た場合、最寄のグルーンプラッツ駅で降りると大きなフルン広場に出ます。そこには画家ルーベンスの銅像、そしてその向こうに「アントワープ大聖堂」が。
ルーベンスはこのアントワープで邸宅兼アトリエを構え、2000点を超える作品を生み出しました。イタリアから帰国後、没するまで29年間過ごした邸宅は復元され、中央駅から徒歩15分ほどの場所にあります。現在は市立美術館として公開されており、当時の様子を偲ぶことができますよ。
写真:ろぼたん
地図を見る大聖堂の脇には、旧市街の中心グローテマルクトという広場があり、アントワープの名前の由来となったブラボーの噴水や16世紀半ばに建てられた市庁舎、広場を取り囲むギルドハウスが立ち並んでいます。この辺りの旧市街地は、商業や金融の中心地として繁栄したことを今に伝える見応えのある街並みが広がっています。
また、現在はその面影はないものの「MELK MARKT(ミルク市場)」というプレートのある通りもありますので、ミルク売りにアントワープへ来ていたネロを想像しながら歩いたり、レトロな市内観光バスや馬車などの乗り物でゆっくり街並みを散策するのも楽しいですよ。
写真:ろぼたん
地図を見る最後に、ベルギーグルメの中からフリッツと呼ばれているフライドポテトをご紹介しましょう。実はベルギーが発祥の地であるため、ベルギーの街角ではワッフルと並んで、数多くのスタンド(フライドポテト専門店)が立つほど人気のB級グルメです!
現地で食べるならお店特製ソースをたっぷりとかけてもらって、揚げたてアツアツのものをいただくのがオススメ!通りのベンチに腰掛けて(記念碑に座っちゃうのもあり!)、または片手にもって食べ歩き!特製ソースは少ないお店でも10種類程度、お店によっては何十種類も用意しているところもあるほどです。ポテトは二度揚げをするお店が多く、表面はパリッ、中はホクホク。お店によって使用する油やソースの違いがあるため、味わいも違いますよ。
ボリュームがあるので1つでお腹がいっぱいになるかもしれませんが、何度かチャレンジしたいグルメです!
『フランダースの犬』の物語が最も愛されている国は実は日本。ハッピーエンドではないこの物語の切ない結末に、最も共感できるのが日本人なんです。文化の違いを発見し、日本人であることを強く認識できるのも旅の面白さ。
日本人ならもうちょっと上手に売り出すのに…。本当のネロやパトラッシュはむしろこういう顔つき…?今まで思いつかなかった視点で物事を見る楽しさに出会えるアントワープ街歩き。『フランダースの犬』に関する現地での間違い探しもまた面白いでしょう。美しい建築物や本物の絵画、美味しいグルメ・・・、後悔しないだけの魅力が詰まったアントワープをたっぷり味わってくださいね。
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この記事を書いたナビゲーター
ろぼたん
身近な美味しいグルメから異国の絶景まで魅力がつきない旅の目的やスタイルは様々。平日のOLは、週末や連休、前後に有給休暇をプラスした週末の旅人に。限られた時間をやりくりしてココロと身体をハッピーにする夫…
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