世界遺産うめましたっ!サザエさんも見た佐賀・三重津海軍所跡の無料バーチャルリアリティとは?

世界遺産うめましたっ!サザエさんも見た佐賀・三重津海軍所跡の無料バーチャルリアリティとは?

更新日:2016/06/14 17:56

咲田 みつるのプロフィール写真 咲田 みつる 千葉県1周ランナー、鈍足のトレイルランナー
2015年に世界文化遺産に登録された佐賀市の「三重津海軍所跡」。2016年4〜6月にはアニメ・サザエさんのオープニングでも紹介され、注目を集めています!
実はサザエさんが覗いた双眼鏡のようなもの、VR(バーチャルリアリティー)スコープなのです。遺構は埋め戻されているため、見えません。替わりにスコープが無料で貸し出され、幕末を描いた360度の超時空の旅「三重津タイムクルーズ」が視聴できます!

「三重津海軍所跡」は日本で最初の海軍所&洋式船ドッグだった!

「三重津海軍所跡」は日本で最初の海軍所&洋式船ドッグだった!

写真:咲田 みつる

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世界文化遺産「三重津海軍所跡」は、「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産の一つ。幕末に洋式大型船の製造修理場(ドッグ)や海軍の訓練所があった場所です。中でも特筆すべきは木と土で出来た「ドライドック」の遺構の存在です!では「ドライドック」とは、どういうものでしょうか。

「ドッグ」は船のメンテナンスをする施設。「ドライ」は海水を抜いた状態を示します。平たく言えば、「乾いたメンテナンス場」です。

この地では、有明海の特徴でもある最大6メートルという干満の差を活かして、「満潮時に船を招き入れ、干潮時にドックの海水が引いたのを見計らって、海水の流入口をふさぐ」という要領でドライドックを実現していました。有明海の潮位を上手に利用した運営が行われていたわけです。(写真:展望所から遺産付近の船溜まりを望む)

「みえない世界遺産・みえつ」ハンデ補うバーチャルリアリティーって?

「みえない世界遺産・みえつ」ハンデ補うバーチャルリアリティーって?

写真:咲田 みつる

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しかし「三重津海軍所跡」は発掘の後、保護のために埋め戻されています。上述の遺構は土の中。観光客にとっては現在、芝生公園にしか見えません。

そこで佐賀市は、「三重津タイムクルーズ」というバーチャルで楽しむ方法(後述します)を構築しました。さらにハンデを逆手に取ったやや自虐的なプロモーションムービー「みえない世界遺産・みえつ。」を作成。(記事最後の関連メモからご覧ください。)
茶目っ気たっぷりに「みえない」ことをネタにするCMは必見です!きっとあなたも話題の場所をその目で確かめたくなることでしょう。

見学の際に目指すのは、遺産と隣接する「佐野常民記念館」。佐野常民(さのつねたみ)は、佐賀県の偉人であり、三重津海軍所の中心的人物でした。そのため、佐野常民記念館が海軍所跡の情報発信基地となっており、展望所も兼ねています。

記念館のオキュラスリフトは必見!幕末の佐賀をVRで味わおう!

記念館のオキュラスリフトは必見!幕末の佐賀をVRで味わおう!

写真:咲田 みつる

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みえない遺産を可視化するため、満を持して導入された「三重津タイムクルーズ」。クルーズとはVRスコープで見るバーチャル映像のことで、大きく2つに分かれます。ひとつは記念館の屋内で見る「オキュラスリフト」(上部写真)。もうひとつは屋外で歩きながら視聴する「三重津ウォーカー」(次項で解説)です。

まずは記念館の1階にあるオキュラスリフトコーナーへ。専用の赤い座席に座りこみ、VRスコープを装着。驚くのは、その技術!視聴者が右を向けば、右に隠れていた映像が、左を向けば、左に隠れていた映像が見えるというように、江戸時代の空間がどこまでも作りこまれています。人が、船が、ドッグが次々に現れ、果ては鳥の目線で空まで飛んで…洋式大型船が乗り入れる幕末の三重津の賑わいを臨場感たっぷりに体験できます。(所要時間約5分)
人気の為、土日祝には順番待ちが予想されますが、1階には図書、3階には展示資料が豊富にあり、待ちぼうけになることはありません。

サザエさんも見たVRスコープで「超時空体験」をしよう!

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写真:咲田 みつる

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記念館でしっかり予習をしたら、今度は屋外の「三重津ウォーカー」を体験しましょう。屋外専用のVRスコープは、2階総合案内で身分証の提示と簡単な申込書を提出すれば、その場で借りることができます。(所要時間は20〜30分・雨天時は貸し出しなし)

屋外ではまずイヤホンの音声ガイダンスと地図に従って、順路へ進みます。最初はスコープを装着せず、現状の歴史公園を視認しましょう。はい、やはり芝生公園にしか見えません。

ところがチェックポイントに近づくと、イヤホンからガイダンスが流れ、スコープ装着の指示が!見れば覗いた先の光景に該当する、幕末の三重津の映像が流れるのです。屋内のオキュラスリフトと異なり、ここ遺産部分では過去と現在を、その場で直接見比べることができます。ドックはもちろんのこと、空の雲まで360度どこを見渡してもしっかりと作りこまれた映像に、ただただ感動です!「ここに海軍所があったんだ!」と納得できると同時に、「本当にこれが無料でいいの?」との思いが後をひく、渾身のおもてなしコンテンツです!

佐賀空港からのレンタカードライブがおすすめ。佐賀駅からはバスも

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写真:咲田 みつる

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三重津海軍所跡は、佐賀市の南端、筑後川の河口付近にあります。(この写真では、中州の付け根あたり)佐賀空港から車で20分ほど。佐賀駅バスセンターからは路線バスが、さらに土日祝は「ぐるっと世界遺産観光バス」が出ています。周囲にはパッチワークのようにして連なる美しい田園風景が広がっており、ドライブにもおすすめのスポットです。(写真:佐賀空港に着陸する直前に遺産周辺を撮影)

見学の要となる佐野常民記念館も充実!VRと併せて楽しもう

「三重津タイムクルーズ」と併せて見学したいのが、2階の佐野常民に関する展示室(有料)です。佐野常民は、郷里である三重津で、日本初の実用蒸気船を完成させた人物です。また西南戦争時に人々が傷つく惨状を目にしたことから、博愛社を創設、その活動が現在の日本赤十字社へとつながっています。三重津海軍所跡を語る上でも欠かせない偉人ですので、2階にも立ち寄ることをおすすめします!VRと併せることで幕末気分にどっぷり浸って、佐賀の旅を楽しんでください!

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/09/28 訪問

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