最古の玉眼仏から大石棺仏まで!奈良県天理市の古刹・長岳寺

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最古の玉眼仏から大石棺仏まで!奈良県天理市の古刹・長岳寺

最古の玉眼仏から大石棺仏まで!奈良県天理市の古刹・長岳寺

更新日:2015/10/03 16:49

乾口 達司のプロフィール写真 乾口 達司 著述業/日本近代文学会・昭和文学会・日本文学協会会員

日本最古の街道とも称される奈良県の「山の辺の道」。山裾をぬうようにして南北を走るその古道の周辺には巨大な前方後円墳や、古刹、古社などが点在しており、観光客に古都・奈良の豊かな歴史性を強く印象づけてくれています。そのなかでも、是非、立ち寄っていただきたいのが、山の辺の道きっての古刹・長岳寺。今回は日本最古の玉眼仏や大石棺仏を擁する長岳寺の魅力をご紹介しましょう。

日本最古の玉眼仏!浄土式庭園を持つ本堂

日本最古の玉眼仏!浄土式庭園を持つ本堂

写真:乾口 達司

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「釜口大師」(かまのくちたいし)の名でも親しまれている長岳寺(ちょうがくじ)は、奈良県天理市にある寺院。天長元年(824年)、淳和天皇の勅願により、弘法大師・空海が創建したと伝わります。最盛期には48の子院を擁する大寺であったとのことですが、後世に衰微し、現在は山の辺の道沿いにひっそりたたずんでいます。

しかし、古刹としての面影は残っており、池の前に本堂が建つ浄土式庭園のスタイルは、京都の平等院や浄瑠璃寺のように、平安時代の寺院様式をいまに伝えています。御本尊・阿弥陀三尊像(国指定重要文化財)のうち、仁平元年(1151年)作の墨書銘がある中央の阿弥陀如来坐像が、現存する日本最古の玉眼仏であることにも注目。玉眼とは、仏像の瞳の部分にはめ込まれた水晶のこと。瞳に水晶をはめ込むことで、その表情を写実的に印象づけるといった創意工夫は、やがて運慶・快慶に代表される躍動的な鎌倉彫刻の先駆をなす試みであるといわれています。玉眼によって表された御本尊の表情がどのようなものか、是非、ご自身の目でご確認ください。

戦国末期の動乱を物語る血天井

戦国末期の動乱を物語る血天井

写真:乾口 達司

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本堂でもう一つ注目していただきたいのは、写真の血天井。よくご覧いただくと、人の足跡が目に入るでしょう。戦国時代末期、大和国に侵攻した松永久秀は、長岳寺の背後にそびえる龍王山城を攻略。その際、龍王山城のあるじであった十市氏方の武将が長岳寺に逃げ込みますが、最後には松永方に討ち取られてしまいました。これはそのときの十市方の武将の足跡であると伝えられています。足跡のほかにも血痕のようなものも散見され、一般にはほとんど知られていない戦国末期の大和国の状況をいまに伝える貴重な史料です。是非、血天井を見上げて、戦国末期の大和国にも思いを馳せてみてください。

こちらも日本最古!国の重要文化財に指定されている楼門

こちらも日本最古!国の重要文化財に指定されている楼門

写真:乾口 達司

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本堂の手前に建つ楼門もやはり日本最古。上層部は平安時代末期、下層部は室町時代から安土桃山時代のものと考えられていますが、本堂やその前に広がる浄土式庭園に目を奪われ、つい見落としてしまいがち。楼門もじっくり見学しましょう。

古墳時代の石棺に仏さま!?珍しい大石棺仏

古墳時代の石棺に仏さま!?珍しい大石棺仏

写真:乾口 達司

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境内の東の端、少し小高い丘の中腹には、写真の石仏が安置されています。全長2メートルにもおよぶこの大きな石仏は鎌倉時代の作とされていますが、いったい、何に刻まれていると思いますか?実はこれ、古代に古墳のなかに安置されていた石棺の蓋石なのです。長岳寺周辺には柳本古墳群と呼ばれる全国有数の古墳群があり、中世以降、そのいずれかの古墳から運び出された石棺に仏さまが刻まれたのです。しかし、石棺に仏さまを刻むとは驚きの発想ですね。造形的にも素晴らしい仏さまであるため、あわせてお参りください。

縁側に腰をおろしてのんびりしよう!旧地蔵院と庭園

縁側に腰をおろしてのんびりしよう!旧地蔵院と庭園

写真:乾口 達司

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楼門の脇に建つのは、旧地蔵院。最盛期には48もあったと伝わる子院のなかで唯一現存している建物です。建物自体は江戸時代初期のものですが、室町時代の書院造りの様式を残しており、貴重。写真は付属する庭園ですが、境内を見てまわった後は縁側に腰を下ろし、お庭をゆっくり眺めるのも良いでしょう。

ちなみに、建物の一室では当地をは代表する特産品である「三輪そうめん」もいただけます(冬場はにゅうめん)。これも嬉しいですね。

おわりに

長岳寺の魅力、おわかりいただけたでしょうか。毎年10月23日から11月30日までは、安土桃山時代のものと伝わる大きな極楽地獄図(狩野山楽筆)が本堂で御開帳され、こちらも必見。山の辺の道の散策の折には、是非、長岳寺を拝観し、その豊かな歴史と貴重な文化財をご堪能ください。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2015/09/12 訪問

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