写真:和山 光一
地図を見る国道20号(勝沼バイパス)の奥まった見つけにくいところにあるのが、スタッコ風白壁に大きくRと記された建物が目印、明治23年(1890)に創業した「丸藤葡萄酒工業」です。土蔵風のつくりにワイン樽風プランターという、和・洋を融合したようなスタイルは、このワイナリーの歴史を物語っているようです。
ブランド名の「ルバイヤート」はかつてのペルシャ詩人たちが詠んだ四行詩にちなんだもので、詩人の日夏耿之介が、大村家のワインに夢を託して命名されました。「酒を飲め、これぞ永遠の生命なり、いまこの時を愉しめよ、これぞ真の人生なり。」まさに明治のロマンが香り立つ命名です。
写真:和山 光一
地図を見る以前はワイナリーを入ってすぐの場所にある売店に重厚なカウンターがあり、大村社長自ら気さくにテイスティングを勧めていただけましたが、2017年3月にワイナリー正面左手奥に歴史ある大村家の古民家を再生した新社屋およびテイスティングルームが完成しました。まるで明治時代の学校のような立派な建物の中は、二階まで吹き抜けになった開放的な空間になっていて、黒く太い梁が印象的です。
写真:和山 光一
地図を見る広々とした店内のカウンターでは、スタッフの丁寧な説明を聞きながら有料・無料の試飲をしてからワインを購入することができます。こちらで醸すワインは、気取らずに飲めるお手頃価格から、じっくり味わいたいプレミアムものまでさまざまなタイプがあります。
基本は食事に合わせられる辛口ということで甲州種にこだわりがあり、オススメは「ルバイヤート甲州シュール・リー」です。勝沼産甲州100%使用でつくる、すっきりとしていて、しっかりとしたボディの辛口白ワインです。甲州らしい爽やかな柑橘系の香りが特徴で、和食にも合わせやすいワインです。
写真:和山 光一
地図を見る旧甲州街道の往来を思い起こさせる「勝沼醸造」の建物は、和風の佇まいを生かしたシックな印象を受けます。創業は昭和12(1937)年、今では甲州を使った白ワイン作りに特化し、甲州種を使って世界で勝負するというこだわりの会社です。特に2004年に立ち上げたブランド「アルガブランカ」は、ポルトガル語で「有賀の白」を意味し、甲州を使った同社のフラッグシップブランドになっています。
写真:和山 光一
地図を見るテイスティングをしながら商品を選べるショップには、イギリス製のアンティーク家具が漆喰の白壁とマッチしてあかぬけた雰囲気を加味しています。テイスティングコースは予約制ですが30分500円で6種類のワインをリーデルグラスで試飲ができ、勝沼醸造の一連の商品はラベルデザインも凝っているのでラベルを見ながら楽しめます。
オススメは「アルガブランカ クラレーゼ」でアルガブランカシリーズの中核をなすクラレーゼは、「限りなく透明なアルガの白」という意味で、瓶詰直前まで澱引きせず、澱とワインを接触させながら静置貯蔵するシュール・リー製法によって醸し上げた辛口甲州ワインです。溌剌とした爽やかな香りと透明感のある瑞々しい味わいが、優しい果実味とほのかな渋味が調和する日本人好みの和食にあいます。
写真:和山 光一
地図を見るかつて“原”と呼ばれていた地で生食用のブドウを育てながらワインを造りはじめた、大正13年(1924)創業の小さなワイン醸造所が「原茂ワイン」です。もとは養蚕農家だったという旧家・古屋家歴代の当主の名前が「茂左ヱ門」で、「原の茂左ヱ門」から「原茂ワイン」と名付けられました。
通常のワイナリーとは少々異なり、葡萄棚の奥に築130年の白壁黒瓦の古民家が佇み、土間を改装した一階には、ワインショップとテイスティングスペース。さらに奥には純和風の畳座敷と奥庭に茂る涼やかな竹林が見え、日本の伝統的な葡萄園の面影が色濃く残っています。
写真:和山 光一
地図を見る10年ほど前に2階の屋根裏の庫を梁を生かしたワインの飲めるカフェに改装し、2階のカフェへと続く階段は漆黒に光り、建物が経てきた年月を感じさせます。「日経プラス1何でもランキング 地産地消 食事もできるワイナリー(2014年11月15日)」で第2位だったのが原茂ワインCasa da Nomaでした。カフェ名の「カーサ・ダ・ノーマ」は、ポルトガル語で家のカーサに家族の頭文字ノとマから名付けた名前です。爽やかな葡萄棚も景色を眺めながらゆったりと昼食が楽しめます。
オススメのワインは「ハラモ・ヴィンテージ甲州シュール・リー」。色合いは濃く、味わいはふっくら、葡萄のエキスが濃い辛口です。2Fのカフェで「パンの気まぐれブランチ」と一緒にどうぞ。
写真:和山 光一
地図を見る壁から天井まで蔦が絡まる建物が歴史を感じさせる「グレイスワイナリー」の創業は大正12(1923)年、勝沼を代表する歴史あるワイナリーです。ワイナリー名は、ギリシャ神話の三美神“ザ・グレイスズ”に由来します。四代目当主三澤茂計氏により、国際コンクールでの度重なる受賞や世界の著名なワインジャーナリスト達の間での「グレイス甲州」への評価の高まりなど、国産ワイン新世紀への第一歩を確実に踏み出しています。特に甲州種ワインの可能性を追い求めるワイナリーとして知られていて、世界の銘醸ワインと肩を並べ、産地個性が光る様な日本ワインを目指しています。
写真:和山 光一
地図を見る小さな扉から階段を登って2階へ上がると、ショップ兼テイスティングルームになっていて、中は広く、ゆったりくつろぎながら試飲ができます。グレイス甲州の産地別シリーズは「鳥居平畑」「菱山畑」「茅ヶ岳」「明野」とありますが、産地の個性を引き出すため、葡萄本来の力を生かし、果実味を重視したシュール・リー製法を基本に、自然の味わいを大切にした凛として澄んだ繊細なワインを基本コンセプトに醸しています。
オススメは「グレイス甲州 鳥居平畑」です。勝沼町の俗に山路と呼ばれる斜面の区画「鳥居平」の甲州を用いたワインで、テロワールを表現するため、シュール・リーは控えめで、メリハリの効いたドライスタイルのワインです。
写真:和山 光一
地図を見る「ロリアン白百合醸造」は、昭和13(1938)年に創業し、現在は3代目となる内田多加夫氏を代表とするファミリーワイナリーです。ロリアン(L’ORIENT)は「東洋」を意味するフランス語で、ヨーロッパに劣らぬ高水準のワイン造りを目指し名付けられたとのこと。
平成24年にリニューアルし、白を基調としたお洒落な建物で醸造行程、グラッパ蒸留、ガラス工房等がバリアフリーで見学でき、オリジナルのラベル作りや生ワインのボトル詰めといったちょっと変わった体験もできます。ワイナリーに入ると、正面には試飲用のカウンターテーブルがあり、また奥の樽にのった試飲用ワインは常時8種類、自分で好きなだけ注げるという方式です。
写真:和山 光一
地図を見るオススメの看板商品「ロリアン勝沼甲州」というワインは、味わいが丸く優しいニュータイプで、人気漫画「神の雫」40巻に登場し、「童話の中の人懐こい白兎を抱きあげるようななんとも優しく温かみもあるワイン」と表現されています。
オーストリア・ハプスブルグ家で使用された130年前の手作り煉瓦で再現されたドーム型セラーは必見です。ワイン1300本が貯蔵されているとのことです。
甲州種がどのような経緯で日本に渡来したのかは、昔から行基説や雨宮勘解由説の二つの説があります。いずれの説にしても、シルクロードを渡り、遣隋使か遣唐使の時代に大陸から種子の形で日本に持ち込まれたであろうブドウが、日本の気候の中で生き残った場所が山梨であり、そのブドウが甲州であるという事実です。まさに千年以上の歴史を誇る日本固有のブドウ品種なのです。
年々醸造技術のレベルアップが図られ、最近では世界のワインシーンにおいてKOSHU(甲州)の名が欧米のブドウ品種と同じ土俵に頭角を現すようになってきました。ユネスコ無形文化遺産として和食が登録されたことからも、今寿司や天ぷらなどの和食に合うお酒として世界的な注目を集めはじめています。
今回紹介したワイナリーの近くにも大小さまざまなワイナリーが点在し、甲州というブドウに想いを込めて、理想のワイン造りを目指しています。是非多くのワイナリーを巡ってみてください。日本ワインブームと言われる今、甲州ワインは、外せません。
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(2024/12/6更新)
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