写真:鈴木 旅人
地図を見る先ず一つ目にご紹介したいのは、東京湾を一望する千葉県富津市の大坪山に佇む白亜の大観音、「東京湾観音」です。建立者は宇佐美政衛さん(1889〜1978)という方で、昭和36年9月、なんと私財1億2000万円を投じ建立されました。
宇佐美氏は第二次世界大戦中、東京深川で材木問屋を営んでいたのですが、昭和20年3月10日の東京大空襲を経験。町は火の海となり生き地獄ともいうべき光景を目の当たりにしました。沢山の犠牲者を目の当たりにした宇佐美氏は世界平和の尊さを心から感じ、全世界の戦死戦災死者の霊を慰める為に、建立を思い立ったのです。
観音様の胎内に入りご参拝することができ、20階までらせん階段が314段続きます。20階と聞くと大変な印象を受けますが、階段は緩やかならせん階段となっており、各階に七福神や十二支の守り本尊などが祀られ、眺めながら登っているだけでも疲れを感じず進むことができます。
時折、観音様の体外に出ることができるので、手すりから東京湾一望する景色を眺めながら自然を感じましょう。波の音を聴きながら穏やかな風景を眺めていると、宇佐美氏の願いが少しだけ感じ取れたような気になり、この美しく穏やかな風景が続けばと、世界平和を願わずにはいられません。
写真:鈴木 旅人
地図を見る二つ目にご紹介したいのは、「のこぎり山」で知られる標高329mの山。千葉県安房郡の日本寺に座す日本一の大仏様です。日本一と聞くと奈良県東大寺を思い浮かべる方も多いと思いますが、東大寺の大仏様は18メートルほど。それに対し日本寺の大仏様は31メートルの大きさを誇り、名実ともに日本最大の大仏様なんです。
この大仏様は正式名称を「薬師瑠璃光如来」と称し、江戸時代に造られた原型を基に、昭和44年6月、4年に渡る復元工事によって完成。世界平和、万世太平の象徴として復元建立されたものです。東京湾観音もそうですが、大仏様というのは、その大きさから祈願する対象も大きくなってしまう定めなのかもしれません。
この「のこぎり山」というのは、山全体がお寺さんとなっていて、正式には乾坤山日本寺といい、高僧行基によって西暦725年に開かれた関東最古の勅願所なんです。山の麓から徒歩、ロープウェイ、車、と時間に見合ったスタイルを選べるので、徒歩で古人同様に登るも良し、ロープウェーで東京湾を望みながら登るも良し、時間を節約し車で大仏口駐車場まで登るも良しです。車で登っても、途中で車から大仏様が見えてしまいサプライズが半減する、なんてことはないのでご安心を。
境内には千五百羅漢や百尺観音、地獄のぞきなど見所も多いので、お時間に余裕のある方は、是非、入山時にもらえる地図を片手に散策してみましょう。きっと「のこぎり山」の名前の由来もすぐに実感できるハズ。
写真:鈴木 旅人
地図を見る最後にご紹介したいのが、日本には珍しいお釈迦様がお亡くなりになった時のお姿を模した涅槃仏です。上記のエリアよりも更に南下した館山市の常楽山萬徳寺という静かなお寺さんの中に鎮座しており、簡素な山門をくぐり坂道を登っていくと世界最大級のお釈迦様が出迎えて下さります。
体長16m、重さ30トンの巨大なお釈迦様は、青銅製では世界最大級の大きさ。靴を脱ぎ、中央で合掌してから台座を時計回りに3周し、おみあしの転法輪という所で祈願をするという一風変わった参拝方法でお参りします。転法輪が足の裏にあるということからか足腰のお守りに特に良いとされ、仏足護符のお守りはおじいちゃん、おばあちゃんへのプレゼントに人気があるといいます。
仏教の修行を重ねた尼僧が仏の受記を得て、22年の歳月を経て昭和57年(1982年)に建立された釈迦涅槃仏。境内には他のお寺さんにあるような塔やお堂はなく、仏様と直に向かい合うことができる造りになっています。静かな山の中で日本ではあまり見かけることのない涅槃仏と向かい合っていると、異国の仏教の聖地にきたような錯覚にとらわれてきます。入り口で袈裟を掛けた女性の方がしっかり参拝の仕方を教えて下さるので、事前知識も必要ありません。車椅子での参拝も可能なので、おじいちゃん・おばあちゃんを車イスに乗せて足腰のお参り、なんて親孝行にも良いかもしれませんね。
いかがでしたでしょうか?
日本のみならず、世界的にも最大級の仏像の数々。ご紹介させていただいたうち二つが個人による建立ということもあり、あまり世間的にも認知されておらず、有名寺院のように人が溢れ参拝までひどく待たされる、ということもなく日帰り旅行にも最適です。
どの仏様も本当に優しそうで包容力のある良い表情をされていて、平和への願いが感じられるようです。大きな仏像様というのは、敬虔な仏教徒でなくても見た目に分かりやすく、偉大な存在を感じ、その存在に包まれた様な安らいだ気持ちになります。
仏教徒の方でなくても是非立ち寄っていただきたい千葉県房総三大仏スポット。是非、その大きさを直接体感してみて下さい。
本記事でご紹介した各スポットへのアクセス等の情報は、記事下部にある「MEMO」よりご覧いただけます。
この記事を書いたナビゲーター
鈴木 旅人
昔から旅が大好きで、バックパッカー時代も経て今は主に国内にのめり込んでいます。趣味が高じて、世界遺産検定や日本歴史能力検定などというものまで取得してしまいました。得意なジャンルは、歴史・民俗・神社・仏…
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