写真:小林 理沙
地図を見る1957年の洪水の後、バレンシアの街中を流れていたトゥリア川は整備され公園へと生まれ変わりました。それ以降もこの公園は、今日まで引き続きトゥリア川と呼ばれ市民に愛されています。この川(公園)沿いに青く輝く丸いドームを持つ建物があります。これがバレンシア美術館(Museo de Bellas Artes de Valencia)です。所在地の住所から通称サン・ピオ・キント(San Pío V)と呼ばれています。バロック様式の荘厳な建物の中には絵画をメインに彫刻作品などの美術の至宝が収められています。この美術館は必見です!
写真:小林 理沙
地図を見るこの部屋を見ずに帰るのは罪なほど素晴らしい絵画が展示されているのが、赤い壁が印象的な部屋。まず、アジアでは倉敷の大原美術館のみ所蔵するエル・グレコの作品もあります。また、カラバッジョ風の作風で宗教画を描いたリベラのリアリスティックな絵画も展示されています。
大作も見られるこの部屋でも、際立つのがベラスケスによる自画像です。決して大きくはないのにもかかわらず、その存在感は目を見張るものがあります。
写真:小林 理沙
地図を見るマドリッドのプラド美術館にある「着衣のマハ」「裸のマハ」でも知られるゴヤの作品が飾られた部屋もあります。ゴヤは18世紀後半から19世紀前半に宮廷画家として活躍し、ベラスケスとともにスペインの2大画家と称されています。バレンシア美術館ではゴヤの描いた肖像画数展をご覧になれます。
部屋の中央の壁に1点だけ掲げられた肖像画の背景には、バレンシアの米どころアルブフェラの風景が描かれています。
写真:小林 理沙
地図を見るバレンシアが生んだ巨匠ソロヤのコレクションは豊富!
スペインの新幹線に当たるAVEのバレンシアの駅名にも冠されている画家ホアキン・ソロヤは、スペインでは知らない人がいないほど著名な芸術家です。ソロヤは19世紀に活躍した光の描き方に定評のある画家です。
バレンシア美術館にはソロヤの絵画や手紙、他の芸術家が作成したソロヤのブロンズ像などが展示された部屋があります。絵画は常時40点以上展示されており、質と量とともにソロヤ美術館を開けそうなほど素晴らしい作品群です。
スペインでのみ人気があるわけではなく、ニューヨークのヒスパニック・ソサエティ・オブ・アメリカにはソロヤがスペイン各地を巡りスペインの風土を描いた大きな作品で飾られています。
日本ではあまり知られておらず、作品鑑賞の機会も多くありませんから、是非バレンシアにお越しの際はゆっくりとご覧ください。
写真:小林 理沙
地図を見る2015年三菱一号館で開催の「プラド美術館展―スペイン宮廷美への情熱」で初来日を果たしたオランダの画家ヒエロニムス・ボスの作品もあります。ルネサンス期に人気を博した画家でしたが、16世紀の宗教革命時に多くの作品が紛失し、現存するのは30点ばかりと言われています。シュールレアリスムは20世紀に起った芸術運動ですが、それより何世紀も先駆けてボスは奇怪で夢想的なシュールな世界を絵画に残しました。
2016年は没後500周年を迎えるボスの作品も必見です!
写真付きでご紹介した他にも、見所は尽きません。地元バレンシアの芸術家の作品も多くありますが、他にも、ルネサンス期の絵画はティツィアーノの作品、また17世紀から18世紀にかけての絵画では、甘美な作風から「スペインのラファエロ」と称されるムリーリョの絵画までもあります。数多い作品の中に有名な芸術家の作品も埋もれていますので、美術館で配布されるパンフレットを片手に、くまなく見ていただきたいものです。
この美術館は、実は来場者が少なく、好きな作品を思う存分、時には一人占めするかのように見ることができます。バレンシアでしかできない贅沢です!ソファの置かれた部屋も多いので、どうぞじっくり座って作品をご覧ください。
また、パティオと呼ばれるスペインらしい中庭を見学したり、カフェでは著名な彫刻家ベンリウレの作品を鑑賞しながらお茶したり、食事もでき気分転換もできますね。
世界の美術史上に名を残した芸術家たちの作品を無料鑑賞できるのも芸術の国スペインならではのお金には替えられない贅沢です。
バレンシアを訪れる方、ぜひ美術館にお立ち寄りください!
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この記事を書いたナビゲーター
小林 理沙
スペインでは国技と冗談で言われるシエスタ(昼寝)を子どもの頃からしていたら、いつの間にかスペインに流れ着いていました。そんなスペインで物に頼らない小さなしあわせを学んでいます。岩手に生まれ、ポルトガル…
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