京都「長楽寺」は最澄、頼山陽、“平家物語”ゆかりの寺院

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京都「長楽寺」は最澄、頼山陽、“平家物語”ゆかりの寺院

京都「長楽寺」は最澄、頼山陽、“平家物語”ゆかりの寺院

更新日:2017/11/10 13:11

KISHI Satoruのプロフィール写真 KISHI Satoru 岬の狩人、伝記研究者、旅するパンクス

京都東山にある「長楽寺」は弘法大師・空海と共に遣唐使として唐に渡った伝教大師・最澄が創建した寺院。“時雨を厭う唐傘の濡れてもみじの長楽寺”と歴史家・文人の頼山陽(らい さんよう)が愛し詠い、遺言によりその墓もあります。
『平家物語』のヒロインである建礼門院ゆかりの御遺宝も保存され、歌人、俳人、画家など多くの人々が愛した景勝地としても有名な歴史と伝統のある京都「長楽寺」を御紹介致します。

伝教大師・最澄の創建「長楽寺」

伝教大師・最澄の創建「長楽寺」

写真:KISHI Satoru

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京都東山、円山公園の程近くにある「長楽寺」は、805年(延暦24年)に桓武天皇の勅命によって伝教大師・最澄を開基として創建されました。当初は天台宗の寺院でしたが国阿(こくあ)上人の室町時代初期に時宗に改められました。
本尊に安産・子宝の信仰もある准胝(じゅんてい)観音像を祀り、洛陽三十三観音霊場の第七番札所でもあります。

平安時代末期に成立した説話集『今昔物語集』には絵師・巨勢広高(こせのひろたか)がこちらの「長楽寺」で地獄変相の壁画を描いたことが明記されています。古くは祇園や清水と並んで花の名所と謳われ、多くの文人や画家が訪れた場所でもあります。

「平安の滝」と名水「八功徳水」

「平安の滝」と名水「八功徳水」

写真:KISHI Satoru

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「平安の滝」は法然上人の高弟である隆寛律師や、髪を剃り落とし仏門に入るという御落飾を「長楽寺」でなされた平清盛の娘であり、安徳天皇の生母である建礼門院が修行をされた場所。石組みの中には弁才天像などの八体の石の仏様と両側周辺には無数の石の仏様が祀られています。

滝の水は奥院から山の地下水が流れ落ち、甘く、冷たく、軟らかく、軽く、清らか(清浄)、無臭、喉を損なわず(飲時不損喉)、腹を傷めない(飲已不傷腹)といった八つの優れた性質を持つ「八功徳水」と呼ばれる名水です。

京都市指定有形文化財の「長楽寺本堂」の構造

京都市指定有形文化財の「長楽寺本堂」の構造

写真:KISHI Satoru

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現在の本堂は、1666年(寛文6年)に造営された正伝寺仏殿を1890年(明治23年)に移築したものです。家屋の中心部分である身舎(もや)は、桁側の長さ・桁行(けたゆき)が三間、梁側の長さ・梁行(はりゆき)が三間の建物。

四方の一周に裳階(もこし)と呼ばれる庇状の構造が付く禅宗様の仏殿になっています。この本堂は建築年代が明確で、京都市内では数少ない本格的な小規模禅宗様仏殿であり、過去の建築様式を残した貴重な建造物とされています。

 ※ 1間=約1.8メートル

歴史家・文人の頼山陽の墓。徳川慶喜ゆかりの「尊攘苑」

歴史家・文人の頼山陽の墓。徳川慶喜ゆかりの「尊攘苑」

写真:KISHI Satoru

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鬱蒼と茂った樹々や植物の中、石段を登って行くと墓地があり、「外史橋」と名付けられた橋を渡ると江戸時代後期の歴史家・文人で、源氏・平氏の争いから徳川氏までの武家の盛衰をまとめた全22巻の『日本外史』を著した頼山陽やその子供で儒学者・頼三樹三郎(らい みきさぶろう)を始め、多くの儒学者や画家、歌人、俳人の墓があります。
右手の階段を登っていくと徳川慶喜に仕えた水戸藩士・原市之進、三輪友右衛門や水戸藩家老・大場一真斎などの墓所「尊攘苑」があります。

庭園・四季折々の花々の「長楽寺」と宿坊「遊行庵」

庭園・四季折々の花々の「長楽寺」と宿坊「遊行庵」

写真:KISHI Satoru

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境内には銀閣寺の庭を作る際、その手始めの試作として相阿弥によって作られたと伝わる庭園「園池」があります。その他に、梅、椿、沈丁花、桜、紫陽花、百日紅、秋海棠、山茶花といった四季折々に咲く花々も楽しむことが出来ます。

円山公園の東方の奥、緩い傾斜の坂道の上にあり、静寂さが漂う「長楽寺」からは京都市内を望めます。またこの参道を戻り、東大路通に面した八坂神社の前には、長楽寺が運営する宿坊「遊行庵」もあるので宿泊にも便利です。

京都府京都市東山区「長楽寺」のまとめ

京都東山にある「長楽寺」は、鎌倉時代に成立した軍記物語『平家物語』、室町時代に成立した説話集『今昔物語集』などの古典に数多く記されている歴史と伝統のある寺院。こちらで修行した西行法師の『山家集』には、“よもすがら をしげなくふく嵐かな わざと時雨の染むる紅葉を”と詠まれるなど、自然の景観の美しさも古来より多くの人々に愛されてきたのです。

下部の関連MEMOにはその他の京都の観光スポット記事へのリンクもありますので宜しければ御確認下さい。賑わう祇園町から少し入った森閑とした「長楽寺」を訪れて、1200年以上に亘って受け継がれた歴史の一端を覗いてみてはいかがでしょうか。

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/08/05 訪問

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