今回紹介するのは長野県大町市にある「大町ダム」。黒部立山アルペンルートの長野県側の起点、扇沢の麓にあります。
一見普通にあるダムの管理事務所は観光施設ではないように見えます。しかし事務所の一角には「大町ダム情報館」と大きく記されており、観光施設として一般に開放されています。大町ダム情報館では大町ダムについてパネルや展示でいろいろと学ぶことができます。
そして目玉はダム内部の見学。情報館の中にインターホンがあり、ここから見学を申し込みます。予約は不要、対応できる職員がいれば随時案内してもらえます。ダムの職員同伴の案内になりますが、比較的セキュリティレベルが高い区画も見学することが可能です。普段絶対に見られない場所を、予約なし、無料で案内してくれるのはかなりポイントが高いですね。
ダム内部見学は、ダムの上を歩きダム中央部にある建屋を目指します。その途中、ダム湖の向こうには野口五郎岳をはじめとする北アルプスの雄大な山々を望むことができます。
ダム湖は「龍神湖」という名をつけられています。ダムの湖畔には龍に乗った子供の像が。ここはアニメ『まんが日本昔ばなし』のオープニングの題材、「泉の小太郎」の伝説がある地なのです。当然、ダム湖は人造湖なので伝説の舞台そのものではありませんが、遠くに北アルプスの美しい山脈を望む美しい湖には伝説の龍が眠っているように思えます。こういった昔話やその他ダムの施設の紹介を、歩きながらダム職員の方にして頂けるのでとても楽しめます。
ダム建屋に入り、係の方がエレベーターのセキュリティを解除すると、エレベーターが起動。ついにダムの中への探検開始です。
分厚いコンクリートに覆われたダムの内部はとてもひんやり。まるで冷蔵庫の中にいるみたいです。夏場は寒く感じるので上着があるといいでしょう。ダムの内部は無機質なコンクリートの通路が迷路のように続いています。まるで秘密基地の中にいるようで何となくわくわく。機能性重視した武骨で無駄のない空間には、ある意味洗練された美しさを感じます。「工場萌え」という言葉を最近聞きますが、確かに萌えそうになる場所です。
コンクリートの冷たい通路を進み、地の底に向かうような長い階段を下り切った先の、鉄の扉を開けます。すると冷たい冷気を押し寄せて、暖かく有機質な香りに満ちた外気がまぶしい光とともに扉からあふれ出してきます。
案内された先は、なんとダムの真下。ダムが放水した時、水か落ちてくる場所です。ここからは大町ダムを真上に見上げることができます。その巨大な建造物の迫力にはただ驚くばかり。ダムの本体に取り付いて真上を見上げるなんてまず見られない風景で、見応え満点です。
案内していただいた施設の中でも見所がゲート操作室。放水時に開けるダムゲートの操作室は無機質な空間に巨大な機械が配されています。通常はダム事務所の管制室からゲートの開閉を操作しますが、万が一電源を喪失した場合などは、巨大な機械の油圧等を直接操作してダムゲートを開閉します。
普段は絶対に見られない高セキュリティな部屋。そんな部屋からさらに階段が無造作に地下に続いています。さすがにそこは入れないと思いきや、職員の方は案内可能とおっしゃられます。その先にあるのは、なんとダムの吐き出し口のゲートそのもの!
これはダムの中部に設置された2門の「コンジットゲート」のひとつ。大雨の時などはこのゲートを開き、ここからダムの水を放水します。ダムの核心部といえる施設をこれだけ間近に見れる機会はなかなかありません。社会見学としても一級の価値がある内容充実のダム見学です。
大町ダム内部の見学は国土交通省の職員が業務中に対応して下さるので、火曜日から金曜日(祝日をのぞく)、9時〜11時30分、13時〜16時の時間帯で可能です。ただし、業務多忙の際は案内不可となるので予めご承知ください。
平日のみのダム見学ですが、時間があれば必見の内容です。黒部立山アルペンルートの観光前後や、雨天時の予備プランとしてもおすすめです。また、ダムの周りにも散策路や展望所があり、ダムに流れ込む沢では水遊びも可能です。人間の英知と大自然、どちらも楽しめる穴場な観光スポット、平日に時間がとれたならぜひゆっくりと楽しんでみてください。
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