写真:沢木 慎太郎
地図を見るいま、タイ人女性の間で、アユタヤ遺跡巡りが大ブーム。2018年にタイで放送され、多くのタイ国民が熱中したテレビドラマ『ブッペーサンニワート(Love Destiny〜愛の運命〜)」のロケ地がアユタヤということで、聖地巡礼の旅に出かけるタイ人女性が増えています。
このドラマは、現代に生きるタイ人女性がアユタヤで交通事故に遭い、生死をさまよっている時に、アユタヤ王朝時代の君主の娘の幽霊に導かれ、17世紀に生きる彼女への身体へとタイムスリップする話し。
確かにアユタヤ遺跡はライトアップが終わると、あたりは真っ暗。王朝時代の君主の娘が幽霊となって出てきても、なんとなくうなずける気もします。
写真:沢木 慎太郎
地図を見るアユタヤ遺跡で、実際に心霊スポットのような噂が流れた廃墟寺院が「ワット・ラチャブラナ遺跡(Wat Rajaburana)」。1424年に建てられた寺院で、創設者はアユタヤ王朝の8代王、ボーロマラーチャーティラート2世。王位継承争いで倒れた、2人の兄を火葬した場所に建てられました。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る「ワット・ラチャブラナ」の場所は、“木の根で覆われた仏頭”で知られる寺院「ワット・マハタート(Wat Mahathat)」のすぐ近く。ふたつの寺院は、道路をひとつ隔てた場所にそれぞれ建っています。
「ワット・マハタート」は多くの観光客で混雑していますが、「ワット・ラチャブラナ」は比較的に観光客の姿は少なく、ひっそりと静か。アユタヤ観光の中心地にありながら、廃墟の静寂さが感じられる穴場の寺院です。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る写真が、「ワット・ラチャブラナ遺跡」の入り口。大きなレンガ造りの壁が建ち、真ん中の扉跡から、奥にある大仏塔の姿が見えます。迫力が感じられる遺跡は、インスタ映えスポット。
写真:沢木 慎太郎
地図を見るさきほどの扉を抜けると、ご覧のような風景が広がっています。まさしく廃墟。天井が崩れ、建物の外壁跡が残っています。ここは「礼拝堂」(ウィハーン)だった場所。
1351年から約400年間にわたって繁栄したアユタヤ王朝。ビルマ(現ミャンマー)軍の侵攻で1767年に破壊されました。戦争で廃墟となった巨大な建物が、当時のまま残されていることに驚かされます。
写真:沢木 慎太郎
地図を見るこちらは、礼拝堂を斜めから見た写真。奥行きがあり、ずいぶん大きな建物であることが分ります。朽ちかけているものの、しっかりと今も建ち続けている姿に、アユタヤ王朝の栄華が偲ばれます。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る礼拝堂の後ろにある建物が、こちらの大仏塔。巨大戦艦の艦橋のように威風堂々としています。
写真:沢木 慎太郎
地図を見るこちらは、大仏塔に近づいて見あげた写真。先端が丸みを帯びた、トウモロコシ型の仏塔であることが分ります。
このようなデザインの仏塔は、タイでは“プラーン”と呼ばれ、カンボジアのクメール(アンコール)王朝に起源を持つ建築様式(クメール様式)となっています。アンコール・ワット遺跡に見られるデザイン。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る大仏塔は修復が進められ、壁面に埋め込まれた仏像の優美な姿も見ることができます。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る大仏塔の中段までは登ることができ、「ワット・ラチャブラナ遺跡」を見下ろすことができます。写真は、礼拝堂跡。奥に見える長細い扉から、写真手前にある大仏塔を眺めていたことになります。
アユタヤ王朝は1351年、ウートン王によって建都。1767年に滅亡するまで約400年にわたり、33代の王がアユタヤ王国の歴史を築きました。約250年前の戦争で廃墟となったアユタヤ遺跡。壊れた建物だけではなく、首を切られた仏像も数多く並んでいます。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る悲劇は戦争だけでなく、アユタヤ王朝の王位継承争いにも見られます。
アユタヤ王朝は内陸にありながらも水運に恵まれていたため、中国やペルシャ、ヨーロッパとの交流も深く、当時流行っていたクメール文化を取り入れながら独自の華やかな文化を開花させました。
アユタヤ王朝の莫大な富と権力を手にするため、王位継承争いも激しく、8代目の王位を巡っては兄弟が対立。ゾウに乗って戦い、争った二人は相討ちで命を落としました。
写真:沢木 慎太郎
地図を見るアユタヤ王朝8代目の王となったのは、ボーロマラーチャーティラート2世(チャオ・サーム・プラヤー)。二人の兄が王位継承争いで相討ちし、弟が王位に就くことに。亡くなった二人の兄を火葬し、その場所に慰霊の塔として建てた寺院が「ワット・ラチャブラナ寺院」です。
しかし、「最初にこの寺を訪れた王は死ぬ」という噂が流れ、アユタヤ王朝の歴代王たちが誰ひとり訪れることはありませんでした。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る仏教徒の多いタイでは、「生まれ変わり」「幽霊」「霊魂」「心霊現象」を信じる人が多く、仏教とは別に土着の精霊信仰も深く根付いています。
精霊は「ピー」と呼ばれ、守護霊と悪霊の2種類があり、精霊を祀る祠が数多く見られます。信仰をおろそかにすると災いをもたらすと信じられています。
アユタヤ王朝の歴代王たちは、王位を巡って討ち死にした魂が悪霊となり、自分たちに憑りつくことを恐れたのでしょう。
写真:沢木 慎太郎
地図を見るアユタヤの歴代王たちが恐れた「ワット・ラチャブラナ寺院」。しかし、芸術的に価値のある、多くの美術品が見つかっています。大仏塔の地下には聖堂が置かれ、クメール様式やスコータイ様式(タイ古典期の様式)の影響を受けた仏像が発見されています。
以前は、大仏塔の中段から地下へと降りることができ、アユタヤ初期に描かれたフレスコ画を見ることができました。しかし、今は遺跡保護のため、大仏塔の中段にある入り口(写真中央)は封鎖されています。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る「最初にこの寺を訪れた王は死ぬ」という噂が流れた「ワット・ラチャブラナ寺院」。悪い噂の寺院は1958年に修復工事が行われ、王位継承で亡くなった二人の兄のために埋葬された宝物類が発見されました。
亡くなった二人の兄を偲んで、弟のボーロマラーチャーティラート2世が未来に残した埋葬物。現在は、チャオ・サン・プラヤー国立博物館に展示され、“アユタヤの宝”として世界中の観光客を魅了し続けています。
なお、アユタヤへの行き方や、おすすめのアユタヤ遺跡、バンコクからの日帰り・半日モデルコースなどについては別途、記事にまとめていますので、ご興味のある方は関連MEMOに貼り付けたリンクからのぞいてみて下さい。
住所:Pratuchai Phra Nakhon Si Ayutthaya, 13000
アクセス:アユタヤのバスターミナルからタクシーで約5分
拝観時間:8時〜18時、ライトアップ19時〜21時
拝観料:50バーツ(「ワット・ラチャブラナ」「ワット・マハタート」「ワット・プラ・ラーム」「ワット・プラ・シーサンペット」「ワット・チャイワタナラーム」「ワット・マヘーヨン」の6遺跡共通割引券220バーツあり)
2019年3月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/10/15更新)
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